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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

【すうさい堂最新情報/極私的ツイッタァ】 ■■ 2017年10月13日(金)13時より移転オープンしました。■吉祥寺本町1-29-5 サンスクエア吉祥寺201 ■0422-27-2549 ■土/日/祝日のみ営業

蜥蜴のロックンロール



さて本年度もがんばった、ということで自分へのご褒美にドアーズ全アルバム6枚組CDセットを購入。 もし若干とっつきにくいと思ったら、最大のヒットだが実は間奏が無駄に長いだけで大した内容がない「ハートに火をつけて」、詞曲ともに昭和歌謡のようなヒット曲「タッチ・ミー」、ハッタリを通してるだけで長ったらしいのみの「ジ・エンド」の3曲を無視すると、非常にシャープに全体像が浮かび上がる。
ジム・モリソンの悪魔的な風貌ももちろんだが、キーボードのレイ・マンザレク!60年代でもっともカッコいいミュージシャンの一人。
サイケデリックと呼ぶにはヒッピー思想皆無、ガレージと呼ぶにはメンバーの力量がプロフェッショナルすぎる、ポップスターと呼ぶには不穏すぎる、そしてベーシスト不在という、シーンのど真ん中で活動しながらも異端中の異端バンドであった。
初期の繊細さから後期のブルースシンガーとしての顔まで、モリソンのボーカルの、ごほっ(咳払い)、、一貫した「変態的」な魅力。
これほどセクシャルなボーカリストはそうそういないってなもんで、当時のアングラサブカル女子が夢中になったのも死ぬほど理解できる。60年代妖艶系男子であと思いつくのはミック・ジャガー、ルー・リード、イギー・ポップくらいか。
イギリスのバンドってのは意外とセクシャリティーが少ないように思う。
ついでに書くと天才ジャニスのシャウトはちょっとトゥーマッチだし、天才ジミヘンの音楽はなんか高等数学のようだし、天才ディランの詞はさっぱりわからんし、天才ジミー・ペイジが作ったハードロックのフォーマットがどうにも苦手だし、破壊を繰り返すキチガイバンドのボーカルがなんで野口五郎なのか?という疑問がどうしてもぬぐえないんだよなザ・フーって、といったところなので、パンクびいきの自覚も含めて60年代3大バンドはドアーズ、ストーンズ、ヴェルベット・アンダーグラウンドであります(ストゥージスはやっぱ70年代かな)。

モリソンの通称が「リザード・キング」であるように、コレハと思うロッカーはトカゲっぽいイメージがある。
リアルなロックンロールは、クールダウンが基本です。アゲアゲだったらそれこそ、すーぱーふらいだとか、みひまるじーてぃーだとか、あるわけですから。ゆえに体温が低そうな連中に魅力を感じるのである。

1st『ハートに火をつけて』、これはもうマスト。ラリりながらトライアスロンをやっているようなギリギリのバランスに溢れた名盤。ジムはこの時点で手を差しのべてくれてはいるが、掴んだその手は確実に冷たい。
2nd『まぼろしの世界』は、疾走感は後退したものの、常人では製作不可能な幽玄的世界。すべて、美メロだけで構成されているという奇跡。「アシッド云々」という以前に音楽でありポップ・アート。
3rd『太陽を待ちながら』は小休憩といった感じ。「ハロー・アイ・ラブ・ユー」が派手だが、シンプルながらも捨てがたいナンバー多し。フラメンコ出身のギタリストが唯一その腕前を披露する「スパニッシュ・キャラバン」が○。
4th『ソフト・パレード』はあまり評判が芳しくないが、ホーンいらないよなとは感じるものの、それ以外は骨太な演奏が多い。3曲目から聴くべし。ソフト・ロック側から評価するとまた違うかも。
5th『モリソン・ホテル』はへヴィなブルースと、それまでの持ち味が融合した後期の名盤。クスリと酒で太りだしたジムだが、その声はさらに黒く、ドスが利いている。
6th『LAウーマン』はラストアルバム。さらにブルースに接近し、ジムのルックスも当時山ほどいたであろう、「普通のヒッピーおじさん」のように変貌。でも、これも捨てがたき。初期に戻ったように繊細な「ライダーズ・オン・ザ・ストーム」を最後に、ジェームス・ダグラス・モリソンはパリのアパートのバスタブで死亡。
トカゲだったら水なんぞ平気だろうが、死ぬ間際は人間に戻っていたようだ。

