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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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狂犬、始まりました



最近足しげく劇場に通うシネフィルの私ですが、観ているものがほとんど昭和40年代の東映娯楽作品。
昔であればこのような番組が上映される劇場は「ションベン映画館」(実際、トイレがくさい)などと言われて蔑まれていたものですが、再評価の声も上がりレアな作品に出会える機会が多くなったのは良いことかと思います。
ションベン映画というのもなんですので、シャレオツに「アンモニア・シネマ」などと呼んでみてはいかがか。その手の映画ファンは「アンモニアン」、ってこの発想からはちょっと離れましょう。無理だわ。
ともかく今、ラピュタ阿佐ヶ谷のレイトショーが熱い。『渡瀬恒彦 狂犬NIGHTS』である。
わかってらっしゃる。東映作品で最も狂犬の称号にふさわしい暴れっぷりを見せているのは、実は菅原文太ではなくて渡瀬恒彦である。実際、当時の芸能界で一番ケンカが強かったと言われている。
彼のデビュウ作・『殺し屋人別帳』(監督/石井輝男・70年)を鑑賞。まだ初々しく狂犬ぶりは控えめだが、ビデオもDVDも未発売なのである。
いわゆる任侠ベースなので話は古臭いが、監督が監督なので部分的にアクが強い。そこがとても変。
渡瀬自身は組織に逗留している流れ者で、最初から最後までぶらぶらしてるだけ。
最も印象が強いのはフランス帰りの殺し屋を演じる佐藤充で、仏語でタバコをねだり(自分で買えよ)、ずーっと口笛を吹いてる。キザと言う演出を通り越して、バカ、かも知んない。
流しの嵐勘寿郎の正体は、子守唄をうたいながら人を斬る殺し屋。うーん。
刺青をライターで炙るという残酷なシーンがあるのだが、そういうところは執拗に長くてエグい。ラストの斬り合いにおける血糊の量はスプラッタ的。テリー石井の作品はストーリーよりこういう細かい悪ふざけが重要である。
あとはやっぱり、出てるだけでなにをやっても面白い由利徹。

先日は同劇場で小林旭×宍戸錠の『縄張り(シマ)はもらった』(監督/長谷部安春・68年)を鑑賞。
集団抗争劇の先駆けか。いわゆる「渡り鳥」的ではないアキラ。刑期を終えたアキラが組長の恩義に報い、組を再建するためとは言え、汚い画策もする。地元民に味方する昔ながらの任侠ヤクザ組織を潰してしまう展開はなかなか斬新。
宍戸錠という人は自分の中ではハカイダー的な位置づけなのだが、この作品ではハカイダー度が増量。アキラの敵なんだけど最終的には味方する、みたいな。かなり黒光りしたカッコいい存在感を見せる。
あとはやっぱり、本名の太田雅子時代の梶芽衣子さんが見られます。おっぱいも見せてくれます。

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メスバチとマムシ



池袋新文芸座にて『まむしの兄弟/恐喝(「カツアゲ」と読みましょう)三億円』と『女番長(「スケバン」と読みましょう)ブルース/牝蜂の逆襲』鑑賞。
東映ピンキー&バイオレンスの巨匠、鈴木則文追悼上映。
「恐喝三億円(73年)」は、はみ出し者二人組が情にほだされ大活躍、というプロットが「ブルース・ブラザース」の元ネタなんじゃないかとの説もある(まむしの場合は「大殺戮」になるのだけど)。
菅原文太と川地民夫、すばらしくバカ。ちょっと違うタイプのバカふたり。
当たり屋をして慰謝料を求め、加害者である中国人の社長を恐喝に向かうまむしブラザース。実はこの社長は覚醒剤密売の大物。その家に住む流民の用心棒・松方弘樹にボコボコにされるが、彼が後半、駆け落ちした社長の娘と共に取引される覚醒剤・三億円分を奪おうとブラザースを誘う。
母親を探しに中国に渡るという松方に打たれ、「五円で売られたラーメンの兄ちゃん(松方)が三億のカツアゲや。おもろいやないか!」とこの計画に乗る。基本いいやつ。凶暴だけど。報酬は二分の一。
「三億の半分てなんぼや?(川瀬)」「アホかお前は。1500万やないか!(菅原)」。でも、バカである。
完成していない筋彫りの刺青が、はんぱ者である二人を象徴している。
『仁義なき戦い』はシリーズ化が進むに連れ、菅原文太演じる組長がやくざ社会の徒然に苦悩する様が描かれ、一作目のはじけっぷりからはどんどん遠のいていく。極道とはいえ管理職は大変だなあと思う。
このシリーズの菅原文太は、狂犬としてギラギラしていた最盛期である。

