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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

【すうさい堂最新情報/極私的ツイッタァ】 ■■ 火曜と水曜が定休です。※店主が大昔に描いた絵を売り始めました。

半身不随のポルノ親分



かの「巻き髪おじさん」が大統領に当選して以来、KKKが祝賀パレードを行ったり、反トランプのデモ隊が銃撃されたり、ゲイの人が襲撃されたりで、最悪なスパイラルが始まっている。
しかしあの「盛り髪(セットが大変だろうなあ)」は西原理恵子のマンガキャラみたい。
彼氏の高須先生はトランプ派なので(嫌がらせも含め)、最強の風刺漫画家でおられるサイバラさんにメタクソに描いて頂きたいものである。

風刺といえば、それを使って全力で国と戦ったラリー・フリントという人物がいる。
職業はエロ雑誌出版社の代表。彼の人生を追った伝記映画が『ラリー・フリント』(96)。
監督は『カッコーの巣の上で』『アマデウス』が有名なミロス・フォアマン。
ラリー(ウディ・ハレルソン)はもともとストリップ劇場を経営していたが、店のPR誌を作ろうと「プレイボーイ」をめくっているうちに、ソフトフォーカスのグラビアやエロと関係のない記事の羅列に腹が立ってくる。
「読者をなめんな!こんなもんで抜けるか!」と、大股開きがお満載の「ハスラー」を立ち上げ、これを大ヒットさせる。
当然社会からの風当たりも強く(特にキリスト教)、逮捕もされてしまうのだが、ラリーはめげないのであった。

この映画を観た人が必ず絶賛する名場面。
ラリーは釈放パーティーの壇上で、スライドを大写しにする。
まずヌード写真を見せ「これは、猥褻かもしれない」。次に戦争や強制収容所の写真を見せ「じゃあこれはどうだ?」
「神は男女を造り、おっぱいやヴァギナを造った。それを写真に撮ったり、戦争の写真を掲載したら犯罪だ。でも人々を戦地に送って殺している戦争はどうなんだ?どっちが忌まわしい?」
いろいろ中間もあるんじゃないの?という意見は言いっこなし。彼はきっと省略美学の人なのだ。

ある日、ラリーは銃撃されて下半身不随になってしまう。
彼にはストリップ時代に見初めた妻・アルシアがいた。演じるはコートニー・ラブ(カート・コバーンの素敵な奥さんとして有名)。この人は元ストリッパーでリアル・ジャンキーなので、演技経験はゼロなのに生々しくカッコいいのだった。
ラリーは負傷した痛みを和らげるために薬物依存になってしまい、アルシアも旦那につきあう形でヤク中一直線。やがて彼は手術を受け薬を抜くことが出来た(が、アルシアはそのまんま)。
そしてラリーは覚醒する。他人にまかせきりだった会社へ車椅子で赴き、受付嬢に向かって「変態が来たと伝えろ」。
ヘロヘロのアルシアも同行させ、「お前ら、女房とちゃんと、握手しろ」。

どこまでが映画的な演出かわからないけれど、半身不随になってからのラリーのメチャクチャなアグレッシブさには惚れ惚れする。
法廷にヘルメット着用で出向き(当たり前だが「それ取んなさい」と怒られる)、下半身はオムツ姿。しかも、そのオムツは星条旗。
「プラダを着た悪魔」というのがあったが、こっちは「オムツをつけた悪魔」である。
罰金を払えと言われれば、ゴミ袋を持ったバカっぽいねーちゃんを呼び寄せ、その中に詰まっている膨大な紙幣をまるでゴミのように法廷に撒き散らす。
金持ちの最高にカッコいい金の使いかたを見た気がする。

