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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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そりゃあんまり近づきたくはないが

内田裕也『俺は最低な奴さ』読了。
プロデュースと構成は意外なことに裕也フリークで、実際につきあいも長い近田春夫。
矢沢と糸井重里のコラボ、『成りあがり』のような本だと思えばわかりやすい。
「ロック」にこだわる彼の齢69才を機に発売。69才のオールヌードページもあり。
音楽的才能まったく関係ナク、人脈と行動力と暴力性で他を制覇する日本ロック界のボス。
欠陥人間。だけど欠けたパーツから尋常でないエネルギーを吸い込み、自らのパワーとしている人。
フォークやテクノが最先端だった時代もブレることなく、「ロックンロール!」と体を張り続けた背骨は賞賛に値すると思う。

今回も裕也氏は被災地に渡り、炊き出しやみかん・バナナを「690個」支給。
「ロックにちなんで」ってことなんでしょうけれども、690個配るんなら1000個配ればいいじゃないか、あと310人に行き渡るじゃないか、などと一般人である自分は考えてしまうが、その辺の空気読まない感もこの人らしい。
「石巻は英語になおすとロックンロールだから、因縁を感じる」と、かの地へ飛んだけれども、インチキ競馬予想屋じゃないんだから(「6-9来るよ~6-9!」)、面白すぎです。
被災地で若年層から中高年までみんなが楽しめるライブって誰だろう、と考えたら裕也氏が浮かんだ。
あんなおじさんが踊ってたら子供は喜ぶだろうし、自分の持ち歌なんてないようなもんだから、「ジョニー・B・グッド」「コミック雑誌なんかいらない」「パワートゥザピーポー」と超スタンダード攻撃で大受け。どうですかね?
思うのだが、「被災地へ届けこの歌声!」とか言ってる人たちは、ちょっと自分たちが「上から目線」であることに気付いているのだろうか?
90年代以降の応援歌的j-popにはやはり脆弱さを感じるんであって、平和な時代に薄っぺらな希望だの、未来だの、守ってあげたいだの歌いすぎた。
例の「心配ないからね~」ってアレも、「心配ないわけねえだろ!」と思うし、「どんなに困難でくじけそうでも~」ったって、「じゃあおめーはどれくらい状況知ってんだよ?」と思うし、「必ず最後に愛は勝つ~」っても、現実問題として津波の前に愛は勝てなかった。
こんなことを考えるのは少数かも知れんですがね。
今の時代、一番誠実な歌唱表現とは、誰でも知っているヒット曲を持つ演歌や歌謡曲の人が、「被災地の皆さんのために歌わせて頂きます」と、「応援歌でもなんでもない、男女のドロドロした機微/葛藤」をうたうことじゃないか。
沁みるんじゃないかと思う。職人ってのは腕が違うんだよ。

(モー娘の『ラブマシーン』なんてのもアリかも。明菜復活も今なんじゃないか?とか。東京都民に向けてならエンケンの『東京ワッショイ』はいかがか?「♪甘ったれんなよ!嫌なら出てけよ!」なんてガツンとねッ)

スピッツのボーカルがストレスで倒れたらしいけど、そこまでメンタルが繊細だとある意味「ロック」だなーとは思うけれども、「ロール」はしてないんだよな。そこが「ロック」と「ロックンロール」の違いか。
「俺は成金にならなかったからよかったんだよ」なる金言も飛び出すこの本は、「ROCK的用法を用いた」タイトルセンスであって、その意味するところは逆である。

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嘗てそういう人が居ました

『プリンツ21』という雑誌の忌野清志郎特集を買い取りした。
この本自体が品切れだし、80ページに及ぶ特集なのでファンにはたまらないんでしょうが、こういうのを読むと「かつては好きでした」という思いが強くなる。
膨大なディスコグラフィの中でも、本当に好きだったのは80年ごろの『BLUE 』まで。
いわゆる「RCらしさ」から逸脱を始めたあたりから、もうひとつ輪郭がぼやけてきた。と思ってる。
しまいには「パパの歌」やらで、なんで「ロックロール・ショー」や「あきれて物も言えない」「いい事ばかりはありゃしない」「君が僕を知ってる」なんかを歌ってた最高のブルースマンがこれなんだ?という思いがいまだに消えない。
シンパは「人間味があっていいじゃない!」と言うのだろうけど、自分はロッカーはバケモノ・キワモノ・サイコ野郎でいいと思ってる(というか、それを演じてほしい)。泣き言を歌うなら女に関してだけでいい。人間味よりケレン味である。
お年を召して「お化粧のノリが悪くなっていった」のも離れた大きな理由。
ルックスは重要。少なくとも見かけがどうでもいいのは好きになれない。
「見かけだけでどんなことやってるのか分かっちゃう」のは確かにつまらないかも知れないけど、同時にそれはとてもクールな態度でもある。
おっさんとしてはやはり、「かまってちゃん」に肩入れは出来ないんである。

