イタめしを食う習慣ってのが全くなく、ましてやパスタ(「スパゲッティー」だと何か不都合でも?)に払う金など一線も持ってないのだが、なぜか最近観た映画がイタリアつながりである。
セルジオ・コルブッチ×フランコ・ネロの『続・荒野の用心棒』。エグいね。イーストウッドの「荒野の用心棒」と全然関係ないのに、付けられた邦題からして怪しい。
ジョン・ウェインの西部劇ってのはアメリカ的精神に基づく正義や倫理感を軸としたものなのだろうけど(みたことない)、イタリア製のマカロニ・ウェスタンってのはとにかく観客の度肝を抜くことが最優先。
本国の呼び方はスパゲティ・ウェスタン。「マカロニ」と名づけたのは淀川長治先生で、中身が無い・・・というダブルミーニングもあるらしい。
そんなに観てないジャンルだけど、この「続」はほんと素晴らしい。
どろどろのぬかるみ道を、棺桶を引きずったガンマンが歩いていくオープニングからして痺れる。
「マカロニ演歌」と呼びたい主題歌最高。イタリア語バージョンは特に痺れる。タランティーノも使用した「ジャンゴ~♪」である。
ふっと酒場に立ち寄ると、町はアメリカとメキシコの組織が抗争しており、店は中立地帯だという。
この辺のプロットはやっぱり、黒澤明の『用心棒』から拝借。しかしアメリカ人もメキシコ人もイタリア語を喋ってたような気がするのは気のせいか?
棺桶の中に入っているのは、大木をも倒す蜂の巣みたいな「ガトリング砲」である。これでアメリカ組織を大虐殺!
赤いマスクをしたアメ公の死体が累々と。か、かっこいい。
メキシカンがアメリカ人牧師の耳を切断したり、アメリカンが一般のメキシカンを面白半分に射殺したり。これが1966年の作品。とがってます。
主人公のジャンゴも倫理観が薄いもんで、メキシコ組織に黄金の強奪をそそのかし、自分はそれを全部ドロボーしようとしたりする。
ストーリーはシンプルなんであんまりネタばれもよろしくないですが、ボロボロになった主人公が去ってゆくラストに流れる「ジャンゴ~♪」に、また痺れる。
マカロニ・ウェスタンってのは音楽が最高。「究極のマカロニ・ウェスタン サントラ主題歌大全集」なんてのも持っていたが、お金がなくて売ってしまいました。いまやアマゾンで結構なプレミア商品。あーあ。
イタリアのトラッシュ文化を代表する巨匠と言えばルチオ・フルチである。
大ヒットした『サンゲリア(79年)』は(これ原題が「ZOMBIE2」なんですね。ちなみにジョージ・A・ロメロとは全然関係なし)大昔に深夜テレビで観たのだが、虫が涌いたゾンビの描写が強烈に気色悪く、トラウマとして封印していた。
が、もうおとなになったのでそろそろみてもだいじょうぶかな?と思いレンタルしましたところ、ストーリーは別におもんないのだが、なかなか「ムーディー」な作品だと思った。
特に南の島の土中からぞぞぞぞぞっ、と蘇るゾンビはなんともエキゾチック。いや今見ても十分グロいんですけども。ノロノロ行進する正統派ゾンビである。
すっかり忘れていたのだが、この作品には水棲ゾンビがサメと戦う珍シーンがある!サメはガチの本物。
役者も撮影隊もよくやったもんだと思う。しかも、ストーリーには一切、絡んでないんですよ、このシーン!
ラストはアメリカでも大発生したゾンビが橋を行進してるっていう、絶望的な描写。だが、両隣の車道はなぜか、車が普通にブンブン走っている。
これは何を意味しているのかというと、単に「交通規制ができなかったんだよウ」ってことらしい・・・。
キメのシーンなのに「まいっか」で、そのまんま終了。調べてたら爆笑した。
で、伝説的な『地獄の門(80年)』も観たのだが、これはすごい。本当に、なにひとつ、さっぱりわからん。
牧師が自殺したので地獄の門が開きゾンビが蘇って不吉なことが次々起こる。・・・・なんだ、それ??
