えー、伊達直人さま、貧民の僕にもプレゼントください。できればキャッシュ(ズクで!)が良いです。現金書留でもオーケーです。
特に本日は身も心も寒いゆえ、久々にビッとしたエログロを!ということで『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』を観てきた(@阿佐ヶ谷ラピュタ)。
この作品、ポスターは所有していたが本編は未見であった。というか、この機会を逃すと次にいつ観られるかわかりません。
『東映カルトプリンス 牧口雄二の世界/エロ・グロ・純情』なる特集上映。
「牛裂き」と「鋸引き」という最も残酷な刑罰をテーマにした2話オムニバス。
キリシタン弾圧に血道をあげる奉行(汐路章・シャシン)。処刑や拷問がだいすきなサイコ野郎。
捕えた娘が自分の部下の恋人であることを知り、ニヤリとしてつぶやく。「ザッツ・パーフェクト!」、最高ですね。
目の前でまぐわってバージンを奪ったり、娘さんの両親を焼き殺したりのやりたい放題。
やがて部下に復讐されるのだが、これは失敗に終わって返り討ち。
娘は両足をロープで縛られ、逆方向に走らせた牛によって股を裂かれる「牛裂きの刑」にあう。
テンションはマックスな汐路奉行!精力剤として生きたイモリをガチ食いしたりと、プロとして全力投球。
(『蒲田行進曲』の「階段落ち」俳優のモデルがこの人である)
ラストの、この世では成就できなかった二人が抱き合うシルエット(たぶんあの世)が、とってつけた感もあるがなかなかに美しい。あと、異常にリリカルな音楽も。
お次は川谷拓ボンが主人公。
花魁宿でさんざん遊んだ拓ボン、文無しがばれて一年間住み込みで働くはめに。
しかし、妊娠した女郎を中絶させ(素手で胎児を無理矢理つかみ出す「手かきババア」が凄い)、さらに強引に客をとらせ、実は彼氏だった女郎ヘルスのスタッフは二人で足抜けしようとするが捕まり、彼女は死に彼氏は「ちんこ切り」の刑。無理強いされたとはいえ執刀医は拓ボン!
すっかり嫌気が差した拓ボンはオキニを連れ脱走。
殺人含めさんざん悪いことをするが捕まって拷問の末、鋸引きの刑。
動けないように固定され、竹製の鋸を置かれ、「切りたい人は切ってオッケーっす」と提供。
見事酔っ払いにより、竹ノコギリでぐちょぐちょ斬首される、つー話。
悲惨な末路ではあるが、それまでの拓ボンが生き生きと描かれており、意外と陰惨な後味はない。「拓力」か?
そして、殺される側はどちらも純粋さを貫いており、テーマの「エロ・グロ・純情」に偽りはない。
余は満足である。ザッツ・パーフェクト!
しかし本日水曜日。ちらほらサラリーマンの姿もあったが、彼らは普段、会社で同僚とどんな話をしているんだろう?と思ったが大きなお世話だね。
本のことをろくに書かず、映画や音楽のことばっかり書いてるすうさい堂は、老舗かつ現役のゴスバンドでありながら、カレーやラーメンの食べログと化している、『オートモッド』ジュネ氏のブログに似ている気がしなくもない。
ワイルドなバイカーが荒野をぶっとばし、アホのレッドネックに射殺されようが、それは他の国の話なのでどこかおとぎ話なのだが、和ものはロケーションや言葉や演技がダイレクトに分かってしまうので、とてもやるせない。
最近レンタルに置いてないような邦画DVDをいろいろ貸してもらったので、お礼の意味もこめてレビュウ。やるせなさのフルコース。すべてメインデイッシュ。
『やくざの墓場 くちなしの花』
まず、刑事(渡哲也)とやくざ(梅宮辰夫)が兄弟杯をかわすってのがすごいです。
姐さん役にカジメイ。敵対する組の企業舎弟に警察OBの佐藤慶。警察上部には金子信雄に成田三樹夫に室田日出男&極左映画監督の大島渚(いやがらせな配役)。そのまま組幹部と取り替えても問題なし。
ここでは拓ボンも刑事で、ここぞとばかりにチンピラをボコボコにしております。
在日問題もからめつつ贈る、娯楽作というにはあまりにヘヴィな男泣き劇場。
渡兄貴が歌う主題歌「今では指輪も回るほど やせてやつれたお前の噂」って歌詞も今聴くとすごい。民生に連絡したほうがいいと思う。