「牝蜂の逆襲(71年)」は池玲子主演のスケバンもの。東映はこの類の作品はすぐにシリーズ化します。
池姉さんをリーダーとするグループ・アテネ団は美人局や万引きや車泥棒などをして毎日楽しく暮らしていましたが、そこに現れるOBのズベ公・ジュン、池さんに惚れてる愚連隊のボス・次郎、彼が組織ごと盃を受けようとしている暴力団・秋元組、そこの客分である天知茂、出てくるだけで何をやっても面白い由利徹、セイガクのバイクチーム、などが絡む。
最大の見せ物は、バイクチームが「これからはカーセックスの時代じゃねえ、モーターバイクファックだ!」と、女子たちを裸でバイクに乗せ正常位で挿入しながらバイクを走らせイッたら負けよ、という世界でも類まれなるバカなシーンか。振動で果てるのでしょうか。
池とジュンがタイマン勝負をして、それに負けたジュンがチームを去ってゆくところにいきなりチームの一人がド演歌を歌いだして送る(どうやら本物の歌手)、というシーンは泣かせる。いや、泣いてないけど。
トップ屋として登場する山城新伍はギターウルフの故・ビリーみたいで、かなりトッポい。
劇中、やたらと「あたしたちは野良犬だよ!」というセリフが繰り返されるが、「牝蜂」って言葉はひとつも出てこない。どうでもいいんだけど。

ところでこの二作品にはやっぱり、粉ものを指で舐めて「こりゃあ上物だ」とやるシーンが出てきて笑ってしまった。
この手の役をやる俳優にとっては必須のシーンか?「あの人はシャブを舐めさせたら日本一」なんて評価もあったりして。
70年代の東映には必ず「汚い組長役」専門でやってる役者さんが出演していて、顔は刻まれたが名前がいまだに分からない。かわいそうなくらいおんなじ役作りである。
小松方正も出てたけど微妙に汚い大人な役が多い。こうした「カッコよさをまったく感じさせない役者魂」ってやつもある。プロフェッショナル、ということなのだろうけど。
鈴木則文監督の作品は娯楽性と反骨精神が両立していて、わかりづらいところまったくない、ってのはいい。

ポルノに非ず



『喜劇 特出しヒモ天国』(75年・監督/森崎東)鑑賞@ラピュタ阿佐ヶ谷。
特集上映「わたしたちの芹明香」の最終作。緑魔子でも梶芽衣子なく芹明香ってのがいい。もはや中央線の「いい塩梅カルチャー」ってここしかないんじゃないか。
にっかつじゃなくて東映。主演は山城新伍。この人はテレビでも売れっ子だったはずだが、こうした猥雑な作品にも出続けている。
ストリップ一座に関する悲喜こもごもが怒涛の勢いで押し寄せる。あれよあれよという間に終わり、何だかわかんないけど感動してる。芹嬢はアル中ストリッパー役で、主役じゃないがかったるそうな存在感は抜群。
ロマンポルノ屈指の名作『色情めす市場』の出演時もそうだったが、「場末」が服着てるような女優さん(すぐ脱いじゃいますが)。褒めてないような気もするけど、もはやこのようなタイプの女優は絶滅したもよう。
川地民夫、川谷拓三、殿山泰司に改造人間・カルーセル真紀といった、大人な顔たちも大量投入。
しかし当時のエロの現場ってのは演るほうも見るほうもパワフル。官憲の介入もあったりするからスリリングだ。エロってのは時間とカネをかけるだけの価値があったんである。ネットのサンプルムービーでとりあえず用が足せてしまう現在は幸福なのか不幸なのか・・・。

ラストバウスはミッシェル




うーむ、やはり「俺の」バウスシアターをノイバウテンみたいなクソバンドで終わらせるわけにはいかねー!ってことで、先日はちょい店を抜けて『ミッシェル・ガン・エレファント THEE MOVIE LAST HEAVEN 031011』を観てきたのである。ちょっとうどん食ってきます、って感覚だ。
もうあんまり語ることもないけど、キザでいいバンドであった。等身大を売りにしてる連中ばかりの中で、彼らの存在はさらに輝いているような気がする。そんな奴らが「発泡酒」だとすると、TMGEは「ハイネケン」である(相変わらずいい例えするよなあ俺って)。
最後の最後まで衣装を着替えなかったチバとアベ。特にチバはキメキメのスーツ姿で登場したのがはるか昔のように、汗だくのシャツで歌いまくる。投げキッス魔のウエノ。モヒカンでも怖くないキュウちゃん。
日本語カウパンクの到達点『ジェニー』の乱痴気騒ぎも素晴らしいが、ラストナンバー『世界の終わり』で、声が出なくなったチバが、思わずギターを殴るように振り下ろす「一瞬」が、とてもいい。
横ではもはや死相が漂っているアベフトシ。一弦が切れてしまったギターをかき鳴らす。
(同名のバンド、ちょっとそこに座んなさい!って感じだ)
本日も爆音映画祭は開催中で、そのあとにライブイベントも続きますが、とりあえず自分の中ではこれで〆た。ちょっとここで劇場の写真なんかを載せたりするとおセンチなブログにもなるのでしょうが、写真は撮るのも撮られるのもまったく興味がないんである。
終わっちゃうものはしょうがない。おさらばである。泣いてない。
明日は『LIVING DEAD★COCKTAILS』@渋谷・アップリンクファクトリーです。
前作『毎日ぞんび』をリミックスした作品での上映となりました。よろしかったらどーぞ。