特にいくつかの突出したグロシーンが有名な本作。自殺した牧師の亡霊に睨まれたねーちゃんが目から血を流した後、ぞろぞろぞろっと口から内臓を吐き出したり(この女優さん、おかげさんで寄生虫に感染して病院行きになったそうです)、床を覆うぐらい大量の蛆虫の嵐が吹いてきたりする。なぜか?わかりません!!
自分の娘をたぶらかすなっ!、と勘違いしたおっさんが、若者の頭を電動ドリルで貫いて殺すシーンがある。
よくやるよ、ってぐらいリアルに出来たシーンなのだが、これまた、本筋には一切絡まない。まるっきり無意味!
(ルチオ・フルチという人はなぜか、そういうところに力を入れる監督らしい)
その残虐行為を行うのが、悪魔でも悪魔憑きでも亡霊でもなく、単なる普通の「勘違いした」おっさん。・・・・ははははは。
『ビヨンド(81年)』ってのも全然わかんなくて、鑑賞中に寝ちゃったんだな、僕は。
どれがおすすめかというと、わかりやすいという一点で『サンゲリア』じゃないでしょうか。
別に観なくてもいいと思いますが。
『ショーン・オブ・ザ・デッド(2004年)』なる、日本未公開のゾンビコメディは面白い。
主人公のボンクラ青年・ショーンのボンクラ判断につきあった人々が大変な目に会う。
イギリスっぽいブラックユーモア精神に溢れた作品。スローリー・ゾンビへの愛も満ち溢れている。
さて、今日は人気ブログ・オートモッドのジュネ氏が執筆する『フェティッシュダディーのゴス日記』風に書いてみようと思いますよ!!
本家はB級グルメ記事が主なので、別に反旗を翻すわけじゃないんですが(笑)、一応ちょっとゴスっぽいネタなにかあったかな~?と思ったら、最近観た邦画でインパクト絶大なのがありましたよ!!
園子温監督の『冷たい熱帯魚』ってやつなんデスが。
弱小熱帯魚屋(吹越満)とイケイケ熱帯魚屋(でんでん)がふとしたきっかけで出会い、ビジネスパートナーにならないかと持ちかけられるのですが、実はでんでんは邪魔者は片っ端から殺してしまう殺人狂で、吹越を無理矢理、犯罪の共犯者に仕立ててしまいます。
脅し文句が「家族は元気か?元気が何より!」ですよ!!
つまり、死体遺棄の手伝いをさせられてしまうんですよ!!
その方法が凄まじく、隠れ家の風呂場で死体を解体し、骨から肉を落とし、さらに肉と内臓をサイコロ状に細切れにして、骨はドラム缶で焼き(醤油をかけます 笑)、他の部分は川に流して魚の餌にしてしまいます。
手馴れたもので、この作業をでんでんと嫁さん(黒沢あすか。めっちゃエロい)が鼻歌混じりに行います。
怖いですね~・・・・・・
さらに怖いのが、この映画が実話をもとに作られているということなんデスよ!!
93年に埼玉県で起きた「愛犬家連続殺人事件」というのがあるんですが、これは犬のブリーダーである犯人と妻が、都合の悪い人間を殺しバラバラに解体して、ほとんど証拠を残さなかったため、実際に何人を手にかけていたのかいまだに判別できない、という事件なんですよ!!
劇中でんでんがよく口にする「ボディーは透明」という言葉は、実際にこの犯人が好んで口にしていた言葉だそうです!
怖いですね~・・・・・・
この犯人の共犯者が(吹越の役どころ)出所後に事件のあらましを綴ったその名も『共犯者』という本があるのですが、今は角川ホラー文庫のシリーズで文庫化されているので、興味のある方は読んでみてくださいね!!
マジ、すごいです!!
吹越の奥さん役・神楽坂恵も常に胸の谷間全開の大サービスだし、娘さん役の子もかわいいし、「猛毒エンターテイメント」と謳っているように、エロスとバイオレンスに溢れた、なかなかの娯楽作でございましたよ!!