監督は深作欣二。「芸術祭参加作品」のテロップも多分いやがらせ。
『資金源強奪』
これはビデオソフト化も見送られていたらしい幻の一本。監督フカキン。
せっかくヒットマンのお仕事をしてお勤めしてきた組員(北大路欣也)、出所してきたら敵の組と手打ちが成立しており話が違う。ありえない。
だったらムショ仲間(拓ボン&むろっち)と組んで、賭場の開帳を狙ってタネ銭全部取ったろかい!と強奪を実行。怒り狂った組は子飼いの刑事・梅宮たっつんに捜査を依頼。若い嫁をもらったばかりでうれしい楽しいでも金がかかってしゃーないがな状態のたっつんデカは、このアルバイトを承諾。
そこで三つ巴の騙し騙され合いが始まるわけですが、最後に笑うのはやっぱりこいつかい、という。
本作におけるキタキンは「角刈りのブルース・ウィリス」である。
『野獣刑事』
これはやるせないですよ。工藤栄一監督・緒形拳主演によるダーティー刑事もの。
女子大生殺しを捜査するオガケンは有能だが、自分が逮捕したシャブ中(泉谷しげる)のイロ(いしだあゆみ)とねんごろになるわ、ボートで貪り食ったたこ焼きの容器は海へ投げ捨てるわ、髪はロンゲのオールバックだわ、別件逮捕はあたり前だわのやり杉くん。
あゆには男のガキがいるのだが、オガケンにはあまり馴染んでいない。そこへ泉谷が出所。
ガキとは意気投合。一緒に楽しく万引きしたり、コンドーム風船を作ったり。まともな大人よりダメな大人といる方が、子供としては楽しいに違いない。
やはりシャブに手を出してしまう泉谷。ガキをシャブの「はじめてのおつかい」に使ったりする。
犯行を追跡して「ミノルを使うな!!」と激怒するオガケン。ジャンキーにはジャンキーなりの仁義があるだろう、ということなのであろうか。
やがて本格的なシャブ中へ変貌する泉谷。この人は本当に足が悪いのですが、片足を引きずりつつバットを振り回し、あゆを追いかける姿は壮絶。
ダメダメな泉谷(この人が演じる役柄は昔からやるせない)、ダメ男を捨て切れないあゆ、登場する犯人からなにからすべてダメ人間、「これはカースト制度なのか?」と思うほど誰も幸福にならない。
ミノルとカレーを食いつつも泣き出してしまうオガケン。やるせない。
ラスト近くに流れる内田裕也氏の「フハ~ッ」な歌唱による楽曲もやるせない。
「ミノル」君は、『狂い咲きサンダーロード』に登場したシャブ中で銃器ブローカーの小学生、「つっぱりのコタローさん」以来の名子役。
『(秘)色情めす市場』
日本ポルノ映画史上屈指の名作、としての声も名高い74年の作品。
主演の芹明香さんは今見ると単なるしゃくれさんのような気もするけど、この人がモノクロの西成の街をかったるそうに闊歩するとき、なぜかただならぬ空気が巻きおこっている。
キャミソールのような格好で「お兄さん遊ばへん?」と春を売る。知恵遅れの弟との近親相姦。母親(花柳幻舟)も売春婦。同じ客を取った取らないで大喧嘩。
売春斡旋のオヤジとわけありカップルの軋轢。ニワトリを抱えて通天閣に登る弟。不覚にも妊娠&流産してしまう母親。それを見てしまい、バックでいたされながらも「自分たちの時もあんな風やったんや!」と涙を流す芹明香。
指名手配そっくりの男にここを出ようと誘われるが、「うちはここと相性がええ」ととどまり、やっぱり街を闊歩する。
上も下もない、ただここにいる、といった風情。
濡れ場は実に少ない。本当に「必要に応じて」ぐらいしかなく、今に比べると「当時の性欲」はずいぶんストイックだったんかなあと思う。
濡れ場を演じた女優さんよりも強烈な印象を残す、「コンドームを水洗いして再生しているオヤジ」とのツーショットのラストシーンは、意味不明に美しい。
この世界観を極限までフリーキーに追求した作品が、松井良介監督の『追悼のざわめき』かも知れない。
全然難しい話じゃないんだが、芹嬢がつぶやく「なんや、逆らいたいんや。」は、邦画屈指の名言であることに間違いはない。
