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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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豊穣なり、ザ・クランプス




さっき電卓をはじいてみたら今月けっこういいじゃん!などと思ったのだが、よく考えたらよそ様であれば真っ青になるような数字である。
うちの強さはいろんなアクロバットでなんとか続けてるということである。店をつぶさないコツを教えましょう。それは店の売り上げに頼らないことであります!
とにかくゆるい。しかしそれも長続きのコツで、ギッチリやってたら私、とっくに胃潰瘍になってます。
出稼ぎして店開けて余暇で無理矢理遊んでるもんだから毎日忙しい。とにかく男におモテになるんである。女性とのつきあい方はすっかり忘れてしまいました。

ミュージシャンになりたい。俳優になりたい。アイドルになりたい。芸人になりたい。デザイナーになりたい。カメラマンになりたい。作家になりたい。絵描きになりたい。
それ、全部なれますから、安心して下さい。ただし「食える」かというとそこは別問題。
そこはそれ、ということでやる気があれば続けたらいいんである。あんまりきれいに生きるこたねぇやな。
むしろ、ダラダラ続けてる奴のほうがカッコいい。

というわけで、最後まで変態ロックンロールショウを続けてくれたザ・クランプスはとても誠実なバンドだったなあと思う。セカンド『サイケデリック・ジャングル』を最近はよく聴いている。
サイコビリーというとスラップベースが「伽伽伽伽伽」と唸り、ダミ声ボーカルでぎゃーっと突進するのが定番だが、このアルバムのゆったりした雰囲気はとてもクールだ。
ギター2本。グレッチとファズの絡みが絶妙。ベースレス。ドラムはほとんどオカズを入れない。
そこにエルヴィスとフランケンシュタインのMIXモンスター、ラックス・インテリアの艶っぽいボーカルが乗る。実は正統的なロカビリアン歌唱をちゃんとマスターしている人だ。
スカスカなんだけど、実に豊穣である。こんなに色っぽいガレージ音楽を他に知らない。
ファーストのはじけたトラッシュ感や、中期以降のまさにサイコビリーなノリの良さはないんだけど、クランプスの最高傑作だと思う。
マニアックなロカビリーのカヴァーが多い。ラックスとポイズン・アイビー夫婦は本物の音楽オタクである。クスリなんかに手を出してる暇はない。
そんなものに使う金があるなら、レアな7インチを買っちゃうんだろうから。
ライブにおける、キッチリとコントロールされた狂気。エンターティナーであり、プロフェッショナルであるということ。暴力性のカケラもない、至ってピースなバンドであった。
精神病院の患者とコラボ出来るのも彼らだけで、普通のバンドはそこまで「降りて来て」くれないんである。
数年前にラックスが心臓疾患でロカビリー天国に召されてから、妻でありギタリストであったアイビーは今どうしてるんだろう。すっかり老け込んじゃったかな。

このアルバムは彼らのファースト・シングル「gravest hits」とカップリングで売られているものがあって、当然そっちのほうがお得なんだけど(「ヒューマン・フライ」を聴いてくれ!パンクもロカビリーもガレージもぶっ飛ばした最狂のロックンロール・ミュージックだ!)、ジャケも二分割されちゃってるし、この作品本来の隠微さを愉しむのであれば、単独盤のチョイスをオススメする。




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迷走イギー三部作



イギー・ポップといえばストゥージズなのであって、一番人気はやはり『ロウ・パワー』ってことになるのだろうが、ヒッピーとピースの時代に「NO FUN!!!!」とぶちまけたファーストも捨てがたい。
ロックが思想的にも技術的にもどんどん進歩していた矢先に「んだゴルアァァァァ!!」。
ミニマルな演奏と不埒な態度は、真のオリジナル・パンク。
地を這うリフとボーカル、アバンギャルド・ジャズと咆哮が混在するセカンド『ファン・ハウス』は、当時の伝説的な流血ライブやクスリ漬けの私生活と絡み、ここで繰り広げられているのは「音楽による地獄」である。
グランジもオルタナもストーナーロックも、全部ここにある。
デビッド・ボウイがプロデュースしたものは、『ラスト・フォー・ライフ』より『ジ・イディオット』を推す。
自虐パフォーマンスで名を馳せたボーカリストの復帰作が、感情を抑え、ロウなキーでNWな音の中でうたうってのは、ものすごくCOOOOLじゃないでしょうか。
ただしどうもミックスがモコモコしていて音が悪い気がする。リマスター盤が欲しいところだ。

