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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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ゲンスブール・links・根本敬



『ゲンスブールと女たち』などという映画を観ると、ロシア系ユダヤ人で、アルコールとニコチン中毒のセルジュ・ゲンスブールというおっさんは、大変おモテになったのだなあ、ということがわかる。
ヨレ者が発するフェロモンってのは確かにありますな。ロックだったら、イアン・デューリー(左半身不随)やジョニー・サンダース(ヘロイン漬け)なんかがそれかも知れない。
で、中古で『ゲンスブール・コンプリート』を集めているのである。もちろん500円以下で。全9枚。現在持ってないのはvol3と6。
キャリアも長いので、フレンチポップ・ジャズ・ラテン・レゲエなど様々な音楽をやっているのだが、ゲンさんのエロつぶやきボイスの前では、ぶっちゃけ、「みんなおんなじ」である。
そんな中で異彩を放つのが、『第四帝国の白日夢』(ROCK AROUND THE BUNKER)。1975年。

ナチス(第四帝国)がテーマである。ゲンスブールもユダヤ人なので、映画によると子供のころに「ユダヤの星」を付けさせられていたらしい。
ライフワークにもなりそうなテーマだが、ジャケットもふくめ、すんげーテキトーな内容である。
ユルユルのオールディーズ風ロックンロール大会。国内盤にはあの根本敬氏がイラストと文章を寄せている。うーん、わかっていらっしゃる。
『ナチ・ロック』なんて、映画で使われているバージョンを聴いたときはテンポも速くてキーも高くてえらいカッコいい曲だなと思ったのだが、これに収められているオリジナルを聴いてずっこけました。かなりずっこけました。即座に梅宮辰夫の『ダイナマイト・ロック』(全然ロックじゃない!)を連想した。
ヒトラーの愛人エヴァ・ブラウンに捧げた『エヴァ』、さらに彼女が好んだスタンダード『煙が目にしみる』のカヴァーを続けて収録するなど、念の入った嫌味である。
タイトル曲にしても「おぞましいナパーム弾/炎の舌が傷のような/深い断崖の上に張り出す/すべてが焦げ/すべてが震え/廃墟となって崩壊する」といったシリアスな歌詞なのだが、能天気な「ロッカランダ・バンカッ♪」の女性コーラスにより、すべて台無し!

オサレ方面には完全にシカトされている一枚であり、本人もふざけ半分で作ったのかも知れないが、結局のところ「でも、やるんだよ!」である。このレコードは当時もまるっきり売れなかったらしい。
ジェーン・バーキンとのエロエロデュエットを聴いたときもぶっとんだおっさんだなあと思ったもんだが、フランスの大スターでありながらも(ルックス的にも勝新太郎に似ていらっしゃる)、国家をレゲエにアレンジして大顰蹙を買ったり、精神的には非常にパンクな人だ。
ラフなんだけど、一挙手一投足が様になる。カッコいいってことはやっぱり重要だなあ。
(フランス語がまったくわからない日本人は訳詞を追いかけるしかできないのがちょっと辛いところだが)
根本さんの文章がやっぱりイイ感じに的を得ているので、ちょっと引用。

「バカバカしく下品で下らないマヌケな事もトコトン突きつめればある種の崇高さに辿り着かざるを得ない。
(中略)ナチズムだろうが南京大虐殺だろうがそういった人類負の遺産とされるものからハト時計やでんでん太鼓に至るまで本質とはそうゆう事だ、所謂、しゃれにならないものや事ほど実は最高のしゃれになり得る。」