やや、猟奇的ではありますが(苦笑)。
吹越満が最後に放つ、「人生ってのは、痛いんだよ!!」という言葉が胸に残ります・・・・・・(遠い目)
しかし園子温という監督、サブカルでアングラ者のくせに、元グラビアアイドルの女優さん(神楽坂恵)を嫁さんにするなんて、まったくなんてうらやましい!!(大笑)などと思ってしまった、夕飯どきのすう様でございました。
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怒られるかな?(笑 逃げ腰)
そのスジの者にジワジワと人気のカルトホラー『ムカデ人間』ですが、ほとんど根本敬の発想である。
ヒトをつなげてムカデっぽくしてみたーい!と狂気の欲求にとりつかれた博士が、日本人ヤクザとおねえちゃん2人をさらい、靭帯を切り口と尻(黄門様)を接合し、手術でムカデ人間を作ります。
ホラーってのは切断するのが定石だが、「くっつける」ってのはなかなか新しい。
先頭はヤクザで、関西弁で吼える。当然排泄もせねばならんから、まあ書かずとも「そういうこと」になるのだけど、この辺がもう根本敬特殊漫画大統領。
ヤクザを「吉田佐吉」、次に来るのが「村田藤吉」で、「さゆり」って感じに置き換えると、ね?わかる人にはわかると思う。
ラストは映画史上、これ以上の絶望はないんじゃないかってな悲惨さに、爆笑。
暴走する続編が『ムカデ人間2』。さすがにここまで来ると観客を選ぶ。
「ムカデ人間という映画」を愛する地下駐車場の警備員が12人の男女をさらっては監禁し、DIYの精神でムカデ人間を作るのだが、医者と違ってノウハウなんかないから、靭帯切るにも麻酔なんかしないし、歯は金槌で叩き折るし、口と尻をくっつけるのは、なんとでっかいホチキス!即席むかで!
この作品には前作に出演していた女優さんが「ムカデ人間に出演していた女優」として登場するのだが、今回は出世して(?)先頭。
でも食事を拒否して吼えたら舌を切断されてしまいました。
よく出るなあ。ムカデ女優って呼ばれちゃうよねえ。
キレた主人公は一人一人に下剤を注射して回り、そのあとはもうAVでいえば「ドグマ」チックなせ界。
ここのシーンは気合入ってるよ。誰も見たくない部分を(ホントは見たいんだろ?)徹底的にやってやんよ!っていう気合。
モノクロの映像(ももクロじゃないよ)が「イレーザーヘッド」的で、なんとも不気味である。
まあグロいはグロいんだが、結局は特殊効果である。
それよりも主人公の特異な風体に、すうさい堂さんの目は釘付け。
チビ・デブ・ハゲ。目の光が異常なギョロ目で、体のデッサンがおかしい。すべて歪んでる。七面鳥の蒸し焼き?
日野日出志マンガの実写版。ひょっとしてあなたがCGですか?
(ちなみに日本でもっとも日野チックなのは、中川家の礼二である)
すべての言動が最高にサイコで痺れる。久々にヤバいものを見たってことでこの俳優さん・「ローレンス・R・ハーヴィー」で検索してみたら、どうもこの人、キャリアのある役者さんで、かなりの親日家らしい。
梶芽衣子・池玲子・にっかつロマンポルノと昭和歌謡が好きで、「キノコホテル」の大ファンだという。
・・・・ハーヴィーさん、僕はほとんどの日本人より、あなたと友達になれるような気がしますよ!