てれびってものをまったく見ないので、パソコンの動画に飽きるとDVDなどを借りているわけですが、今週はなんと映画四本観たズラ。せっかくなので記しておくギャー。
『ヤッターマン』
アニメの実写版としてはなかなかのもんではないでしょうか。要するに子供番組の世界観で大人の話をしているんである。元ネタのアニメが実はアダルトな匂いぷんぷんだったりする。
ドロンジョとボヤッキーの関係性、ドロンジョとヤッターマン1号の恋愛感情、に嫉妬する2号、ドロンジョを「おれの女」扱いするドクロべえ、そこいらへんにはあんまり汲みしないトンズラー。
フカキョンのドロンジョ様ばかり取り沙汰されるのだが、白眉は生瀬勝久のボヤッキーじゃないでしょうか(相当好きだろう?この役)。
確かにフカドロもいいいんですけど、ほかにも誰かいたんじゃないのという気がしなくもない(もともと候補は土屋アンナだったらしい)。
ダンスのシーンがもっさいです。この子は運動神経ないんだなっちうのが一発でわかる。
「ありがとう、ヤッターマン2号さん」
「あ、たしかに2号なんだけど、『さん』はいらないから!」
「・・・・子供はわかんなくていいよ」
っていう会話に大人は笑ったと思う。
三池崇史監督はどんどん職人化してきた。
なんだかんだで主役はドロンジョ様の「谷間」と純情である。ドロボーだって普通の女の子。なんかフランスとかで人気が出そうだよな・・・・。
『肉体の門』
鈴木清順監督。戦後「パンパン」のアジトに、野獣・宍戸錠が転がり込んでくるという話。
それぞれのパンパンに赤・緑・黄色・紫とイメージカラーが配色されており、ゴレンジャーみたいである。
その日を生き抜くためには体も売ればタタキもやる。「商売抜き」で寝た仲間には凄惨なリンチが待っている。
モテモテジョーの好物は「パイナップルの缶詰」。野川由美子さんのヌードが拝める。
『処刑遊戯』
松田優作の遊戯シリーズ第三弾。一番シリアスです。共演した「りりィ」のハスキーな声が印象に残る。
標的の殺し屋と優作、「どこかで会ったかね?」「生まれる前に一度」「ずいぶん記憶力がいいんだな」みたいな会話をしとります。
唯一のギャグは、時計屋のおぼこい女子に優作が「最も危険が、危ないよ」と言って立ち去るシーン。
『スネーク・フライト』
原題は「へびがいるひこうき」。このタイトルを聞いて「クールだ。じゃあ出る」と主演したサミュエル・L・ジャクソンが偉い。
自分の殺しの現場を見られてしまったマフィアがその証人を亡き者にしようと、彼を護送するハワイ行きの飛行機内に「毒ヘビをめいっぱい」撒くんである。同行するのはFBIのサミュエル捜査官。
爆破すればいんじゃね?とかのまっとうな疑問はまあ待て。この際置いとけ。
やっぱ「ひこうきにはへびがいっぱい」だろうと。その「絵」が撮りたいんだから。重量オーバーであろうアナコンダに対して「どやって税関通ったん?」とか言うのはやっぱし野暮天。せっかく人を殺害するために登場するんですから。
レイの花にフェロモンを撒いたからヘビが襲ってくるのだとか、細かい辻褄はちゃんと合ってるからいんじゃね?ということで、ノリノリで鑑賞しよう。
バカップルはファック中に殺され、人気者のラッパーは威張り散らし、日系人のカンフー使いはほぼバリエーションのためだけに登場し、サミュエル兄いは後半逆ギレしてとんでもない行動を取る。
そして観客全員、「マジすか?」の嵐必至の大オチが待っているB級アクションの逸品。本来なら劇場で観るべきであった。
これが好きなら、バスジャックされた乗客の中に宝石強盗・不倫カップル・チンドン屋などが居合わせ、運転手は心臓発作で死亡(!)、さあどうする?バスは暴走だ!という70年代東映の大傑作『狂った野獣』もおすすめ。
映画を封切りの劇場で観るかどうかの決め手になるのはやはり、人がびしゃびしゃ死んで、爆発がどかんどかん起こって、エロがちょこちょこがあったりするようなものが「もとをとった」感割り増しで、満足度も大きいのではありますまいか?と、アホウのようなことを書いているが、実は共感する方も多いのではないでしょうか。みんな言わないだけで。