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あたらしい恐怖・「つ な げ る」



そのスジの者にジワジワと人気のカルトホラー『ムカデ人間』ですが、ほとんど根本敬の発想である。
ヒトをつなげてムカデっぽくしてみたーい!と狂気の欲求にとりつかれた博士が、日本人ヤクザとおねえちゃん2人をさらい、靭帯を切り口と尻(黄門様)を接合し、手術でムカデ人間を作ります。
ホラーってのは切断するのが定石だが、「くっつける」ってのはなかなか新しい。
先頭はヤクザで、関西弁で吼える。当然排泄もせねばならんから、まあ書かずとも「そういうこと」になるのだけど、この辺がもう根本敬特殊漫画大統領。
ヤクザを「吉田佐吉」、次に来るのが「村田藤吉」で、「さゆり」って感じに置き換えると、ね?わかる人にはわかると思う。
ラストは映画史上、これ以上の絶望はないんじゃないかってな悲惨さに、爆笑。

暴走する続編が『ムカデ人間2』。さすがにここまで来ると観客を選ぶ。
「ムカデ人間という映画」を愛する地下駐車場の警備員が12人の男女をさらっては監禁し、DIYの精神でムカデ人間を作るのだが、医者と違ってノウハウなんかないから、靭帯切るにも麻酔なんかしないし、歯は金槌で叩き折るし、口と尻をくっつけるのは、なんとでっかいホチキス!即席むかで!
この作品には前作に出演していた女優さんが「ムカデ人間に出演していた女優」として登場するのだが、今回は出世して(?)先頭。
でも食事を拒否して吼えたら舌を切断されてしまいました。
よく出るなあ。ムカデ女優って呼ばれちゃうよねえ。
キレた主人公は一人一人に下剤を注射して回り、そのあとはもうAVでいえば「ドグマ」チックなせ界。
ここのシーンは気合入ってるよ。誰も見たくない部分を(ホントは見たいんだろ?)徹底的にやってやんよ!っていう気合。
モノクロの映像(ももクロじゃないよ)が「イレーザーヘッド」的で、なんとも不気味である。

まあグロいはグロいんだが、結局は特殊効果である。
それよりも主人公の特異な風体に、すうさい堂さんの目は釘付け。
チビ・デブ・ハゲ。目の光が異常なギョロ目で、体のデッサンがおかしい。すべて歪んでる。七面鳥の蒸し焼き?
日野日出志マンガの実写版。ひょっとしてあなたがCGですか?
(ちなみに日本でもっとも日野チックなのは、中川家の礼二である)
すべての言動が最高にサイコで痺れる。久々にヤバいものを見たってことでこの俳優さん・「ローレンス・R・ハーヴィー」で検索してみたら、どうもこの人、キャリアのある役者さんで、かなりの親日家らしい。
梶芽衣子・池玲子・にっかつロマンポルノと昭和歌謡が好きで、「キノコホテル」の大ファンだという。
・・・・ハーヴィーさん、僕はほとんどの日本人より、あなたと友達になれるような気がしますよ!

ちなみにこの作品は3部作であるらしい。まだやんのかよ~って感じだが、「口とケツくっつけたら面白くね?」という小学3年生くらいの発想から、ここまで引っ張った頑張りは評価したいと思います。

殺しはポップじゃないと!と、彼は言った(かも)



しかし面白かった、タランティーノの『ジャンゴ 繋がれざる者』@バウスシアター。
もともとマカロニ・ウェスタンなんてものは残酷趣味が売りではあるのだが、クエンティンくんにバトンタッチされてからはさらに出血多量。『続・荒野の用心棒』のテーマソングがそのまま使われるオープニングですでに上がる。
「ジャンゴ^~♪愛を求めてさまよう者~」みたいな歌詞。表向きは歯科医であるところの賞金稼ぎ(クリストフ・ヴァルツ)が、黒人奴隷「ジャンゴ」(ジェイミー・フォックス)と組み、お尋ね者の首を換金しながら、ジャンゴの愛する妻を捜す旅をする、というストーリー。
愛の為なら何人ぶっ殺そうがかまわねー、ってことで、トバしまくる2人。タランティーノの殺しはいつもポップだ。
王朝貴族みたいな格好のヘンな黒人に殺されるのは浮かばれないが、見てるほうが小気味がいい。いつもどおり絶妙な「外し」の美学。