パリにあるジム・モリソンの墓を訪問した友人は、そこに投げられている各種ドラッグをお持ち帰りしてウハウハだったらしい。ジャンキーたちが自分が吸うぶんと分けて、大先輩の墓に献花するようにクスリや大麻を置く。さらにろくでなしがそれをご馳走になるという図。どうやら彼の存在は死してもなお、「悪の温床」として機能しているらしい。
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前歯のない天使



クリスマスもお近づきになり(ようござんすな!)、自分的にクリスマスソングと言えば「ニューヨークの夢」なんだけど、最近また、その曲が収録されたザ・ポーグスの名盤『堕ちた天使/If I Should Fall From Grace With God』をよく聴いている。
バンジョー・マンドリン・ホイッスル・アコーディオンなどによる疾走するアイリッシュ・トラッドバンドをバックに、声量はない・呂律まわってない・ついでに前歯もない・べろべろの酒焼けしゃがれ声のシェイン・マガウアンのボーカルが乗る。
この人は酒とクスリで一時期廃人状態で、バンドも追放されてしまったのだけど、最近復活して来年にはザ・ポーグスとして、来日公演をする。
しかし「前歯欠け」というのはストラマーにしろイギーにしろ町田町蔵にしろ、パンクスの通る「正道」ではあるのだが、最初からずーっと「無い」人も珍しい。

50を過ぎたシェインはやや太って「ダメな若造」から「ダメなオヤジ」にスライドし、なかなか結構な風体。
シェイン脱退後のポーグスは普通のケルトバンドみたいでであまりパッとしなかったようだし、シェインはシェインで自身を生かせるのはポーグスしかないだろうしということで、ここ数年の仲直りはなかなか喜ばしいこと。
いわゆるボーカルとしては「悪いところしかない」シェインの歌声だが、彼の存在があればこそ、ザ・ポーグスは「トラッド・パンク・バンド」として成立していた。とにかくパンク好きがそのまま流れてファンになっている。
実際この、胸に迫るような声は何なんだろう?と思う。だらしなくひしゃげてるんだけど、とんでもなく優しい。
ボーカルトレーニングをいくら積んでもこんな声は出ない。
バンドメンバー内で一番ブサイクな彼が、なぜか一番の伊達男に見える。
「堕ちた天使」とはよく付けたもんで、こんな人が「悪魔」のわけがない。

ポーグスから影響を受けた連中は世界中にいるが、特に日本のこのタイプのバンドはシェインのボーカルスタイルを取り入れたしゃがれ声が多いゆえ、なんていうか、ああ真面目に勉強したんだなあとか思ってしまう。
人生転げて、それが積み重なってああなったあの声の響きとは、残念ながら全然違う。
ただひとりだけ、同じ声でうたう人がいた。故・中島らも氏である。

http://www.youtube.com/watch?v=Hk1CiwrKgt8&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=dJX26ocWruo&feature=related

誰の話でしょう?

