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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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年の瀬に亜無亜危異



クリスマスムードもたけなわでありましてようござんすな、というわけで全く関係のないことを書く。
以前から欲しかったCDを購入したんである。『アナーキー・ライブ1994』。廃盤だがプレミアはついてなかった。
アナーキー94年の再結成ライブ。動画サイトで見たときからカッコいいと思って、欲しかったのさ。
バンドの再結成モノとしては世界一じゃないかってぇくらいイカしてる。そして和製パンクの名盤として、ザ・スターリン『STOP JAP NAKED』、フリクション『軋轢(リマスター版)』と並んで殿堂入りである。
ファーストのガリガリに痩せた音も最高だが、非常にぶっとい、実力派ロックバンドによる演奏。
しかも歌詞はガキの時分に作ったものを歌う。そこがいい。
そもそも彼らの詞は当時としてはかなり過激であったので、ブザーで消されたり、現在流通しているCDでは丸ごとカットされたりしている。
代表的なのがクラッシュのカヴァー『東京イズバーニング』で、これはやんごとなきお方を批判した曲。
といっても暴走族/ヤンキーの不良感覚で捉えているので「ただめし食ってのうのうと/ぼっちゃま育ちのモヤシ野郎/何が日本の象徴だ/何にもしねえでふざけんな」といったお粗末な内容。
(実際、ジジイになっても晒されて、メチャクチャこき使われてるんじゃないの?とか思うけどね・・・)
アレ気にいらねーよな?という皮膚感覚の前では団地のオバサンも天皇陛下も一緒である。
幻の『タレント・ロボット』は、要するに芸能界はバカばっか、と毒づいている(内田裕也主演のポルノのオープニングでしっかり使われている)。
この封印された曲に落とし前をつけるために行われた再結成、ということらしい。
あれは若気の至りでしたわ~てへへへ、としないところがいい。

アナーキー最大の魅力ってのは、不良ボキャブラリーによる攻撃性で突っ走る「言いっぱなしの無責任さ」なのであって、そこが妙にウェットでちゃんとしてて、どことなく演歌チックなモッズやARB との違い。彼らの曲は昔から苦手だ。
ゆえに、(基本的に甘えの構造を内包している)不良諸君たちから絶大な支持を得たのであった。
『ジョニーBグッド』のカヴァーなんか「酒は12で覚えて/マ×コは14で覚えた/マワシにグラスにアンパン/悪いことは何でも/いつでも奴らにパクられ/だからオマワリ大嫌い」ですからね。こんなの通るか!当然レコードではカット。
ちょっとでも頭を使ってしまうと書けない歌詞である。ただ、この決定的な「インテリジェンスの欠落」も、やはり彼らの魅力。
山下達郎がアナーキーの大ファンだったというのは、とても納得できる話。

中盤以降は「脱パンク期」のナンバーがメイン。アルバムではちぐはぐさを拭い切れない印象だったが、このライブにおいてはドンピシャである。
それにしても仲野茂のボーカル。この人の声は初期から乾いていてなおかつ攻撃的=ROCKである。
この日の彼はお馴染み・国鉄の労働服に「亜無亜危異」の腕章(一周してシャレオツに見える)。
とてもいい顔をしている。
いいボーカリストだと思う。彼が歌うと『旗をかかげて』や『ちきしょう』などのブルースなナンバーも、全く黒くならない。
『心の銃』なんてかなりベタな歌詞なのに、まっすぐ響いてしまうんだよな。
そしてバンドの歴史を総括するようなスローナンバー・『今昔物語』で再結成ライブは終了。
『ノット・サティスファイド』の盛り上がりで終わらせないところが渋い。正しく大人な不良バンドの最高のステージ。