やがてラリーとハスラーは、最大の敵対者であるキリスト教福音派の大物・ファルエルを攻撃する(裁判所でラリーはファルエルを「ファックエル!」と呼んで強制退出)。
ファルエルが「私は母親とセックスしました」と告白するパロディ広告を誌面に掲載したのである。
もちろん告訴。両者の対決は「聖なる伝道師vs下劣なポルノ商人」といった様相を帯びてくる。
ラリー側には顧問弁護士(エドワード・ノートン)がいたが、ラリーの無軌道ぶりに呆れ果て、一度は袂を分かつ。が、説得されて現われた彼は、この裁判で最高のスピーチをする。
裁判官が「人格者であるファルエル氏を貶めバカにすることが何か公共の利益になるのですか?」と質問。弁護士はちょっと躊躇しながらも答える。「そうです」。
ここからが名場面。書いてしまうのは無粋というもの。DVDでご覧下さい。

この作品を観ても何も感じないケツ穴野郎は、母ちゃんとやったあと、ガラスの破片入りピザを食ってくたばれ。ファックオフ!
フリントとトランプ、忌まわしいのはどっちだ?
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ひどい話コレクション



わ。トランプ当選。それまでトンチキな不動産屋みたいなイメージだったのですが、一夜明ければ米大統領。
優勢はマジだったんか、とちょっと驚く。なんでもレッドネックとかの最貧層からの支持をかき集めたらしい。
「はぁオラたちの王様だぁ~」ということらしい(らしい、らしいってすいません。実はあまり知らない)。
すでに「お前が大統領じゃヤだ」と、デモも起こっているという。まあ日本でもおんなじよーなのがいるからなあ。アベちゃんも少々やりにくかろうと思うとそこだけは面白い。
写真から「品格」とか「人格」がまったく見えてこないってのがすごい。柄にもなく「ゴッド・ブレス・アメリカ」とか思ってしまったわけだが、そういえばそんなタイトルの映画みたなー、よく考えたらひどい内容のばっかりみてるなー、とは思うものの、そこに何か教訓めいたものはあるはずなんである。ひどい話コレクション、いってみよーという備忘録。

『ゴッド・ブレス・アメリカ』(2012)。何から何まで類型的なのだが、狂っていて好き。
セクハラ容疑で会社をクビになり、脳にも腫瘍が見つかったおっさん。家族との復縁もままならない(ママにはイケメン彼氏が出来て娘は超ワガママに育ちました)。
絶望して自殺しようとするがテレビをつけると低俗なバカばっかり。ん?自分が死ぬよりこいつらぶっ殺したほうがよくね?と、まずタレント気取りのセレブ一家を皆殺し。
それを見ていた「世の中ムカつく!あたしも人を殺したい!」と思っている女子高生(アリス・クーパーのファン)に懐かれ、二人の殺人行脚が始まるという、ほぼファンタジーのようなお話。
テレビでバカにされている知的障害者を笑う奴らに天誅を下そうと、銃を持ってスタジオに乱入するが、その障害者もスターのつもりになっているのを見て悲しくなり、彼も込み込みで殺戮を開始。
おっさんは加勢に来た女子高生もろとも射殺されてしまうが、最後に来て「人生やり切った」感じで終わるのが大変よい。ネタバレもしてしまったことだし、不謹慎ながらも書いてしまうと「終わりよければすべて良し」である。



『ファーゴ』(96)。コーエン兄弟の作品。妻を人質に狂言誘拐を企んだ男が、あまりにも仕事が雑なチンピラたちと組んだため、話がどんどんヒドい方向に転がっていく。チンケな悪党をやらせるとスティーブ・ブシェミはその風貌が生きて光り輝く。素敵ブシェミ。ミステリ仕立てなので詳細はカット。
教訓としては「仕事する相手は選んだほうがいい」ということ。



『ネスト』(2014)。フランス・スペイン合作。姉と妹が二人で暮らしている。妹はごく普通に明るく育ち彼氏もいるが、姉はドアの外に出ると嘔吐してしまうくらいの引きこもり。
ある日、上に住むイケメンの住人が階段から転倒して怪我を負い、たまたま居合わせた姉に救援を頼む。
引きこもりだったおねーさん、「この人は天からの授かりものだわ!」と、イケメンを部屋で介護し、そのまま監禁することに決定。
その後、妹、イケメン、イケメンの婚約者などすべてに最悪なことが起こる。特に妹に降りかかる最悪っぷりはヒドすぎるので笑うしかないのだった。
この作品は現在引きこもりの人がショック療法として鑑賞すると良いかも知れない。
「それやってても、いいことはひとつもないよ」ということ。