とか書いてるけど、フォーク時代の『楽しい夕べに』なんて激しさと叙情が同居した名盤だし、私生活や経済的には最悪の状態で録音され、あっという間に廃盤になった『シングルマン』の切羽詰った空気は、他とは替えのきかないものである。
CDもだいぶボロボロになっちまったが、20年以上ずっと手元にある。
自分にとっての清志郎はそこにいる。命日も忘れちゃったが、別に何の問題もない。

世界一の糖尿男




24日が過ぎるとクリスマス終了~、って感じが日本人らしくて現金でいい。
日本人なんてもともと無宗教なんだから、南蛮渡来の風習にまたがってはしゃぐのもよろしい。
今さらくさすのもなんかねえ、野暮ってもんで。
父の日母の日敬老の日などは「感謝せんかゴルァ!!」と、首根っこをつかまえて物品の供給を促すことができる強制執行能力があるが(一切シカトしている自分みたいなのもいますが)、結局イブってのはフレンズやステディなどその年最も同じ時間を共有した人々に対してなんとなく「あんがとさん」ということで、プレゼント交換したり酒を飲んだりするのではあるまいかと。
故にこの日だけはみんな一人になりたがらない。自分は孤独だと思いたくないから。
要するに日本中がしおらしくなっているのである。いいじゃないですか。
勘違いしている人はいないとは思うんだが、24日はキリストはんのお誕生日ではない。あくまでも前夜ですから!わかってんのか!?
ジーザスと一日違いの日に生を受け、「極悪」の称号をもらった男がいる。
レミー・キルミスター。

大御所じゃないバンドのドキュメントが好きで結構観ているのだが、GGアリン・アナーキー・アンヴィル・ニューヨークドールズ・ラモーンズなど、みんな面白い。
彼の誕生日にバウスシアター・爆音映画祭で観てきた『極悪レミー』http://www.youtube.com/watch?v=l_7h9t6zsJ8は、泣く子も黙る暴走ロックンロールバンド、「モーターヘッド」のボーカル&ベーシストのドキュメント。
実はあまり詳しくなかったりするんだが、昨日65才になったこの男の「豪傑」さが滅茶苦茶面白い。
糖尿病を患いつつも「今さらやめらんね」とコーラ&ジャックダニエルをがぶ飲みし、いまだに世界一やかましいと言われるベースプレイを続けている(レミー式ベースのミキシングは、普通のミュージシャンじゃとてもじゃないが弾けないらしい)。
「最高の宝は息子」と誇らしげに紹介するが、もう一人いるらしい子供には「顔も名前も知らない」と、究極のツンデレぶり。
その息子には「ヘロインはやるな、スピードやれ、あれは体にいい」と、深遠すぎるアドバイス。そうだったんだ?

安アパートに住み、部屋の中は大好きな軍事やナチグッズでいっぱい。豪放なロッカーとしての生きかたとオタ趣味が奇跡的に融合した光景。ある意味男子の理想ではありますまいか?
スラッシュメタルをはじめ、パンクやロカビリー、ハードコアからの支持も厚い。
やんちゃ番長オジー・オズボーンをして、「あいつの体は一体どうなってんだ?」と言わしめた。
レミーさんいわく、「おれのルーツはビートルズ、エルヴィス、リトル・リチャード」とのことなので、あくまでも本人的にモーターヘッドは「ロックンロールバンド」なんである。
ストーンズも現役ではあるのだけれど、彼らはあくまで「アリーナクラスでエンターテイメントショーを行うプロフェッショナル」。
レミーのライブは生きざまそのもというか、顔より高いマイクのセッティングでうなり声をあげる姿からして、唯一無比。
そしてライブ会場における、墨だらけのヤバそうな若い連中からの圧倒的な支持。ここがストーンズと決定的に違うところ(実はストーンズ「レディース&ジェントルメン」も観てきたんだけど、「なるほど伝説のへたうま演奏!」と、地味に納得して帰った)。

モタヘの代表曲でギャンブラー的人生賛美の『エイス・オブ・スペイド』や、「これは犯罪じゃない、ロックンロールだ」っていう曲とか、極悪野郎は書く詞にもブレがない。
レミーに最も近い位置にいるのがひょっとしたら、武道館たったひとり貸切ライブを行った時のエンケンかも知れない、と思った。
そしてポスターももちろん、「切り札」を意味するスペードのエース。
真ん中にいるのは「南米の珍しい鳥」じゃありませんぜ。

ルー・ルイスがやってくる!オラオラオラ!!