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RECKという生きかた



『ロック画報⑲』(ブルース・インターアクションズ)読む。特集・フリクション(もうひとつの目玉はクレイジーキャッツ)。
レック自らがフリクションの歴史を語った貴重なインタビュー収録。
フリクションといえばファーストの『軋轢』で、これについては当時のライブの凄さに比べたら全然迫力がない、という声も多い。坂本龍一教授には初期フリクションの襲いかかるようなパンクは、敷居が高すぎたのかもしれない。
たしかに、この本の付録CDのライブ4曲は激烈だが、スタジオ盤のねちっこさというか、ぬるりとしたテンションは80年代独特のもので、これもメチャクチャカッコいいと思うのだが(紙ジャケリマスターが出てるので、そちらが断然おすすめであります)。世界に誇るジャパニーズパンクの名盤。
「東京ロッカーズ」の中でも軍を抜く存在感。並列じゃないだろうと思う。
生活感がまったくない。カタカナの「トーキョー」から抜け出してきたようなクールな出で立ち。
パンクといえども「遠藤みちろう」や「モモヨ」や「町田町蔵」などのキャラの立った人々がバンドを引っ張ってきた部分が多分にあるのだが、レックはあくまでも、フリクションのレック。レックがいればフリクション。
本名いまだにわからんし、アルバムがそんなに売れてるわけでもないので、どうやって生活してるんだろうとちょっと思う。
現在は中村達也とベースボーカル&ドラムスのみのデュオ・フリクションとして活動中。50は超えてるはずなんだけど、ルックスもまるでブレないし、とにかく生活臭がない。

コトバ単体を羅列して吐き捨てるような歌詞も特徴的。
時に破壊的なくらいメチャクチャな詞を書く井上陽水にもちょっと通じるところがあり(「アジアの純真」なんて正にそうだと思うんだけど)、ルックスも何ミリか似てる(?)。
自分の出目をあまり語らず、ジャズに接近した時期もあり、グラサンキャラであるという点で、タモリ氏とも共通する匂いがある(ってのはだいぶ苦しい)。
レック、ツネマツ・マサトシ、チコ・ヒゲの黄金時代には間に合わなかったけど、89年頃に4人編成のライブは観た事があり、当時のバンドブームでしょーもないバンドがうじゃうじゃいたのだけど、それらとはまったく一線を画すものであった。

安易で直截的なメッセージを打ち出してる日本のパンクってのがどうも苦手で(今も昔も理解できないスタークラブ)、そう考えるとずっと好きなのはスターリンとフリクション。INUはもう聴かなくなっちゃったし、あぶらだこってのももうキツイな(やはり奇形的であるより、スタイリッシュさを伴うパンクが好き)。あ、アナーキーはどういうわけか「別枠で」好きである。
過去は一切すっ飛ばしてニューヨーク→東京。その立ち居地で何十年もfrictionしているレックという御仁はかなりの洒落者。
実はジャパニーズロック界有数のシャレオツ・ロッカー様である。


すうさい堂が目撃した時期のフリクション↓

青臭くて刹那なパンク



なんかいろいろ言われそうだが、ジョン・レノンって人にまったく興味がないんである。
「いい魔人」聴いて感動した覚えもない。それで困った事もない。つーか、自分の人格に難がある。
1980年12月8日に射殺されて世界中が大騒ぎになったが、その前日の12月7日に、ヘロインの過剰摂取という方法によって自殺した若者がいました。
ダービー・クラッシュというロス・アンジェルスのパンクスです。

『ジャームス 狂気の秘密』を観る。
L・Aの初期パンクバンド『ジャームス』ボーカリスト、ダービー・クラッシュの人生を追った伝記映画。
他のバンドと成り立ちがちがう。まず誰ひとりまともに演奏できないのにライブをブッキングし(ダムドとニアミスしたらしい)、食べ物を捲いてみたりなどのおいたをしながらも演奏力を身につけて、そのうちにLAパンクシーンの顔になる。
曲はというと、まず歯を食いしばりながらもよだれをだだ漏れさせているような、独自の唸り声が印象に残る。
CDを聴いたときはラモーンズ以上に団子状態なんで、「なんなんだろうなあこれ」と思ったんだが、映画を観てダービーの、しょうもなくも刹那的な生き方に少々ドキドキして、すっかり好きになっちゃいましたよ。
このダービー唱法をすっかりマスターしてみせたのが主演のシェーン・ウェストで、ジャームス再結成の際にはボーカルとしてツアーに参加したらしい。たしかにそのセットだったら、ちょっと見てみたいと思う。
トレードマークは青い円(サークル・ワン)。
ダービーはファシストからヒントを得た部分があるようで、このデザインの腕章を作ったり、親衛隊は自らの腕にタバコの火を押しつけ、「円」の根性焼きを作ったという。
ジャームスは「5年計画」だという。が、実際の活動期間は2年くらいだった。
「ボーカルレッスンなんていらねえ。俺は俺の歌をうたう」ってことだったんだろう。
その「焦り」と「苛立ち」を音源として刻んだことは、パンクとしてやっぱり正しい。
歌詞も実はかなり難解というか、詩的だったりする。