『エスター』(2009)。子供を流産させてしまった夫婦が、代わりにとロシアで育った9才の少女・エスターを養子にするが、その子はトンデモマジキチだった!
レンタルでDVDを手に取っていたら横のカップルが「エスターって(ネタバレ)なんだよねー」とくっちゃべっておられ、自分はマンガのようにズッ!となってしまったんだが、なるべくミステリ棚で会話する際には気を使って頂きたい。
しかしこの作品、アウトラインが楳図かずおの『洗礼』にそっくり。母親や兄妹(妹は聾唖)は「あの子はおかしい」と早々に気付くが、父親だけは「そんなことない!エスターはいい子だ!」と、のんきな父さんなので、物語りはどんどん悲惨な方向へ。後半、父親に対して色じかけで迫るエスター。こんなシーンも『洗礼』にありました。
そもそも「流産したから代わりの子がほしい」という考えが実は鬼畜なのだ。チャージじゃないっつーの。
結果、「鬼が来た」というわけ。エスター役の女子が壮絶で、最もゾクリとした一本。



『アフター・ショック』(2012)。イーライ・ロスの制作・脚本・主演作。
彼の作品はホステル・シリーズなどもそうだが、「絵葉書映画」の側面もある。前半ははしゃぐ旅行者たちと共に、その土地の風景を実に美しく見せる。
登場人物はやや羽目を外しているが基本的にいい奴ばかり。だが、一転して後半、彼らは一人残らずヒドい目に合うのである。
この作品でいえばチリの大震災及び、ドサクサで「刑務所から凶悪犯罪者たちが脱走する」という二次災害。
普通の奴、いい奴、美人やイケメンも同じように、残酷な運命が待っている。「どんな人でも平等に恐ろしいことは起こる、かも知れないよ」というのがロスが作る恐怖の基本。
デビュー作『キャビン・フィーバー』(2002)も、山小屋キャンプを楽しもうとした若者たちの行く先が伝染病に侵された町であった!と。
伝染病というと、感染者は凶暴になって人を襲ったりするのかなと思うが、この作品では感染すると体がどんどん腐敗するのみなので、彼らは友達や恋人を見切って「えんがちょきった」する話でした。



『ハードキャンディ』(2006)。『スーパー!』の狂ったヒロイン・ボルティを演じたエレン・ペイジが主演ということで、鑑賞したわけです。出会い系サイトで繋がったカメラマンのジェフ(パトリック・ウィルソン)と「14才のヘイリー」(エレン・ペイジ)。
最初はダンディだったジェフが、部屋に招き入れた途端に豹変していくヘイリーに詰問されて、本性が暴かれていく。どうやら彼はロリコンらしい。
ジェフはヘイリーの友達に、なにかとんでもないことをしていた(らしい)。この辺、作中ではハッキリと描かれないのだが、ヘイリーはその敵討ちをするため、出会い系で彼を「ひっかけた」。
ジェフを拘束したヘイリーは、見よう見まね聞きかじりでタマを抜く「去勢手術」を施行してしまうのである。
この辺になるとカッコいいおじ様だったジェフが泣き叫んで懇願し、普通の情けない親父と化す。
非常に面白い。ってあれ、また女の子の味方してるな。
ヘイリーがジェフを追い詰める会話で「私がマイナーなバンドの話をすると、あなたは必ずチャットの間が空く。その返事はアマゾン・ドットコムのコメントと同じだった」というのがある。
痛快だが、ネットやウィキペディアなどに頼り勝ちだと、ついやってしまいそうなリアル感。
「自分の頭で考える」というのは大事だ。そうじゃないと、陰でものすごくバカにされてるのかもしれないよ。



ということで結局、こうした作品の楽しみ方は「対岸の火事って面白いじゃん」ってことになってしまうのだが。
「あんた、暗くてグロくて後味悪くてくっだらない映画より、アイドルやかわい子ちゃんを見てるほうがよっぽど楽しいと思わないか?」とか言われそうだが、割りと自分はえーっと、暗くてグロくて後味悪くてくっだらない映画を見てるほうが楽しいです。
アイドルやかわい子ちゃんは「対岸の火事ですらない」からです。

そんな身体でバイク乗れんのかよ?



