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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

【すうさい堂最新情報/極私的ツイッタァ】 ■■ 2017年10月13日(金)13時より移転オープンしました。■吉祥寺本町1-29-5 サンスクエア吉祥寺201 ■0422-27-2549 ■金/土/日/祝日のみ営業

セシル・B・ディメンテッド!



黄金週間も終わりましたが特別なにがどうだということもないので、また本とは関係のないことを書く。
ようやくまともに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を観た。うむ、良く出来てる。ちゃんとしてる。半袖ダウンをずっと「救命胴衣」と言われ続けるギャグは面白かったし。
ただ公開当時、自分が見向きもしなかったのは実によくわかる。「ご家族でも楽しめる最高の映画です!」という触れ込みで大ヒットしていたが、当時の自分は映画を観て楽しくなろうなんてことはこれっぽっちも思ってないからそりゃ完璧にシカトですわな。
はじめてひとりで劇場に行ったのが『時計じかけのオレンジ』と『シャイニング』の二本立てで、もっとこういうのが知りたいんですけど!というわけでそっち方面にズブズブと進んでいったわけですけど、これはこれで間違ってなかったと思う。
みんな大好きな「バック~」、一応みたのでまあいいやということで、これは結局自分的には本筋じゃないのである。つまりは未見のスターウォーズやダイハードなどを観てもそういうことになるのだろうなと。本当の話が、その辺の映画はソフトを手に取るだけで、かったるい。
ワクワクするかどうか、が大事であり、たとえハズしても手に取ったときに「なんだこれ!」というワクワクを感じさせてくれる作品がやはり、本筋なんである。

さてワクワクする話。『セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ』(2000)がクレイジーで最高なのだ。
ジョン・ウォーターズの作品としては70年代のディヴァイン主役時代ほどの強烈さはない。
アングラ臭を払拭した今風のわかりやすいコメディになっているんだけれど、バカはバカでも一味違うというか、そういうことを述べていきます。
セシル・B・ディメンテッド(スティーブン・ドーフ)と仲間の「スプロケット・ホールズ」は映画テロリストである。
シネコン、家族向け、リメイク、感動大作などに異を唱え、ハリウッド女優のハニー・ホイットロックを誘拐し彼女を無理矢理主役に仕立て、ゲリラ的に人気作を撮影中の現場をぶっ壊していくという「リアルな」作品を作るという志を持った連中。
元ネタは「パトリシア・ハースト事件」。テロリストが新聞王の娘で女優のパトリシアを誘拐するのだが、ゲリラ思想に共感した当のパトリシアが銀行強盗に参加し、指名手配されるという有名な事件。
パトリシア・ハースト本人も女優として最後に登場する。

誘拐したハニーにチームの面々が自己紹介をする。彼らは「アンディ・ウォーホル」「ハーシェル・ゴードン・ルイス」「デビッド・リンチ」「スパイク・リー」「ケネス・アンガー」などの非ハリウッドの監督名をタトゥーで刻んでいる。自分にとって「誰が何と言おうと最高」という意志の表れであり、一番カッコいいシーン。
ハニーも最初は嫌々ながら参加しているが、ニュースで「ハリウッドの恥さらし」呼ばわりされたことをきっかけに、本格的に彼らの仲間になっていく。
セシルたちが「フォレスト・ガンプ」続編の撮影現場に乗り込んでメチャクチャにしていくのですが、自分はその作品はみていないのですけれども、きっとひどい映画なんだろーなーと思いました。
結局のところ、彼らがやっていることは負け戦。とはいえ「でもやるんだよ!」の大意のもと、ゲリラ映画のために殉死していくというストーリーは意外と胸キュンなのだ。
ファミリー映画とかシネコンのあり方に疑問を持たない人は、スプロケット・ホールズの主張はまったく理解できないだろう。このマイナーな作品自体手に取ることはないのだろうけど、ま、それはそれ。

次作のエロコメ『ア・ダーティー・シェイム』も観たのですが、ちょっとさすがに、我々日本人はここまで偏差値を落とせないというか・・・こういうイメージがあるから洋画コメディには手を出しづらいんだよなー、という典型。
純粋な「レッドネックのための映画」である。これはちょっと勘弁して。


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バカのマグナム、ズーランダー!