ジャームスに参加したミュージシャンがフー・ファイターズだったり、ゴーゴーズだったり、アルバムのプロデュースがジョーン・ジェットだったり、意外と豪華。
ジャームスはライブの過激さと相まって人気バンドになりつつもライブが制限されてゆき、そのフラストレーションはますますダービーを薬漬けにして、メンバー間の軋轢も大きくなり、いよいよ解散となるのだが、ラストライブのシーンがとても良い。ちょっとキュンてなる。
その数日後にガールフレンドと心中を決行。結局、彼女は生き残ったらしい。
翌日に起こるレノン射殺事件。恐らく、ロスの音楽誌の紙面も全部、そっちに持っていかれた。ははは。

ラスト近くにデビッド・ボウイの「5イヤーズ」「ロックロール・スイサイド」が流れる。
これはグッとくる。やっぱし『ジギー・スターダスト』は永遠の名盤。
ランナウェイズの映画もそうだったけど、初期パンクにとってグラム時代のボウイはヒーローだったらしい。
あの異形さはロックンロールなんだな。
自分も「女は世界の奴隷か!」より「クイーン・ビッチ」である。


映画でも完璧に再現。パンク史上最悪のボーカルを聴け!↓






オリガトー!!



山口冨士夫さんが亡くなったり藤圭子さんが自殺したりと続いてますが、還暦も過ぎてるし、自分なんかは「ああ、時が来たんだな」と思うくらいである。こういう方々を一般の枠にはめてはいかんのである。もう嘘の追悼はやめた。確実に「凄い人生」。以上。
そんで、飛鳥である。「シャブ&アスカ」なんて見出しが躍っていたらしく(ぼ、ぼくが書いたんじゃないよウ)この人は今後大変だたいへんだ。
衝撃ってのはギャップが大きいほど強いもんで、インパクトのあるニュースを聞くと笑っちゃったりする。自分もつい笑ってしまいました。
フジオさんやショーケンさんなんかは「アリ」な人だが、ASKAさんは、ナシでしょう~?まあ面白いよね。「今からそいつを~、これからそいつを~、炙りにいこうか~」ってのは面白くない?もう書いてる人いる?
もうひとつ、佐久間正英さんが末期の胃ガンであることをブログで告白している。実に淡々とした文章である。
上の数行で散々ばちあたりなことを書いてるのでもういいやな。てなわけで正直な感想としては「うーむカッコいい」、と思ったのである。「逆算」できるのは結構アリなのかなあ、ということ。
音楽プロデューサーとして有名だが、自分にとっては「プラスチックスのキーボード」だった人である。

自分の小6くらい(80年ごろ)にテクノ・ポップというのが流行しまして、YMOが頂点なのだろうがそっちはあんまり。
中学では周りにYMOファンが多かったので、自分は聴いたこともないけど何やらうさんくさい匂いがする「ヒカシュー」のLPを買った。イエローマジックにはないアングラな毒気が充満してた。テレビドラマ『加山雄三のブラックジャック』の主題歌も彼らでした。
プラスチックスも夕方の音楽番組に何回か出ていたので小学生から知ってた。ベストテンの常連とは全然違う奇妙な音楽。何か、ひっかかっていたのでしょう。
これにバンドを従えていた頃のジュリーと、たまたま録音していたアナーキーのデビュー曲『ノット・サティスファイド』と、RCサクセションの『雨あがりの夜空に』。
この辺が自分のロックの原風景。すごく、どうでもいいですね。
プラスチックスなんかは今聴くと、テクノというよりオールディーズなR&Rのノリ。立花ハジメのギターなんか意識してサーフっぽいし、モンキーズのカバーもはまる。
それを当時の最先端・リズムボックスを駆使してノン・ミュージシャン(佐久間氏以外)たちがバンドを組んだらとてつもなくチープかつカラフルな音楽が出来てしまい、海外でも人気が出た。
フライング・リザースやディーヴォなど当時の海外テクノと比べても、プラスチックスが一番カッコいい。
やはり中西俊夫や佐藤チカの「肉声」なんだと思う。カタカナ英語で記号みたいな歌詞を連発する捩れたクールさは、やっぱりパンクなんだな自分にとっては。テクノじゃなくて。
(あと記号のみでボーカルを成立させているのは、フリクションのRECKだけ)
まあしかしこの軽さは「昭和の音」である。「プラスチックス」っていう表記も昭和。
ピコピコ満載のファーストばかり取り沙汰されるけど、ボトムが効いたセカンド、サードも良いよ。
あ、『ORIGATO25]』なるベストがいいと思う。