祝・『狂い咲きサンダーロード』プレミアム上映。もう来週だからチケットもないだろうし混雑するだろうし永野とかのどうでもいい人も出るのでスルーなのだが、通常上映になったら絶対に行く。
単館とはいえシネマートって結構でかいのだ。過去のバウスシアター爆音上映が鳥肌もんだった。あの素晴らしいビリビリをもう一度。
この作品は「パンク・ムービー」と称される。でも出てくるのは暴走族(と、スーパー右翼)だし、音楽は泉谷しげるとPANTA&HAL。
そう呼ばれる由来は抑制が効かない、あるいは解放されまくっている「仁さん」(山田辰夫)のキャラにあるのだろう。
オンとオフしかスイッチがないし(微調整の機能なし)、右翼の訓練なんてかったるくてやってられないから、捨て台詞は「長らくお世話になりましたーっと」。最後の「-っと」が大事だ。
後先考えず敵の中へバットのみで突っ込んでいく姿はもう、カッコいいのかどうかすらわからん。
ただもう、すごい。「すごいものがうつってるからすごい」という、映画を観る原始的な快感。当たり前でもある。なんで時間を割いて「市井の人の日常」なんかを有難がらなければいけないのか?
生身の人間なのに、究極の破壊紳。ターミーネーターもランボーもお呼びじゃない。いや、彼らには腕力や武力で負けるかも知れないけど、気合と殺気で勝つ!!
理詰めの人には「なんでこうなっちゃうの?」と、まったく理解できないと思う。
はねっかえりの族のひとりが言うことをきかなくて困るので、スーパー右翼(スーパーって付くのが、だっさくていい)に片手片足を切断されてしまい、殺人マシーンにカスタマイズした主人公が右翼と族上がりの警官たちに復讐するというシンプル極まりないストーリー。
大雑把過ぎる筋に対して、実は映画的な完成度(満足度)がメチャクチャ高いのだ。
それはもう「かったるいことは一切やんねーから!」と決めたかのようなカメラワークがそうだし、モッズが作ったというサントラを全部捨てて、泉谷とパンタの曲をぶっこんだ石井聰互監督の神がかり的な英断にもある。
イッちゃった目つきで仁さんがつぶやく「街中の奴らみんな、ぶっ殺してやる」。
これ以上カッコいい映画のセリフを他に知らない。
そして、見事に何ひとつ希望ってやつが描かれないのに、こんなにポジティブな気持ちにさせてくれる映画もない。
普通の言葉を使えば「奇跡の感動作」。全オレ(みたいな奴ら)が泣いた!

自分が世界一愛している映画である。
ちなみに世界一面白い映画がジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』で、世界一カッコいい映画が『女囚さそり/けもの部屋』で、世界一のコメディ映画が『悪魔のいけにえ』で、世界一のガーリー映画が『デス・プルーフ』で、世界一のアイドル映画が『太陽を盗んだ男』で、世界一のミュージカル映画が『爆裂都市』。
お粗末様でした。
というわけで時期も重なり、以前からやってみたかった『爆裂都市』と『狂い咲きサンダーロード』で使用された楽曲のみを回すDJというのをやるのであります。「狂い咲き~」オンリーだと、パンタと泉谷だけになっちゃいますので。「サ」のつくバンドのレアナンバーや、劇中歌の元ネタとかも回ります。
11月2日高円寺フォース・祝日前の水曜。詳細はこちら。
http://fourthfloor.sub.jp/
イベントタイトル『そんな身体でバイク乗れんのかよ?』は、闇ブローカーでシャブ中の小学生「ツッパリの小太郎さん(この役を子供にやらせたってのがすごい)」が映画のラストに放つセリフ。フリークの方は当然ご存知でしょうが。
自分の出番は21時半くらいでしょうか。どうだろう諸君!若い命を我々に預けてみないか!?(スーパー右翼・小林稔侍で)