爆音爆殺



先日もバウスに入り浸って三本鑑賞。
まずは内田裕也主演の『餌食』(監督/若松孝二・1979年)。
色褪せて赤茶けた傷だらけのフィルム。音楽はピーター・トッシュ/マトゥンビによるレゲエ。
爆音ってつまりはボトムなのだと思い知らされる。ベースの低音がビンビン来る。
このチョイスが奇跡であり、ラストバウス最大の収穫なんじゃないかと思う。
ニューヨークに渡った音楽プロデューサーの裕也氏はレゲエバンド「ソルティ・ドッグ」に衝撃を受け、これを日本で発売しようするが、かつての仲間たちはアイドル専門になっていたり、外タレのプロモーター&彼らに提供するクスリの元締めになっていて、まるで売る気がない。
裕也氏は族あがりの兄ちゃんが彼女と同棲しているアパートに転がり込む。家主はしょっちゅう南部式拳銃を磨いている、戦争のトラウマを背負っていそうなジサマ。
裕也はレゲエバンドの招聘、兄ちゃんはナナハンを手に入れること。それぞれの夢をかなえる為、彼らはジサマから借りた銃で、クスリの取引現場を襲撃する。
(しかし粉を舐めて「グッド」なんて言うシーンを久々に見たが、あれ大丈夫なのかね?)
それにしてもレゲエである。こんなに硝煙の匂いが漂うような危険な音楽だとは思わなかった。裕也先生が相手をフルボッコにするシーンにも使われているが、これがまた恐ろしくハマる。
発酵したフィルムに映る昭和の街もいい感じ。三丁目のCGがいくらがんばっても出せない色。
この作品は未DVD化で、ビデオもほとんど置いてるところがない(吉祥寺にはあったような気がするんだが)。『鉄砲玉の美学』もそうだけど、多分音楽の権利関係がクリアになっていないからだと思う。
そしてこの当時の裕也氏のトッポさである(まあ、今でも十分トッポいのですが)。無差別殺人をキメるラストシーンのクールさ!
彼は昔から存在自体に賛否両論ある人だが、こういう作品に触れるとやっぱり、針が「カッコいい」を指す。
あの冷たい三白眼。どうやって生きたらあんな目になるんだろうか。しかしながら、昔からアレにやられているのである。

二本目は『ファントム・オブ・パラダイス』(1974年)。
ストーリー云々よりも荒唐無稽なポップさが楽しい。「オペラの怪人」をケバケバしくアレンジしたロックミュージカル。むせかえるような70年代カルト映画の香り。
深夜テレビで観て以来だから約20年ぶり。
愛され度としてはブライアン・デ・パルマの作品中ダントツであろうことの証明に、平日昼間であるにも関わらず満員御礼。ファントムがカッコいい。

三本目、『シャッフル(80年)/ノイバウテン 半分人間(85年)』。石井聡互監督の二本立て。
驚いたことにこんなマイナー作品に立ち見まで。自分は「シャッフル」目当て。
つきあっていたホステス(室井滋)を殺して逃げるチンピラ。それを追う刑事というシンプルな話だが、主人公が頭を剃り上げてスキンヘッドにする冒頭からして不穏。
過去が狂ったようにフラッシュバックするランナーズ・ハイのシーンや、思わず引きつった笑いがおこるラスト。
まったく、短編映画のお手本のような作品(30分)。
刑事役が今ではルポライターとして有名な森達也氏。名著・『放送禁止歌』は当店でめちゃめちゃ回転します。
そしてこの作品も爆音装置によりべースのボトムがブリブリと迫る!ぶっほほっ、である。
アインシュツルツェンデ・ノイバウテンってのは当時、鉄板やらドリルやらを使ったパフォーマンスで「前衛」と持ち上げられていたドイツのバンドだが、自分は名前とイメージしか知らなくて、まあ観てみようかなと思って鑑賞したのですけれども、・・・寝ました。これアートなの?ドカチンがいるんだけど?
所詮ノイズ。ロックンロールやレゲエの普遍性の前にはお呼びでない。









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