とうとうあの人が日本にやって来る。ルー・ルイス兄貴である。
レコ屋のコーナーとしては「パブロック」で発見できるが、完全にその世界からは逸脱している、白人ブルース・ハーピストの最高峰。
悪すぎるルックス、そして外見に恥じないマナーの悪さ。故にバンド(エディ&ホットロッズ)からは解雇。そしてパチモンのチャカで郵便局に押し入り、強盗未遂(+大麻所持、ヘロイン・コカインの売買)で7年間の懲役を打たれた前科者。
出所後は持ち前のトラブルメーカーぶりで音楽シーンの人間関係をぶっ壊し、ドラッグがらみで生計を立てているらしい。日本で言うところの「トバシのケータイ」をいくつも持っているので、連絡は容易ではないとのこと(ライナーノートより)。
招聘元のレコード屋(ビニール・ジャパン)に電話予約したら、「この人がどんな人か知ってますか?」と聞かれて、笑った。
一応来日は押さえたが、どんなトラブルがあるかも分からず、最悪の場合ドタキャンも有り得るとのこと。嬉しくなるようなリスキーさである。上等です。
スタジオ盤の『セイヴ・ザ・ウェイル』も名盤だが、BBCのライブ『ストリートのブギー野郎』における野放図なカッコよさってば、他に類を見ない。
ブルーズ/ブギー/ロックンロール/ガレージの最も最良な毒。
手のひらに収まる楽器・ブルースハープをこれでもかと吹きまくり、その殺気は前衛くんのノイズなんぞ足元にも及ばない。
50代半ばくらいなんじゃないかと思うんだが、素晴らしいどうしようもなさである。ストーンズとは違うタイプの、真のロッキンローラー(内田裕也っぽく)。
多分ライブは「最高か最低か」どっちかだ。デブになってたって全然かまわないが、「真ん中」だったらいらねえってんだ。
3・18、下北沢ガーデンにて目撃する予定。
http://www.youtube.com/watch?v=v72kNqi_AwM

毒を食らえよサラブレッド

最近の流行歌のキーワードはどうやら『守りたい』でありまして、特におなご衆が「あなたを守りたいずっと守りたい危機管理は請け負いますだからミカジメちょうだいね♪」と、最後のは冗談でありますが(笑)←わざとやっていますー、どうやら用心棒を多数輩出しているご様子。
そんな中で『一番きれいな私を抱いたのはあなたでしょう~』と、平成の恨み節フレーズをリフレインする中島美嘉は偉い。
失恋ソングがめっきり少なくなった(売れなくなった)ご時世に、「私やり逃げされました」と、「大人の事情」を突きつけてくるなんざ、久々にアダルトぢゃねいか。
わりと音痴音痴と叩かれちゃあいるが、この人の重~い声質は嫌いじゃなかったりする。
「流行歌・歌謡曲」ってのは本来どこかに毒を潜ませてるもの。
子供が何気なく口ずさんでいた歌の一節を聴いて大人がギョッとする、なんてのはかつて昭和によく見られた風景で、職人作家たちはさり気なかったり、あるいは露骨に、巧みに毒を盛っていたんである。
食い物に例えれば、「歌謡曲」は製作過程はあやしいが、それを食するってことにちょっと背徳的な魅力がある「テキ屋の粉モノ」で、「J-POP」はしっかり品質管理されて賞味期限が切れたらポイ、の「コンビニスイーツ」である。

ユーミンは通らなかったが実は中島みゆきって結構好きだったのでして、一枚だけ持ってた『親愛なる者へ』ってアルバムはよく聴いていた。
この中に入っている『狼になりたい』なんかは、たまにカラオケで歌うだ。
椎名林檎とか、中村中なんかが好きな人はイケる一枚なんじゃないだろうか。
いまだに男女の事情とかよくわかんないのだが、このテの心の機微をざっくりと描写したのが泉谷しげるの小品、『彼と彼女』。ほんとに地味なんだけどちょっと凄い音楽だ。
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=k-100526-237
男の立場から歌われているが、逆でも通じるはず。
ダウンロードでもなんでも勝手にすればいいと思うでス。

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