http://www.youtube.com/watch?v=9o29SHMQJwU

「キモい」「ゴミ」「日本の恥」とかなかなか立派に顰蹙を買っているようだけど、割りと嫌いじゃないんです。
実際これでメジャー展開って、腹を括ってないとできないですよ。アングラバンドのPVではなくそほじってるのとはわけが違う。
この芸が後世に何かを残すとは思えないけど、3・11以降に登場した最高のふざけユニットとして肯定したい。あえて「アレ」から遠く離れるというのも計算済みなのかも知れない。
三人の動きなんか、志村けんや江頭並の切れのよさだと思うんだけども。少なくとも小島よしおやレイザーラモーンの時のような「しょーもな・・・」というイタさは感じないというか、彼らは明らかに「子ども人気」を意識していた節があるけど、彼女らの標的はあくまで殿方。12才くらいで見たら、イタ・セクスアリスになっちゃうかもな。
(なんだかんだできっと女子ファンも多いと思う)
おかあさま方からしたら明らかに「敵」だ。悪意や顰蹙をガードするタフさを持ってないと一瞬で潰されてしまう。娘さんたち、この一発芸に人生張ってるんである。
なんかニューヨーカーも楽しそうだしな。ワールドワイドで見たら意外とレベルの高いエンターティメントなんじゃないの?実際、市井のニューヨーク人の知的センスなんて知らねえしな。あんた知ってるか?
競争を強いられるAKBも大変だろうけれども、良くも悪くも最初から個人に目が向けられる少人数ユニットの方がしんどいのではないか?
ロックがどんどん小さくまとまって行く中で、いま国内最高のエンターティナーは「perfume」なんじゃないかという気がするし(いちばん戦ってるなあと思うよ!)、彼女らもまた、もはや「セックスアピール」だかどうだかはわからんが、ベロと谷間と大股開きを武器に戦っている。
表現としては、眼帯つけて包帯巻いて間接人形持ってぎゃあと叫んでいるほうがスタイリッシュで楽だし、リスクも少ないんである。
むしろそんな風体のバンドが「海外進出!」とかのニュースを聞くと、同じ日本人として少々げんなりする。
彼女らは人のやらないことをやるというよりは、別に歩まなくてもよい道をずっこんばっこんと闊歩し、ぽいぽいぽいぽぽいぽいぽぴーと、世界中からリスペクトされる(特にアート系)都市生活者を踊らせた。
やった人間、やれた人間にだけに贈られた勲章。なにもできない者は電脳空間に鍵盤で悪意を垂れ流すのみである。

CD嫌いの女



誰の話かというと、故・浅川マキさんなのだが。
浅川氏は終生、CDの音質には懐疑的であったので、CD化されたものも自らさっさと廃盤にしていたゆえ、かろうじてベスト盤が入手できるくらいだったのだが、本人もお亡くなりになったのでもうよろしかろうと、ほぼオリジナル全作品が復刻された。
(といっても限定紙ジャケ仕様なので、在庫がなくなり次第また静かに姿を消していくのだと思う)
とりあえず追悼盤二枚組ベスト『Long Good -bye』を今ごろ購入した。
二枚組というとデジパック仕様が多くなったこの頃だが、このベストはもう分厚い、どーんとしたアナログな存在感を放っている。

ほぼ全キャリアをフォロー。フォーク/ジャズ/ブルース的な70年代の曲が中心だが、80年代以降はブラコンっぽいレパートリーも歌っていて、椎名林檎あたりが歌っていたとしてもほぼ違和感はない。
「アンダーグラウンドの女王」と形容されることが多いが、黒人霊歌のカバーなんかはともかく、実は日常を切り取ったような歌詞がほとんど。そして一人称が俺・おいらの「男歌」がやけに目立つ。
意味不明なおどろおどろしさなら、椎名林檎の方が数段上である。
(この人の歌詞ってば、洗練されてるようで結構野暮ったいな、と実は思っている)
黒人的な歌唱を「クロい」と呼んだりするが、浅川マキの声は文字通り「黒い」。
ダークネス。エキセントリックな部分はあまりなく、すべてを黒く包んでいくような漆黒の声。
ファッションやジャケットなども黒で統一された、生涯、彩色を拒んだアーティスト。