そんなイギーさんが79年からアリスタ・レーベルで発表したアルバム3枚組ってのが安かったんで購入。
このアリスタってのはブラコンに強いレーベルらしく、なんでイギーがそんなところと契約したのかは知らんが、当時流行のニューウェービーな音作りのせいもあり、なんとも歯がゆい出来!
それでも『ニュー・ヴァリュース』なんかは、引き締まったナンバーが多いなかなかの名盤。重さはないんだけどNYパンク的な流れで聴けば、心地よいのではないでしょうか。
『ソルジャー』はジャケのカッコよさに惹かれて買ったレコード、実は一番最初に聴いたイギー・ポップである。
1曲目のピロピロしたキーボードのイントロで唖然。これがパンクのゴッドファーザー??
あの時代独特のスカスカな演奏が続く。イギーとしてはもっとハードにしたいのだが、どうにかなんねーのかコレ?といったイラツキが滲んでいるアルバム。当時は騙された!と思った1枚。
『パーティー』はさらにイギーの嗜好とすれ違い、ホーンまで入ってえらいこと洗練されてしまったが(本人としても一番嫌いな作品らしい)、イギー流パワーポップだと思って聴くと、決して悪くない。
「エッグス・オン・プレート」なんて、レッチリの先取りみたいな曲である。
ただジャケがなあ、表も裏もダサい。AORのシンガーじゃないんだからさあ。
アルバム発売後の、イギーのガッカリ感はなんとなく伝わってくる。

でもこれらがダメかっていうとそんなことはなくて、迷走感がなかなか好感触だったりする。
レーベルや時代が望んだ音と、イギーのパンク精神との軋轢がモロに出ちゃってるところがなかなか面白い。
(90年代以降のハードロック路線のアルバムの方が、個人的にはつまらない)
が、アリスタ時代もライブは怒涛のテンションで、皮ジャンにガーターベルト(前歯欠け)でうたうイギーのライブビデオを購入・鑑賞した時の衝撃は大きく、こいつはヤバい、このオヤジはクラッシュやピストルズよりヤバいんじゃないか?と思ったもんである。
アリスタで製作した作品はやっぱり売り上げも芳しくなかったようで契約を切られ、そのあとに『ゾンビー・バード・ハウス』(いいタイトル!)なる土着的かつアフリカンなアルバムを発表する。
地味っちゃ地味なんだけど、久々にイギーの妖しい魅力が返り咲いた1枚(いま手元にないのが残念)。もうちょい再評価されてもいいんじゃないか。
いつも感じることだが、「IGGY(イグアナ)  POP」という名前の響きのスリリングさ。
ロックンロール渡生人たちの中でも最高のネーミング・センスだと思う。




ノーあるROCKはツメを隠す



「テレヴィジョン」が来日する。吉祥寺でも公演する。しかもうちのすぐ近所。
うーん、どうなんでしょう。どうにも再結成というやつにそそられることが基本的にないので。
伝説のバンドを生で体験より、全盛期のヒリヒリした空気が封じ込められたディスクを聴くほうが好きなもので、あまり食指はそそられないんだな。
ストーンズもラストツアーが、と囁かれているようだが別にどうでもいい。ローリング・ストーンズはCDが最高なんです。そもそも60年代の音楽ってのは「魔法がかかってる」から、ズルいんだ。
テレヴィジョンと言えばやはりファーストの『マーキー・ムーン』で、特にパンクのガイドには必ず紹介される名盤中の名盤。
これのどこがパンク?と最初は首を捻るかも知れないが、パンクの源流をヴェルヴェット・アンダーグラウンド、13thフロア・エレベーターズやTHE SEEDSなどのねじれたガレージサイケだとするならば、テレヴィジョンは正統的な後継者。
ファーストに関してはいろんな人がうまいこと語っているので、わざわざ自分が言及する必要はない。
で、あまり評価のかんばしくないセカンド『アドヴェンチャー』ですが、自分的にはこちらも名盤であります。
前作に比べればだいぶ牧歌的だが、いい曲がいっぱい入ってる。落ち葉を踏むように繊細な『DAYS』が特に耳に残る。とはいえ、トム・ヴァーレインの鶏の断末魔のような声は健在。
ジャケのちょっとはにかんだ感じもいいんじゃないか。ヴァーレインなんか「てへぺろ」って顔してるし。
『マーキー・ムーン』は「ニューヨークという官能が生んだ真夜中のバンド!」とか、そんな言霊を引っ張り出せるような渦がぐるぐる回っていて、いい意味で重苦しいが、こちらはリラックスして聴ける心地よいアルバムである。