あと、こちらのサイトにヂル会長が大フューチャーされています。
http://www.enjoytokyo.jp/solo/master/tatsujin12/640/
かわいーとかだけじゃなく、黒猫の持つ魔性の部分にも言及されております。とにかく、ヂルの表情が多彩。「ヂルは触って初めて良さがわかる」とは我ながら名言。




カルトムービー三題



まあしかし。あまりにも自分や店のことを書かない(書くほど面白いことがまったくない)ので、そろそろブログタイトルも変更しようかと思っておる次第。ちなみに最初期は「がんばれチヨジ日記」でした。
カルトと呼ばれる映画を三本観まして、そのうち二本はわざわざ中野ツタヤからレンタル。あそこは防犯キーが付いているので、セルフレジで知らずに帰ると悲しい結果になります。
まずはリベンジ・バイオレンスの古典として名高い『鮮血の美学』(72)。
ちょいヒッピーでフラワーな娘がならず者たちにレイプされ殺されてしまい、その犯人たちが知らずに彼女の両親の家に宿を乞う。彼らが娘を殺したことが発覚してしまい、両親が怒りの大殺戮を展開するというシンプルな話。
母ちゃんはコチンを食いちぎり、父ちゃんはチェーンソーで切り刻む。とはいえ、直接的なゴアシーンはない。
当時は衝撃的だったのだろうけど、今となってはかなりもっさり。
それでも何ともいえない変てこりんな気分になるのは、あきらかに「どうかしてる」編集というか構成。
娘を殺した犯人たちは汚れを川で落とすのだが、そこに妙にメロウなバラードが流れる。それ必要か?
のんきな警察官と鶏を運搬するおばさんとの妙に間延びしたコメディ的会話。それ必要か?
映画は陰惨なラストを迎える。そしてエンドロール。殺された主演の娘さんが楽しそうに笑っている。そこに流れる脳天気なカントリーソング。
さらに続く出演者たちの顔ぶれ。冷酷な殺人者たちも、彼らを殺さなければならなかった両親も、のんびり警察官たちも同じようなトーンでカントリーと共に流れていくので今までの悲惨な話は一体なんだったのか?というか、台無し感がすごい。そこだけなら普通に楽しい映画のエンディングなんである。
当時は劇場で観客が怒りまくったと聞くが、それはもしかして呆れるような「無邪気さ」というか「罪のなさ」に対してではないか。
制作と脚本の二人はそれぞれ、『エルム街の悪夢』と『13日の金曜日』の監督として大ヒットを飛ばす。



『悪魔の植物人間』(73年)は身体の動かない人がなんかする、というわけではない。
例によっておかしなおかしな科学者が「人間と何かを合体させたらいいもんができるのではないか?」とがんばる系の話で、今回はそれが食虫植物。
それにしてもマッドサイエンティストにゃでっかい夢がある!フランケンシュタイン博士も死神博士もハイター博士(ムカデ人間)もみんなそうだね!
冒頭を飾る「食虫植物の成長過程の早回し」が禍々しくも美しい。リアルな『遊星からの物体X』みたい。
監督は結構なキャリア組のジャック・カーディフ。