最近ようやく洋画コメディの鑑賞方がわかってきたのである。
ゆるーくボーッと観てると悪ふざけが川の流れのようにどんぶらこっこ、あーっいっちゃったよー、という感じではい終わり、ってなイメージでした。言葉もセンスも習慣も違うのだから面白さは伝わらないじゃん、という偏見もあったりする。
が、それはそれとして、ツッコミのアンテナをマックスにして鑑賞すると、さりげないギャグも感知できるようになる。つうわけで、また無駄な特技がひとつ増えました。
最適なテキストが『ズーランダー』(2001)。監督、主演はベン・スティラー。
ファッションモデル、デレク・ズーランダーが主人公。背は低いが甲本ヒロトっぽくもあり、グラサン姿はシド・ビシャスみたいでもあり、実際カッコいい。と書くとオサレっぽいけど、すっげえバカなので安心安心。
長年トップを走っていたがズーランダーだが最近、ハンセルというマッチョ系モデルが頭角を現す。
でもインタビューで「尊敬しているアーティストはスティング。彼の音楽は聴いたことないけど」と、堂々とのたまうバカ。
彼らバカふたりがその年のモデル・オブ・ザ・イヤーを争う。ズーランダーは自分だと信じ込んでいるので、アナウンスをまったく聞かずステージに上がるが、今年のナンバーワンはハンセルだった。
その大ポカを二分割画面と流暢なカメラワークで捉える。「あっズーランダーってバカなんだ!」と観客に納得させる素晴らしいイントロ。
冒頭で流れるのはブロンディの『コール・、ミー』。チャラい。ものすげえチャラい。さらに作品中に流れるベタベタな80年代ヒットが、この作品のチャラい輪郭を固める。

傷心のズーランダーを励まそうとモデルの友人たちがドライブで盛り上がるが、ガソリンスタンドの事故で全員が死んでしまう。ここ、史上稀に見る犬死にシーンです。死因は「バカ」。
ズーランダーは葬式で「モデルだってガソリンが爆発すれば死んじゃうんだ」と偏差値が存在しないようなスピーチをしたあと、モデルはやめると故郷へ帰っていく。
彼の故郷は炭鉱町。顔を真っ黒にして働いている父親や兄弟のもとへ「全身ヘビ皮のスーツ」で現われる。偏差値もないが空気も読まない。
現場ではもちろん役立たず。仕事を終えて家族が一杯飲んでいるときに、息子が人魚に扮しているCMがテレビ画面に映る。
父親は「マーメイドになんかなりやがって。死んだ母さんが見たらきっと泣く」と吐き捨てる。
それを聞いた息子デレク、半ベソで「マーメイドじゃない!マーマンだ!」。いやーきっと、そういう問題ではないと思うんだよね?
長々とツッコミを続けているが、物語はまだ何も始まっていないのです。

そんなズーランダーを新作のショーに起用したいと、デザイナーの「ムガトゥ」から連絡が入る。
というのは建て前。実は歴代要人の暗殺は「洗脳されたモデル」が絡んでおり、新しいマレーシアの首相が「労働者にいい条件を与えてしまうため」、それじゃあ自分たちの工場が儲からんではないかと、ファッション業界の組合が彼の暗殺を企てる。
なぜモデルかというと「連中は体を鍛えている上に命令を聞くバカだから」という理由。いくらなんでもそれはないのではないかと思います。
その中でも特に「頭空っぽ」のズーは最適、というわけである。
業界に戻ったズーランダーはハンセルと「ウォーキング&命がけのパンツ脱ぎ合戦」(このシーンでは本物のデビッド・ボウイが出演。お疲れ様です。不動産屋時代のトランプもカメオ出演している)をした後に、バカたちの友情が芽生える。
そしてふたりはタッグで業界の暗黒組織に立ち向かっていくのであった!かというと、そうでもない。
バカ同士なので話の肝がわからず、会話のほとんどは上滑りしていくのである。
特に敵のアキレス腱であるところのパソコン(当時のアップルのようだ)を手に入れてからの「どっちもどっち」のバカッぷりは絶品。
さて、洋画コメディは「登場キャラの平均値がほとんどバカ」というパターンが多いようだ。
ただ、ヒロインだけはまともであり、これをツッコミに見立てるとわかり易くなると思う。本作も然りです。
そして、映画ラストの「噴水」。ここは見逃し勝ちだと思うけど、「ズーランダーっていい奴!」とほっこりする。
16年前の作品だが、非常に今日的なバカである。みなさんこんにちは。