最近「爪を隠す」って感じが好きで、ルー・リードだったらいまいち地味で評価が低い『サリー・キャント・ダンス』『ザ・ベルズ』『ストリート・ハッスル』あたりを好んで聴く。ギラギラのグラムロッカーからクールな表現者への移行期ってとこだろうか。うたい方は変わらないんだけど。
(ルー・リードをあまり知らない友人が名盤『ベルリン』を聞いて、「うたい方が長渕剛にそっくり」と言った。果たして、本当にそうであったので笑ってしまった・・・。20年以上聴いていてまったく気がつかなかったのであった。「とんぼ」かよ・・・・)
パティ・スミスならば初期の攻撃性はないが、一度引退する直前に見せた4枚目『ウェイブ』での悲しげな佇まい。
腋毛ジャケが有名な『イースター』でビビッてはいけない。ここまで来ましょう。

暴力性とキーボードのピロピロを制御し始めた、『レイヴン』『ラ・フォリー』『黒豹』の頃のストラングラーズ。
が、ジャン・ジャック・バーネルやヒュー・コーンウェルの恐ろしげな匂いが消えるわけじゃない。
腹に一物隠してるんだけど、一見穏やか、な、凄み。それが大人のロック。
とか、手前が言ってもあまり説得力のないことを書いてみる。

西新宿のアダルトDVDショップ、『翔壱書店』さん(http://shoichi0401.blog86.fc2.com/)発行のフリーペーパー・『WATCH OUT!』が、vol.6まで入荷中。
店長氏の熱いパンク発掘コラムなどと並んで、自分の文章(『吉祥寺さん、いい加減 あなたの顔を忘れたい。』)も今月より掲載させて頂いております。
AVレビュー以外の記事のほうが多くなっちゃってるのがすごいな。アダルト縮小版『DOLL』ってな感じかな。毎月裏表紙のデザインにも注目しているのだが、今回は「ディヴァイン」様でした。




悲しきオージー・パンク



ザ・セインツ。ひそかに愛するバンドである。77年にデビューしたオーストラリアのパンクバンド。
ファーストアルバムのジャケを見ればご覧のとおり、非常に地味。小太り(ボーカル)、若ハゲ、フリーター、ムッシュかまやつ?
そんな彼らなのだがピストルズ、ラモーンズと同時期に活動を始めていたらしい。てことは、クラッシュやダムドですら、彼らより後発組ということになる。
ファースト『I'm stranded』における完成度。スカスカだったクラッシュ、実はダルいのも入ってるダムドのファーストと比べても、文句のつけようのない激烈なパンクロックの金字塔。多分、今の人が聴いたらストラングラーズあたりよりすんなり入っていけるんじゃないかと思う。
ちょっと泣いてるようなボーカルもいい。いじめられっ子がパンクバンドにいるようなナイーブな風情。
(案外、本当にいじめられっ子の小太りくんにボーカルをやらせてみたら意外とイケるんで、そのまま据えられてしまったのかも)
泣きメロのパンク・バラッドもいい感じである。
セカンド『ETERNALLY YOURS』はホーンを入れたりフォークロック調の曲もあったりして、音楽性を広げた名盤。ただしそんなに広げすぎてないのがいい感じ。ダムドの『マシンガン・エチケット』もギリギリで音楽性を広げていないので、長きに渡りパンクファンに愛されているのである。
彼らも国内で人気が出たのでイギリスに遠征するのだが、この地味なルックスが災いしてもうひとつ受けなかったようで、そのまま知名度もイマイチなマニアックな存在になってしまった。が、ナイーブさを内包したパンクとしては、バズコックスと並んでオリジネーターだと思う。
B級パンクを漁ってる最中のあなた、「ザ・ドローンズ」とどっちを買おうか迷っていたら悪いことは言わない、「ザ・セインツ」にしなさい。私が保障する。
この文章の固有名詞、パンクを知らないとまったく意味不明だと思うが、別に結構だ。