主人公は大学の講義をしながら、自分とこの学生を誘拐しては、植物との合体手術を繰り返しているノルター教授。失敗すると見世物小屋行き。教授には顔面奇形の手下(リンチ)がいて、彼が裏作業を担う。
実験が成功すれば「おまえさんの顔も治してやる」と約束されているからである。
実はこの映画の本当の主役はフリークスたちで、当時の本物の見世物スターたちが一堂に集う。
小人はもちろんヒゲ女、多毛症のサル女、ガイコツ女、脚にまったくカルシウムがない人、「飛び出す目玉」の黒人(この人マジですごい芸です。ドライアイになったりしないのかなってのが心配)、皮膚がガサガサに硬化しているワニ女など。
彼女は舞台で「私は魚鱗癬という病気で、髪の毛も生えません。でも、七人の子供の母親です」と、心温まるエピソードを語る。ということでわかるように、本作は彼らにちゃんと台詞を与え、健常者とまったく同じ「俳優」として扱っている。
芸人のひとりが誕生日なので、フリークスたちがそれを祝うパーティーを楽しんでいるシーンがある。
そこにリンチが現われるのだが、皆から「あなたも仲間じゃないの」「一緒に祝ってあげて」と言われて超ブチ切れ。場をメチャクチャにする。
リンチは他の者と違い、自分の運命を受け入れていないのだ。彼はその足で売春宿に向かい、高いチップを払い女に顔を見せて「愛してると言ってくれ」とせがむ。知られざる名シーンだ。
で、最後の最後に全身を現す植物人間。ウツボカズラとの合体生物で、なかなかグロくていいデザインだけど、「バロムワン」の怪人とかにこんなのいなかったか?という気がしなくもない。
そして我々「和の民」としては、ひょっとこを連想するいい顔なので、ちょっと親近感がわきます。



ひさびさに観た『バスケットケース』(82)。監督はドイツの巨匠(変態作家としてですが)、フランク・ヘネンロッター。
身体に奇形の兄を宿していた弟(けっこうイケメン)。彼らは分離手術で独立する。
兄は人間というにはあまりにもアレな肉の塊で、弟にはテレパシーで心を伝える。
弟は自分たちを離れ離れにした医者たちに復讐するために、バスケットケースに兄を入れて持ち歩いているのだ。
というか弟は心を完全に支配されているので、兄の怒りにつきあう形である。
「不思議ちゃんのバスケットケースには小動物が入っている」とはリリー・フランキー氏の説だが、本作のバスケットには奇形で凶悪な兄ちゃんが収納されている。
とにかく「おこりんぼ」かつ「かまってちゃん」。バスケットを開ける者は容赦なく傷つけ殺し、弟に彼女ができれば気に入らん!と殺害して「レイプのようなこと」までする(不覚にもここで爆笑)。
あまりにも短気なので、よく言われているような「フリークスの哀愁」は感じない。むしろ弟に同情します。
肉兄貴がものすごくちゃちいのはご愛嬌。しかし本作は創意工夫の映画なので、コマ撮りも駆使して兄貴の動きを見せるのだが、そこだけ画質が変わっちゃうのは微笑ましい。つまり「ハンドメイドってのは良いね」と言いたいわけです。
しかし分離手術を執刀した医者の一人が「獣医」ってのはすごくないか?




「カルト・ムービー」と呼ばれるものの多くは、普通の映画に比べて何かが欠けている。
それは「思いやり」とか「良心」だったりするのかも知れないけど、捨てたものがザックリしている分、ある意味で「豪快」である。
やましいのになんだか惹かれちゃうよねってことで、・・・ご同輩?(返事して!)。

秋のバーホーベンまつり



今年は妙に蒸し暑かったり雨が続いたりであまり秋っぽくないまま10月になりましたが、ようやく涼しくなった。
とはいえ現実逃避の映画鑑賞しかしていないので、別に天気なんかどうでもいいのだが。
ああ現実が辛いつらい。
ポール・バーホーベンにはまった。まとめて作品を観たら全部面白かった。「バ」で始まり「ン」で終わるキャラは「バカボン」「バットマン」「バラゴン(地底怪獣)」など、カッコいいものが多い。
そこに力入れますか?といった作風。『ロボコップ』は特に顕著で、ヒーローものだと思って借りるとあまりの残酷さにびっくりする。カクカクした「ロボコップものまね」が一人歩きしている気がしなくもないが、とんでもない映画なんだぞ。
『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)も然り。「アクションSF」で間違いじゃないんだけど、蓋を開けてみれば全編血まみれ。
市民権欲しさに志願兵となった若者たちが巨大ムシ軍団(バグ)と戦争している未来社会。このバグたちが大変気色悪く、さすがにこれはちょっと、怖気立ちながら観てました。カマドウマ大嫌い。
若い兵隊たちがバグに虐殺されていく。SFの枠としてはそこまでやんなくてもというくらいのゴア描写。
実はかなり悪趣味な映画だが、面白いのである。たいへん面白い。ただし「戦争は嫌だなあ」と強く思う。しかも、わけのわからん虫なんかにぶち殺されるのは絶対嫌だ!
好戦ファシズム国家を皮肉ったラストも強烈な一撃。極端な形の反戦映画だったりして。