やがて2人は巨大な奴隷農場に妻がいる、との情報を聞きつけ、奴隷商人を装った詐欺の計画を立て、妻を奪還しようと企む。
ここで登場する地主がディカプリオ。自分は例の「でっかいカチカチ山」みたいな映画は観ていないので、とにかく初レオ様である。
脱走した黒人を犬に食い殺させたり、居間で奴隷同士のデスマッチを鑑賞して愉しむような残酷な男だが、彼らの話に簡単に乗ってくるあたり、詰めが甘い。
で、注進に及ぶのが奴隷頭というかほとんど執事のサミュエル・L・ジャクソン。
切れ者であり、どうやらレオ様のブレーン的な役割もしているらしい。しかも、同胞である黒人を嫌悪しているようだ。何か人間以外のDNAも混じってるんじゃないの、というくらい憎ったらしい面構え。最高だ。

銃撃戦のカタルシスも含め、非常に「胸のすく」作品。『デス・プルーフ』も『イングロリアス・バスターズ』もドツボである。もはやアンチ・タランティーノなんているの?と思う。
本人はマイノリティの逆襲、みたいなポイントに興味があるのかも知れないが、明らかにやりすぎてるところが最高。
ハリウッド的アクションヒーローにまったく興味がないのは、彼らは自分の手を汚してるとことを見せてくれないから。ジャンゴなんかあれだぞー、頭悪いレッドネックなんか平気でぶち殺しちゃうぞー!
極端な話、映画とは「合法的なスナッフ・フィルム」であると思う。こういうのがダメだと、相当数の作品を敬遠することになる。ちょっともったいないんじゃないかな?とも思う。
「ひとごろし」を目一杯楽しみたい。なぜなら自分は人なんか殺せないからです。

新宿旅がらす



最近お昼は某事情により新宿でグルメをしているわけなのだけど(あの、おっさんがメシ食ってるだけの『孤独のグルメ』は漫画史に残る名作!)、街が広いせいもあって東口から大久保通りまで足を伸ばすと、実にバラエティに富んだ食事が出来る。
ワンコインあるだけで、詳細は省くがかなりいろんなものが食える。くいものカルチャーの街だ。
それに比べて吉祥寺。ほとんどラーメンとジャンク飯チェーンと、あとカフェ。食に関してはここに住むメリットって実はあんまりないんじゃないか?
カレーだってインドカレーとかじゃなくて、普通のカツカレーとか(一番好きなんだよウ)が食べたいんだよ!なんでないの?
10年間食べ続けた立ち食いそばチェーンが、おやおや?実はあんまりうまくないんじゃない?ということが最近判明。
立ち飲みがないのも痛い。あのー、オサレな人たちが集う「ワンコインで飲める店(たけーよ!!)」じゃなくて、疲れたサラリーマンが一人で癒されに来るようなとこ。つうか、吉祥寺ではあまり「疲れたサラリーマン」を拝見しないような気がするんだが気のせいか?
吉の定番はやっぱり餃子のみんみんと、武蔵野茶房のカレー。とんこつラーメンは最近すっかり苦手です。

そんで新宿は古本屋こそないが、「ディスクユニオン」の街でもある。
あちこちを巡ってどれくらい激安で抜けるか、うれしいセールは何パー引き?ということに命懸け。
最近の購入はフェイバリット・「スーサイド」ファーストの国内盤、コントーションズの2in1、「ディック・デイル」の有名なライノじゃないほうのベスト、精神疾患テキサスサイケ「13thフロア・エレベーターズ」のファースト(みんな買い戻し。最初から売るなよなーと思う。不経済である)、久々にジャケ買いの「バルバラ」。エディット・ピアフとはまた違うちょっとゴスなシャンソン。で、当たり。