ちなみにこの作品は3部作であるらしい。まだやんのかよ~って感じだが、「口とケツくっつけたら面白くね?」という小学3年生くらいの発想から、ここまで引っ張った頑張りは評価したいと思います。
しかし面白かった、タランティーノの『ジャンゴ 繋がれざる者』@バウスシアター。
もともとマカロニ・ウェスタンなんてものは残酷趣味が売りではあるのだが、クエンティンくんにバトンタッチされてからはさらに出血多量。『続・荒野の用心棒』のテーマソングがそのまま使われるオープニングですでに上がる。
「ジャンゴ^~♪愛を求めてさまよう者~」みたいな歌詞。表向きは歯科医であるところの賞金稼ぎ(クリストフ・ヴァルツ)が、黒人奴隷「ジャンゴ」(ジェイミー・フォックス)と組み、お尋ね者の首を換金しながら、ジャンゴの愛する妻を捜す旅をする、というストーリー。
愛の為なら何人ぶっ殺そうがかまわねー、ってことで、トバしまくる2人。タランティーノの殺しはいつもポップだ。
王朝貴族みたいな格好のヘンな黒人に殺されるのは浮かばれないが、見てるほうが小気味がいい。いつもどおり絶妙な「外し」の美学。
やがて2人は巨大な奴隷農場に妻がいる、との情報を聞きつけ、奴隷商人を装った詐欺の計画を立て、妻を奪還しようと企む。
ここで登場する地主がディカプリオ。自分は例の「でっかいカチカチ山」みたいな映画は観ていないので、とにかく初レオ様である。
脱走した黒人を犬に食い殺させたり、居間で奴隷同士のデスマッチを鑑賞して愉しむような残酷な男だが、彼らの話に簡単に乗ってくるあたり、詰めが甘い。
で、注進に及ぶのが奴隷頭というかほとんど執事のサミュエル・L・ジャクソン。
切れ者であり、どうやらレオ様のブレーン的な役割もしているらしい。しかも、同胞である黒人を嫌悪しているようだ。何か人間以外のDNAも混じってるんじゃないの、というくらい憎ったらしい面構え。最高だ。
銃撃戦のカタルシスも含め、非常に「胸のすく」作品。『デス・プルーフ』も『イングロリアス・バスターズ』もドツボである。もはやアンチ・タランティーノなんているの?と思う。
本人はマイノリティの逆襲、みたいなポイントに興味があるのかも知れないが、明らかにやりすぎてるところが最高。
ハリウッド的アクションヒーローにまったく興味がないのは、彼らは自分の手を汚してるとことを見せてくれないから。ジャンゴなんかあれだぞー、頭悪いレッドネックなんか平気でぶち殺しちゃうぞー!
極端な話、映画とは「合法的なスナッフ・フィルム」であると思う。こういうのがダメだと、相当数の作品を敬遠することになる。ちょっともったいないんじゃないかな?とも思う。
「ひとごろし」を目一杯楽しみたい。なぜなら自分は人なんか殺せないからです。
『パピヨン』と『怪奇!吸血人間スネーク』という2本の映画を観た。
パピよんは脱獄に賭ける男たちの重厚な人間ドラマで、出演はスティーブ・マックイーンとダスティン・ホフマン。
で、思ったのは、なげーなこれ、いつ終わるんだこれ?ということ。てなわけでぇ、このブログで取り上げるのはもちろん後者である。
映画としての盛り上がりをあえて一切否定したのか、単に才能がないのか、多分そっちなんだろうけど、潔く製作時間と制作費をだだ漏れさせている珍品。1973年度作品。
人間を「蛇化」させることが人類を救う道であると信じているガイキチの博士が、蛇の血清を実験体に注射し、日夜研究にいそいしんでいる。連れてこられた大学生もその餌食。
失敗作ってのはあるもんで、「四肢のない半端なヘビ人間」は見世物小屋に売っちゃったりしている。
これがなかなか際どく不気味なのだが、人でも襲わせればいいものを、なんか「クークー」鳴いてるだけで終わりました。少しかわいいかも。
最初のテロップで「この作品の蛇はすべて本物である。危険を顧みず出演してくれた俳優に感謝する」と出るのだが、蛇の毒は最初から抜いてあるに決まってるんである。
博士の娘と実験台の大学生のどーでもいいロマンスも絡めつつ、彼氏は脱皮したりして、血清の成果が出始める。
クライマックスはベッドに縛られ、特殊メイクにより急速に蛇化が進んでいく彼氏!
おお蛇人間だ!この辺でベッドから立ち上がって博士を襲わないと!と思ったのも束の間、あれあれ?変身の度合いがあまりにも早いぞ!どんどん蛇!どんどん蛇!
・・・・・・・・・・最終的に蛇人間は、単なる蛇さん(本物)になってしまいました。
博士は「大成功だ!」と喜んでおられたが、お前これ、映画としては大失敗だろう!?
とりあえずこのようなポンポコリンな作品が製作・配給され、DVD化までされているということに「映画の懐って深いなー」とか思ったりします。
『Sssssss』という原題だけは、洒落ていてカッコいい。
すこし、ふしぎ、です。