マーズアタックのせいじ的いみあい



久々に鑑賞した『マーズ・アタック!』(96)。もういい加減おとななので、この作品が実は辛辣なメッセージを放っていることに気付く。気付いちゃいるが、それはうっちゃっておく。
これは立派なバカ映画である。「おバカ映画」ではありません。大物俳優たちがこれでもかと繰り広げるバカ合戦。バカしか出てこない。バカしか出てこない映画は素晴らしい。

火星人が突如飛来し、こいつらが意味もなく始める人類大虐殺。地球を侵略したいのかどうなのかすらよくわからない。しかも「我々は平和の使者だ」との舌の根も乾かぬうちに、飛ばされた鳩を焼き殺し、そこにいた人間たちをぶっ殺し始めるのだが、殺されるのがアメリカ兵や官僚たちなのでまあいいやと笑っていられる。
いや、ここには、異じんしゅ間による、ディス・コミュニケーション、が、え、描かれ、えーとえーと、あっ、ディスコ??えっとディスコ!そう、これはお祭り騒ぎのディスコ映画!
BGMは火星人が乱射するレーザーガンの銃撃音だ!!ががががが!!
脳みそむき出しの火星人の造形からしていかがわしく、CGで作っているのにあえて人形アニメみたいなカクカクした動きをする。まあ、昔から脳みそむき出しキャラってのはカッコいいものが多い。
ハカイダーとか、妖怪人間ベムとか、『ハンニバル』の頭蓋骨を外されたのに気が付かなくて生きてる人とか、みんなカッコいい。

とにかく見所は練りに練ったブラックなギャグである。
「首だけ男と体がチワワ女のラブラブシーン」とか、「火星人とステゴロでやり合う元ヘビー級ボクサー」とか、「どっからどう見てもおかしい『火星ガール』にメロメロになる政府広報官」とか、「シューティングゲームばっかりやってる黒人兄弟の方がシークレットサービスより射撃が上手い」とか、「二言目には『核攻撃だ!』とわめくタカ派の軍曹」とか(結果は観てのお楽しみ)、火星人たちによる様々な悪ふざけとか(モアイ像でボーリングetc!)。
中でも大統領と、いんちきブローカーの二役を演じるジャック・ニコルソンがノリノリだ。「オレ、どっちもやるんだもん!!」と、役をもぎ取っちゃったのだろうか?
火星人たちを前に「世界にひとつだけの花」みたいな演説をぶつのだが、あっけなくぶっ殺される。
ここで重要なのはディスなんとかによるなんたらという解釈ではなく、ニコルソンの死体から火星の国旗が「ぽんっ」と翻るという、ポップでブラックなギャグを笑うことである。
一番皮肉が利いているのは、第一回の攻撃で同胞が虐殺されているのにも関わらず「これはなにかの間違いだ・・・」と目の前で起こったことを認めない、アメリカ政府のマヌケっぷりかも知れない。

オチではあるのだが古い映画だからまあいいやってことで書いてしまうと、痴呆症のおばあちゃんが愛聴する古いカントリー音楽(の周波数)が、火星人の頭脳を破壊していくのである。
ぶっちゃけ人類にとって用無しのボケ老人を、孫の(両親からもバカにされている)オタ少年が救ったことにより、ほとんどの人類にとっては用無しの古臭い音楽が、凶悪な火星人を撃退していくというキレッキレのジョーク。
彼らは人類を救ったとして勲章を授与されるのだが、その式典にもオタ少年は長髪+ネルシャツ+変なギョロ目宇宙人のTシャツ(「ちなみに「エイリアン・セックス・フィエンド」というゴスバンドのジャケ)で貫いている。ティム・バートン監督はいつだってオタクの味方だ。
ちなみにトム・ジョーンズというエンターティナー歌手も本人役で登場する。自分にとっては「単に歌がうまいだけの人」なのだが、彼の持つ無責任感(逃げ上手感)がこの作品には「いい塩梅」にはまっている。
ラストも、なんかいいかんじにまとめやがってこのやろう、と思いました。


ノー!ワイヤー!!ハンガーズ!!!