という愛憎混じった吉祥寺ですが、4月5日ですうさい堂がオープンしてちょうど10周年。特に感慨もないので何もしません。
そんな折にマガジンハウス『ポパイ』のウェブサイトに掲載されたので、ちょっと覗いて下さいまし。

http://blog.magazineworld.jp/popeyeblog/24386/


『ジャンゴ』、面白かったなあ。

ノーあるROCKはツメを隠す



「テレヴィジョン」が来日する。吉祥寺でも公演する。しかもうちのすぐ近所。
うーん、どうなんでしょう。どうにも再結成というやつにそそられることが基本的にないので。
伝説のバンドを生で体験より、全盛期のヒリヒリした空気が封じ込められたディスクを聴くほうが好きなもので、あまり食指はそそられないんだな。
ストーンズもラストツアーが、と囁かれているようだが別にどうでもいい。ローリング・ストーンズはCDが最高なんです。そもそも60年代の音楽ってのは「魔法がかかってる」から、ズルいんだ。
テレヴィジョンと言えばやはりファーストの『マーキー・ムーン』で、特にパンクのガイドには必ず紹介される名盤中の名盤。
これのどこがパンク?と最初は首を捻るかも知れないが、パンクの源流をヴェルヴェット・アンダーグラウンド、13thフロア・エレベーターズやTHE SEEDSなどのねじれたガレージサイケだとするならば、テレヴィジョンは正統的な後継者。
ファーストに関してはいろんな人がうまいこと語っているので、わざわざ自分が言及する必要はない。
で、あまり評価のかんばしくないセカンド『アドヴェンチャー』ですが、自分的にはこちらも名盤であります。
前作に比べればだいぶ牧歌的だが、いい曲がいっぱい入ってる。落ち葉を踏むように繊細な『DAYS』が特に耳に残る。とはいえ、トム・ヴァーレインの鶏の断末魔のような声は健在。
ジャケのちょっとはにかんだ感じもいいんじゃないか。ヴァーレインなんか「てへぺろ」って顔してるし。
『マーキー・ムーン』は「ニューヨークという官能が生んだ真夜中のバンド!」とか、そんな言霊を引っ張り出せるような渦がぐるぐる回っていて、いい意味で重苦しいが、こちらはリラックスして聴ける心地よいアルバムである。

最近「爪を隠す」って感じが好きで、ルー・リードだったらいまいち地味で評価が低い『サリー・キャント・ダンス』『ザ・ベルズ』『ストリート・ハッスル』あたりを好んで聴く。ギラギラのグラムロッカーからクールな表現者への移行期ってとこだろうか。うたい方は変わらないんだけど。
(ルー・リードをあまり知らない友人が名盤『ベルリン』を聞いて、「うたい方が長渕剛にそっくり」と言った。果たして、本当にそうであったので笑ってしまった・・・。20年以上聴いていてまったく気がつかなかったのであった。「とんぼ」かよ・・・・)
パティ・スミスならば初期の攻撃性はないが、一度引退する直前に見せた4枚目『ウェイブ』での悲しげな佇まい。
腋毛ジャケが有名な『イースター』でビビッてはいけない。ここまで来ましょう。

暴力性とキーボードのピロピロを制御し始めた、『レイヴン』『ラ・フォリー』『黒豹』の頃のストラングラーズ。
が、ジャン・ジャック・バーネルやヒュー・コーンウェルの恐ろしげな匂いが消えるわけじゃない。
腹に一物隠してるんだけど、一見穏やか、な、凄み。それが大人のロック。
とか、手前が言ってもあまり説得力のないことを書いてみる。

西新宿のアダルトDVDショップ、『翔壱書店』さん(http://shoichi0401.blog86.fc2.com/)発行のフリーペーパー・『WATCH OUT!』が、vol.6まで入荷中。
店長氏の熱いパンク発掘コラムなどと並んで、自分の文章(『吉祥寺さん、いい加減 あなたの顔を忘れたい。』)も今月より掲載させて頂いております。
AVレビュー以外の記事のほうが多くなっちゃってるのがすごいな。アダルト縮小版『DOLL』ってな感じかな。毎月裏表紙のデザインにも注目しているのだが、今回は「ディヴァイン」様でした。




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男性
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古本すうさい堂
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