ついでに『毎日ぞんび』のアンコール上映が(いつのまにか)決まりました。
9月6日(金)、吉祥寺fourth floorです。http://fourthfloor.jp/
このままカルトムービーになります。







吐き気がするほどPOPな自殺




一歩も外に出たくないような暑さが続いてますが、そんなわけでうちの前の通りもガラガラです。安心してお昼寝ができます。多分人類は滅亡したもよう。
しかし夏といえばチューブですね。特に『あー夏休み』なんて、一字一句自分のボキャブラリーにない歌詞満載の名曲です。なんなんだ「hold me tight 夢とちゃうのかい」って。まったく天才すぎる。
そんなわけで少し身近なCDをかけて安心してみる。「スーサイド(suicide)」である。
スーッと来て、サイと来て、ドで締める、単語の響きが好きだ。正確にはスイサイドだが。
血垂れ文字のジャケで有名なファーストは電子パンクの名盤。断じてテクノではない。このアルバムを「砂糖を口いっぱいに詰込まれたような不快感」と評した人がいた気がする。たしかにシンセがびよんびよん鳴ってる中をボーカルが絶叫するような曲もあるが、時折すごくチープながらもスイートな曲も入っていたりして、つまりはいやがらせである。これに比べたらゴスの様式美バンドなんて全く健全。
パンクの衝動と気取ったアートセンスにバブルガム感覚を仕込み、ぺったらシンセで仕上げ。
77年のニューヨークに生まれた、ロックンロールの奇形児である。もはやどこに影響を与えたのかすらわからない孤高の一枚だが、垂れ落ちた血糊の先には様々な魑魅魍魎が蠢いているに違いない。
それにしてもこの「血文字バンド名ジャケ」のインパクトは、わが国が誇る「アナーキー」のファーストとタメを張るなあ、と思う。

で、ほとんど無視し続けられている彼らのセカンドだが、実はこれも名盤。
一曲目のヘタレNWディスコを聴いてガッカリすることなかれ。このクソみたいなセンスを楽しめばいいんである。
大失敗したペットショップボーイズみたいなのもあるが、「電子ブギー」なナンバーはさらに分厚く。
だいたいジャケのメンバーのファッションセンスが異常だ。一体どんな音楽をやっているのかさっぱりわからん。それでもバンド名は『自殺』。わけがわからん。
ファーストが砂糖なら、セカンドは「らくがん」を詰込まされたような不快感。あの菓子は昔から大変苦手である。
ダンサブルになった、と言えなくもないが、ボーカルがまるで楽しそうでない。ひたすら鬱である。鬱病を発したエルヴィスの声?前作のほうが唸り声や悶え声を使い分け、まだ士気は高かった気がする。
このCDは2in1で、二枚目には初期のリハーサル・テープがたっぷり収録されている。
溶けそうなシンセサイザーとナルシストの鼻歌のようなボーカル。未完成ながらある意味完成品。ライブでは客に掴みかかり、チェーンを振り回すなどの暴力衝動をぶつけていた。
どうにもならない、退廃しか感じられない音楽。だがそこが最高。
石野卓球氏がセカンドに収められている『Dream Baby Dream』を強力に推している。なるほどね、である。
しかもバンドはちょこちょこ再結成しつつ、まだ解散はしていないらしい。「自殺」を名乗るやつは意外としぶとい。








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性別:
男性
職業:
古本すうさい堂
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