PUNKSの和訳としては、「シャバ憎」が一番近いんじゃないか?なんて思ったりする。
ハードコアやサイコビリーはマッチョでおっかないし、モッズやガレージパンクの人は心底お洒落さんだったりする。
世の中を舐めた態度を気取ってみても、ちょっと恫喝されると「すんませんすんません」と謝っちゃうような芯の弱さ。それが実は一番カッコいい(?)パンクの本質。
まあ、あんまりきれいに生きようとしない事だ(一人でいっぱいいっぱいになって大混乱を引き起こしてたストラマー兄貴なんて、やっぱり魅力的ですもんね)。
だから素朴な青年団・セインツの爆音が最高なのもパンクならではの逆転劇なのだ。メタルやハードロックの「スターな音」とは全然違うんだけれども。
「すうさい堂」なんて看板を出してるけど自分なんかもう典型的なシャバ憎。それがなきゃ、シャバくてシャバくてウルトラ小心者ですわ。
だから多分、パンクが琴線に触れる。
ブルーハーツの「優しいから好きなんだ」という歌詞が最近になってようやく分かってきた。「吐き気がするだろ/みんな嫌いだろ」って出だしもいい。





ウィルコ・ジョンソンという死にかた

 

この麿赤児チックなジサマは誰かと言うと、パブロックの名バンド『ドクター・フィールグッド』の初代ギタリスト、ウィルコ・ジョンソンであります。
ガイドブック的には彼が在籍した時代のアルバム『ダウン・バイ・ザ・ジェティー』『不正療法』『殺人病棟』が必ず、プレ・パンクの名盤として紹介されている。
ピックを使わない独特の「素手」によるカッティング、タテとヨコにしか動けないアクション、ギターをマシンガンのように構え威嚇射撃をするポーズなど、このバンドのパンキッシュな要素を受け持っていたのは確実に彼であり、ウィルコが抜けて以降、バンドはオーソドックスなR&Bバンドになり、ボーカルのリー・ブリローが死去したが、名前だけ残して実はまだ続いているようだ。すでにオリジナルメンバーがいないモーニング娘。に立ち位置が似ている。
なんだかんだいってもブリロー&ウィルコ時代が最高なんであって、これはロックンロールにおける他流試合みたいなもの。4枚目製作中にしてこの緊張関係も破綻。
ミッシェルがリスペクトを表明して以来、中古コーナーで彼らの在庫CDを見かけることが少なくなった。

そのウィルコ氏は現在、末期の膵臓ガン。
静養せずに日本、フランス、イギリスとツアーするのだという。
ツアー先の事故やおいたで亡くなるミュージシャンは山ほどいるが、自分の寿命を逆算しながらの音楽行脚ってのは今まで聞いたことがない。
地元の公演を終えたあたりでサクッといけたらいいね、ということなのだろうか。
っつってもおんなじようなロックンロール&ブルースを65歳まで現役で続けられたのだから、ロッカーとしてはかなり息が長い人生と考えていいと思う。
ブリローとウィルコは最後まで仲直りすることがなかったらしいが、リー・ブリローもやはりガンで亡くなる直前までステージに立ち続けた人なので、「あの気に入らねー奴には負けられねー!」っていうライバル心がどこかにあるのかも知れない。
先輩の『パイレーツ』のミック・グリーンがいなくなって(このバンドは音はOKなんだが、ルックスがかなりキツめなのでその辺がご勘弁)、後輩のアベフトシがいなくなってウィルコがいなくなるともう「この系譜」のギタリストが消滅する、と思う。
パンクが安物ナイフで粋がるガキだとしたら、彼らのギターは日本刀の居合い抜き。
髪があったころのウィルコ・ジョンソンは殺し屋然としていたファーストシリーズの初代・石川五ェ門のイメージである。と自分だけが思っている。

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性別:
男性
職業:
古本すうさい堂
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