伝記というのは基本的に描く人物を良く見せるために「盛っていく」ものだと思う。「ワシントンは桜の木を切ったのでほめられました」とか。
ところが『愛と憎しみの伝説』(81)はリスペクトどころか、斜め上くらいに暴走しているように見える。
ハリウッド女優ジョーン・クロフォードの伝記映画。ジョーンを演じるのは史上最高の女ギャング「ボニー・パーカー」で有名なフェイ・ダナウェイ。もちろん当ブログを読んでいる人が『俺たちに明日はない』を観ていないわけがない、という前提で書いている。
どちらも若い頃は絶世の美女。ただ自分はジョーン・クロフォードの作品は、彼女が50代の『何がジェーンに起こったか?』しか観ていない。狂気の妹にいぢめられる姉の役だが、当ブログを読んでいる人にはおすすめの「娯楽作」であります。
この『あいにく(略します)』におけるジョンクロ(略します)の役こそが、『なにジェン(略します)』のガイキチ妹そのものなのである。

ジョンクロは子供が出来ない体質だった。それでも彼女は自分の子供が欲しかったので、女の子と男の子を一人ずつ養子に迎える。
子供たちにとって豪邸に暮らす何不自由ない生活に見える。が、養母は時折とんでもない感情の爆発を見せる。
特に長女クリスティーナに感情をぶつけ、水泳でガチ勝負をして「ざまーかんかん!」というくらいは序の口、化粧台でメイクをしていた幼い彼女にぶち切れ、髪をハサミでジャキジャキ切る!会社から専属契約を反故にされた夜には、怒りのあまり庭に植えていたバラの花をハサミでジャキジャキ切る!
子供を叩き起こし、「あなたたち、この花を運んでおしまいなさ~い!!」と絶叫。
ある晩、フェイスクリームで顔が真っ白のジョンクロが、クリスティーナのクローゼットの前に立っている。
そして「アレ」を見つけてしまう。針金ハンガーに下げられたドレス。
さてここで、この作品中でもっとも有名なセリフが飛び出す。皆様斉唱、せーの、
「ノー!ワイヤー!!ハンガーズ!!!エヴァー!!!!(なんで針金ハンガーにかかってんのよおおおおおおおおおおお!!!!!!)」
「高いドレスを雑巾みたいに扱いやがって!!」と、怒りが止まらない。
そして「まだあるんじゃないの見つけてやるわむきいいいいい!!と、服をバシバシ放り投げ、もう一本めっけちゃうのである。その針金ハンガー2号で、寝ていたクリスティーナをバシバシぶっ叩く!
さらには浴槽の床に目をつけ、「汚れてる!全然きれいじゃない!朝までにあんたが掃除しなさああああああい!!」と、洗剤をぶちまけタイルは真っ白。
なぜか深夜の風呂掃除を託された幼い女の子がつぶやく。「なんでこうなるの?」
いや、あまりにもものすごいシーンなので、3回もリピートしてしまいました。もちろん笑うためである。

大人になっても母親と長女の確執は止まらない。
やがてクリスティーナは女優として連続ドラマの主演を張るようになるのだが、ある日病気で倒れてしまう。
さあドラマどうしよう?と困っていたところに現われた仕事がないジョンクロかあさん、「私が代役をやればいいんじゃない?」。
大女優なのでこれが通ってしまいました。
つまり視聴者は60代のおばあさんを20代の女性だと思って観ることを強制させられるということなのだが、これは事実なのか?いくらなんでもなくないか?
やがて死が、母と子供たちの袂を分かつ。養母と養女は最後の別れでお互いの様々な感情を清算した。
はずなのだが、最後の最後の最悪なオチに、クリスティーナは泣きながらも思わず笑うしかないのであった・・・・ジ・エンド。

町山智浩氏の」名著『トラウマ映画館』にも『あいにく』は紹介されており、あまりにもドイヒーな内容に批評家の評価は散々、その年の最低映画賞まで受賞したという。
が、へんてこなものを愛好する好事家は存在する。代表格が悪趣味大王のジョン・ウォーターズ。
「この映画のクロフォードは『ジョーズ』のサメやゴジラと同じ」「ひとかけらの人間性も感じられない」と、彼流の言葉で大絶賛だ。
ウォーターズのようなセンスの人々が面白がってやがてカルト・ムービー化し、ゲイや女装趣味者の間では熱狂的に愛される作品となった。
ジョン・ウォーターズはダメ押ししている。「この映画はまったくダメじゃない。それどころか完璧だ」

「親愛なるマミー Mommie Dearest(原題)」という英語は本来の意味を離れ、今でも「子供を虐待する恐ろしい母親」という意味で使われている。クロフォードを知らない世代でも。
(トラウマ映画館「ハリウッド伝説の大女優、児童虐待ショー」より)