『マチェーテ』を観てきた(@新宿バルト9.まっつん構成員が調達してくれたタダ券で)。
http://www.youtube.com/watch?v=4MnwOso7mQc
本編はこの予告編の百倍くらいメチャクチャです。
主役のダニー・トレホはその面構えどおり、役者の他にも11年の懲役キャリアがあるという、バリバリそこんとこ夜露死苦な方です。麿赤児さんにソックリです。
で、このマローテもといマチェーテ、とんでもなく強いです。ナイフを使って三秒くらいで三人の首をぶっ飛ばしたり、引きずり出した「腸」をロープがわりに窓からダイブしたりします。医療器具から植木の道具から全部、武器です。
デニーロやスティーブン・セガールなどの大物も、嬉々としてヨゴレ役を演じています。特にセガールの死に様は要チェキ!「B級アクション」に出演できて楽しくてしょうがないみたい。
マチェ兄貴の神父もライフルを二丁拳銃でぶっ放したりしていい感じです(反動がどうの、とかいう物理学の話を持ち込むのは野暮である)。
ラストは、「アメリカはボクたちの国だから入り込んでくる寄生虫は殺してもいいだもんね」がモットーの国境自警団VSマチェーテ率いるヒスパニック軍団との大戦争です。
がははは、殺せ殺せ死ね死ねと、この手の映画を観ている時にしか味わえないドス黒い開放感を抑え切れません。
「マイノリティの人種問題」がテーマだとは思いますが、別にそういうことは考えなくてもよろしいんではないかと。感想としては「ヒスパニックマンセー!カウボーイハットをぶっ殺せ!」であります。
しかしロドリゲスといいタランティーノといい、この手の監督は「眼帯女」が好きだよなあ・・・・・。
終映後まっつん構成員と歌舞伎町のサウナに行って(男風呂にマッサージのお姉さんがうろうろしていてちょっとびびる)、新大久保で一杯ひっかけて帰る。ディープ。
「さそり」も「修羅雪姫」も「広島死闘編」も「怪談昇り竜」も「ジーンズブルース」も観てしまったし、というわけで「野良猫ロック」シリーズ5作全部借りてきて鑑賞。
このシリーズには監督が二人いて、二つのパターンがある。
『女番長野良猫ロック』『セックス・ハンター』『マシン・マニマル』の長谷部安春はスタイリッシュなアクション系。
『ワイルド・ジャンボ』『暴走集団72』の藤田敏八はヒッピー集団による群像劇。
もっとぶっちゃけて書くと、「梶芽衣子を撮れる才能があるか否か」ということ。
藤田版の焦点のぼけたゆる~い感じってのがどうにも退屈。カジメイがなんか普通のあばずれねえちゃんだ。
(『ワイルド』で白ビキニ姿が拝めるけど)。
この人はカジメイが稀代のファッションリーダーってことがまったく理解できていない。
そこへ行くと長谷部版は分かってらっしゃる。ピースカとわめく不良女子の中において光る超然とした佇まい。
やはりこの人はナイフとか銃火器とかの物騒なアイテムを持たせないといけません。
そしてシリーズ最高の名言、ワイシャツに裸足のカジメイがバイクに跨りぶちかます、『バッキャロー!!』が聞ける『セックス・ハンター』はシリーズ中でいちばん好き。ジスイズロック!!
「愚連隊によるハーフ狩り」という危ないテーマを持つ作品だが、なぜかレギュラー出演している藤竜也演じる「バロン」も出色。幼い頃に姉が米兵にレイプされる現場を見てしまったためインポになった、悲しき暴漢である。この人の十八番、大した必然性もないのに巻き起こる「くっくっくっ、くあーはっはっはっはっ」のげたげた笑いも、このシリーズを馬鹿馬鹿しく彩る。
一作目は和田アキ子を売り出すためのタレント映画だが、郷鍈治のワルさ&カジメイ軍団による「ミニスクーターの暴走」が光る『マシン』と、前述の『セックス』はおすすめ。そしてほとんどに苑文雀さん(昭和の上戸彩)が出ています。
ゴールデンハーフ、オックス、モップス、アンドレ・カンドレ(井上陽水)、カジメイの妹ちゃん、カジメイと安岡力也によるデュエット等、当時のニューロックを盛り込んだサイケ歌謡映画としても楽しめます。ゲバゲバ。