『夜が明けたら』『ちっちゃな頃から』『かもめ』あたりが定番ではあるけれども、珍しくドロドロした『Blue Spirit  Blues』や、怨み節の『めくら花』、ダーク・ボッサな『ふしあわせという名の猫』、アカペラからギターに入る流れが恐ろしくカッコいい『朝日のあたる家』、、「スポットライトでなく/ローソクの灯じゃない/ましてや太陽の光じゃないさ」の歌詞が泣ける『それはスポットライトではない』、ドランキンな『ジンハウス・ブルース』など、夜に聴く名曲集といった風情。
ここのところ購入したCDでは特に恭しく扱っている盤であり、基本的に家で夜に一人で聴く歌であると思います。
晩年の浅川マキは膨大なレコードや本などのコレクションをほとんど処分していたらしく、それは何となくわかるというか、すうさい堂さんも手持ちのコレクションなどはかなり少ない。
ただこのベストは、おそらく手放すことはないのではないか、と思っている。
まだまだ残暑もきついが、ぼちぼちこの人の声が似合う季節だなあなどと想いをはせつつ、もう節電もめんどくさくなったため、冷房を効かせた部屋にて候。

「穴あきい」イズ・ロック



ここのところ、ゆらゆら帝国のラストアルバム『空洞です』がヘビロテ。
前作あたりから顕著だった「ゆらゆら度」がさらに増加。
よく考えたらこのバンド、かつては「発光体」「すべるバー」「夜行性の生き物3匹」などはじけるナンバーも多数書いており、名前ほどゆらゆらしていたわけじゃないんだが、このアルバムは徹頭徹尾、浮遊。最初から最後までつながって聴こえるもんで、ついループしてしまう。これは終わるわ、帝国。
さらにつまらなくなった、と離れる人もいたかも知れないが、自分にとってはこのバンド、まったくブレがない。
偶然だろうけれども、3・11を予見していたような『できない』の歌詞がすごい。
http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND57793/index.html
「地獄の釜も定員オーバー 激務でダウンの釜の番 並べ さあ人間よ」って部分が特にゾクリとする。
表面は穏やかなのに隠し持った毒。こういうのが一番タチが悪い。
一体どこの地獄に向かってんだ?と思わせる『学校に行ってきます』とか。
ラストのタイトル曲はゆら帝流スイート・ソウル。
ユメやチボーの曲は切り売りされても、「空洞」を歌うバンドはアルバム一枚、じわじわと効く。

今さらながら90年代って、日本のロックはなかなかルネッサンスだったんじゃないかと思う。お好みはいろいろだが。
ゆら帝、ミッシェル、ナンバーガール、ブランキーに椎名林檎。やっと出たおとなのロック・CKB。ブルーハーツを突き破ったハイロウズ。ギターウルフ、MAD3,THE 5.6.7.8sなどのベテラン・ガレージパンクの台頭。続くキングブラザースやギョガンレンズ。「ラスティック・ストンプ」を作った東京スカンクス。スカやサイコビリー、和製グランジやクラストコアの盛り上がりもこの辺からではないかと(「渋谷系」の流れはキョーミがないので無視)。
メンバーにしても、よくコレとコレが出会ったもんだと思う。
向井秀徳&田淵ひさ子とか、チバユウスケ&アベフトシとか、ブランキーにおける「本物のアウトロー」な佇まいとか。
ミッシェルなんかは売れすぎてしまったため、うるさいロックファンからは過小評価されてるような気がするんだが、これだけ洋楽かぶれなバンドが、先人たちよりもさらにヘビーな音楽性を身につけ、メジャーで活躍したってのは、多分今後はもう二度とないですよ。自分にとってはゆら帝と双璧をなす。
いいバンドほど「空虚」を表現するのが上手かった、と思う。

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自称「吉祥寺の盲腸」、すうさい堂のだらだらした日常の綴り。
本を読むという行為は隠微なこと、悪いことを覚えるためのモノ。

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