大ヒット『氷の微笑』(これだけ有名なのにノーパン足組みシーンしか知らない)の次に監督した作品が『ショーガール』(95)。
大コケ、評価はボロクソ、その年の最低映画賞(ラジー賞)まで受賞。という情報しか知らなかったのだが、面白いじゃないですか。一体どこがダメなんだろう?
ストリッパーど根性物語INラスベガス。おっぱい出しすぎ?せっかく付いてるんだから出せばいいじゃんか。ストリップが舞台なのにビーチクは隠せってか?
ストリッパーたちのダンスがカッコいい。これも込みでダメな作品というのならば、じゃあ一体何だったらいいの?という話ですよ。
基本的に少女漫画の世界。というより愛憎が交錯するのでレディコミか。
難解なだけでしょうもない作品も数多いのに、すがすがしいまでのベタさ。そして頻繁におっぱいが登場するので、段々何とも思わなくなってきます。
女を売っているはずのストリッパー(主人公)が根性者で、くだらん野郎どもをぶっとばして終わるのだから、フェミニズムに満ちた作品とも言えるのだが。
バーホーベン先生はラジー賞のステージに上がって、直々にトロフィーを受け取っている。
洒落者である。



さらに大コケ、低評価という『インビジブル』(2000)。なんでかなあ。面白いのになあ。
生物を透明にする研究をしているチーム。リーダーの科学者であるケヴィン・ベーコンは天才肌だが、傲慢ないけ好かないやつ。彼が自ら人体実験のモデルになる。
透明化していく過程が、皮膚が無くなり筋肉になり内蔵や血管が見えて徐々に消えてゆくというエグいもので、世界にどれくらい「透明人間映画」があるのか知らないけれど、本来地味なテーマをここまで悪趣味な見せ場を作り盛り上げたのは、やっぱり偉い。
そして透明になった者はエロいことをする、というのは古今東西の定石。さらにベーコンは性格までも加速度的に凶悪化する。
どうせ「モンスターの悲しみが描かれていない」とか何とか叩かれたのだろうが、そんなもんどうだっていいよ。
半分くらいは透明人間なので、天晴れなくらいケヴィン・ベーコンの無駄遣い。

次々に作品が大コケするので「ハリウッドなんかもういいよ」と、オランダに戻って撮った『ブラックブック』(2006)。
ナチス時代の話が大好物なんですが、これ最高です。サスペンス仕立てなのでネタバレしないように書くと、家族を殺された復讐のためにナチ将校・ムンツェのスパイとして潜り込んだユダヤ人女性・ラヘルの物語。
このムンツェが「とてもいい奴」で、彼に近づくためにラヘルが用意したのが切手
ムンツェは切手マニアなので「えっこんなの貰っていいの?」と喜ぶ。このさまは男ならわかっちゃうんだよなあ、という感じ。
彼の描き方がとにかく斬新であり、「ナチスと言えど集団なんだから、いい奴だっているに違いない」という発想。対照的に「いかにも悪いナチ」という風情の将校も登場するが、この人がピアノも歌も達者ってのが笑う。後半、ラヘルにはとんでもなく悪趣味な制裁が待っている。
もちろん上から目線はなく、さくさくとストーリーは進み、主演女優はちゃんと脱いでいる。

どうせおっさんとおばさんが揉める話だろうと思ってスルーしていたが、『氷の微笑』も観なければいけないなあ。

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性別:
男性
職業:
古本すうさい堂
自己紹介:
自称「吉祥寺の盲腸」、すうさい堂のだらだらした日常の綴り。
本を読むという行為は隠微なこと、悪いことを覚えるためのモノ。

180-0004
武蔵野市吉祥寺本町1-28-3 
ジャルダン吉祥寺103

0422-22-1813

【営業時間】
月・木・金・土・日・祝日/13時~20時
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