帰ってきたひっとらぁ伯父サン



歴史上の人物が現代に蘇えってさあ大変、という映画は山ほどある。
あるはずなのだが、今なにも思いつかない。ちなみにマンガでは手塚治虫『ドン・ドラキュラ』が好きで、これは日本の練馬区で暮らすドラキュラ伯爵とその娘のドタバタコメディである。意外と人情ものだったりする。あ、歴史上の人物じゃないのか。
『帰ってきたヒトラー』(2015)を鑑賞。この作品を楽しんだほとんどの人が感じたことが「総統閣下、かわいい(はぁと)」だと思う。もっとも復活して欲しくない人物であるにもかかわらず、だ。
2014年のベルリンに唐突に蘇えってしまったヒトラーは、周囲の変化についていけずにびっくりしたり落ち込んだりしているうちに、キオスクの店主の情けで店に居候させてもらうことになる。
服がガソリンくさいと言われクリーニングに出すのだが、代わりがないから店からレンタルした黄色いポロシャツとジーンズで戻ってくる。単なるおっさんファッションなのに帽子はちゃんと被る、ってのが笑う。
かように(困ったことに)ヒトラーが、キッチュでファニーで愛らしいのである。同じ大量虐殺者でもこれがスターリンや毛沢東だと話が別。きっと小憎らしいに違いない。と、今書いていて思ったのだが、不思議なことにそんな映画は見たくもない。
そして局をクビにされたテレビマンが彼を見初め、「ヒトラー芸人」としてバラエティ番組に出演させる。
そこでヒトラーは得意の演説を一席ぶつ。要するに「テレビなんかに惑わされるな。みんなもっとちゃんとしろ」ということなんだけど、それがあまりにも真っ当な主張なので、マジで感動する人や面白がる人で盛り上がり、アドルフ・ヒトラーは再び大衆の人気者になるのであった。

オリバー・マスッチという主演俳優がヒトラーになりきって、野外ロケにも出かける。
顔をしかめる人もいるが、ドイツ人の多くがニコニコとアドルフ・ヒトラーを受け止めているという事実。
右翼団体の本部にもそのまま突っ込んで行ったりする。メタ・フィクションである。
この映画、「ドイツの政治がわかってないと面白くない」という意見もあったが、「ネオナチ」と呼ばれる人々がいる、ということだけ知っていれば全然オーケーです。それでもわからんってことであれば、申し訳ないけど知能指数の問題なので。
テレビ局の受付嬢(ゴス娘)にネットの操作を教わり、「人類の偉大なる発明インタルネット!」かなんか言いつつ初めて検索した言葉は「世界制覇」。萌え(はぁと)ますね。

ヒトラーの著作がベストセラーになり映画化も決定し、健全なドイツ国民の間で人気は高まるばかり。
その中で唯一、認知症のユダヤのおばあちゃんだけが「この男は悪魔だ。わたしの家族を殺した!」と彼の本性をさらけ出す発言をする。
それまでののほほんとした展開に冷や水をぶっかける辛辣なシーン。実際、カギ十字は登場しないし、強制収容所の映像も出てこないのでオブラートに包んだ印象だが、映画はそこから一気にブラックさが加速度を増す。
ちなみにヒトラーは「あるポカ」が原因で大顰蹙を買い、一度、人気が急降下する。そのエピソードはちゃっかりと宣伝ポスターに組み込まれている。作品を観たあとでわかるブラックジョークである。
登場したばかりの彼は「おもろいおっさん」だが、ラストは「恐怖の独裁者」然とした不穏な空気をしっかり纏っている。最初に書いたこととは矛盾してしまうけど、やはりヒトラーはヒトラーなのだという、一筋縄ではいかないコメディ(?)であった。

ちなみに「バカ系」が好きな人には『ナチス・イン・センター・オブ・ジ・アース』(2012)がおすすめ。
メンゲレ博士を中心に南極で生き残っていたナチスが、ヒトラーをサイボーグとして復活させるという内容。「マジンガーZ仕様の総統閣下」が大暴れします。









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男性
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古本すうさい堂
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自称「吉祥寺の盲腸」、すうさい堂のだらだらした日常の綴り。
本を読むという行為は隠微なこと、悪いことを覚えるためのモノ。

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