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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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地獄上等ダムドダムドダムド



『地獄に堕ちた野郎ども』鑑賞@新宿シネマート。
ザ・ダムドのドキュメンタリー。冒頭の『ニート・ニート・ニート』でいきなり上がる。
ブンブン唸るベースのイントロが強烈で、あまりベースソロが重要視されないパンクにおいて特筆すべきナンバー。
初期のライブにおける、ドラムセットはおろか、ステージにあるものは何でもぶん投げる大暴れ。
実はこの「クレイジーさ」というのが、当時のパンク・バンドにはあまりみられないセンスなのだ。
クラッシュは生真面目だし、弱っちいはずのジョニー・ロットンは真面目に目をひんむいて叫び虚勢を張ってみせた。
(本来はマイナス要素の「矯正し忘れた歯並び」や「猫背」などをカッコよさに転化させた、彼のマジックは永遠だ!)
ファースト『ダムド・ダムド・ダムド』はあれだけ騒がしい音なのに、マッチョさのかけらもない。
マッチョさ皆無という部分も重要で、どんどんマッチョ=ハードコア化していくパンクシーンとは確実に距離を置き、どこまでも洒落者。
彼らにとってパンクとはジョークでもあり、それはケーキでグチャグチャになったり、全員が紙袋を被って立っていたりの(なぜかそれが恐ろしく決まってる)ジャケット・センスにも現われる。
「抜けたりくっついたりを繰り返しつついまだに現役」という節操のないイメージもある彼らだが実は、ってのがこの映画のミソ。

金の問題や人間関係の不仲などでかつてのオリジナル・メンバーはデイブ・ヴァニアン&キャプテン・センシブルとブライアン・ジェイムス&ラット・スキャビーズの二手に別れている。
シビアだし、切ない。ああまたこれかと思う。パンクのドキュメンタリーは「切ない」のである。
ピストルズ、ジョー・ストラマー、ラモーンズ、ジョニー・サンダース、ニューヨーク・ドールズ、シェイン・マガウアン(ポーグス)、GGアリン、アナーキー、遠藤ミチロウに至るまで(しかし観倒してるな)同じ感触を感じるし、ランナウェイズ、ジャームス、ジョイ・ディヴィジョンの『コントロール』のような伝記映画も然り。
どこかに切なさ(刹那さ)を内包しているのがパンクであり、自分にとってそれはとても繊細なものだ。
特にそれを感じたメンバーがキャプテン・センシブルで、この人のガキっぽさとかイノセントさは一体なんなんだろう。
ゆえに暴言や安直な行動でバンドを混乱に導きがち。彼が実質上のリーダーなので、そりゃバンドもひっちゃかめっちゃかになるわな、とも思う。
ただもうメチャメチャいい顔をしている。かなりいい年だが赤いベレー、紅白のボーダー、忘れちゃいけないバードスーツの着こなしなど、本当にカッコいい。ステキに年を重ねるとはこういうこと。
口髭を蓄えたデイブ・ヴァニアンは「太ったヴィンセント・プライス」という感じ。あの体型で朗々と歌われたらそれはそれで認めるしかないでしょう。
彼は一度もズタボロのパンク・ファッションをしていたことがない。初期のベラ・ルゴシ風ドラキュラメイクはパンクの精神をジョークで表したものだと思うし、ビジュアル系として売り出していた頃は超絶美形。
茶目っ気が多いようだがやはりこの人はちょっと謎。
ラットとブライアンは女性ボーカルを立て、一緒にバンドをやっている。ライブシーンも少し流れたが「あっファーストのあの音だ!こっちのほうがむしろダムドじゃん!」と思ったくらい、再現率が高い。二人とも現役バリバリなのである。
でも、この四人が同じステージに立つjことは多分なさそうだ。若いもんがかなわないくらい、すごいライブができるはずなのに。
ラモーンズはみんな死んじまったが、ダムドは呪われながらも(金がない、評価されないとかブツブツ言いながら)全員生きている。減らず口が元気の証であり、どうしても衝突してしまう部分でもあるのだろう。

映画の最後に流れるのは『イグナイト』。中期の『ストロベリーズ』(ブタさんの頭にちょこんとイチゴを乗っけている。こういうセンスがダムド)の一曲目で、アルバム自体がそうなのだがパンキッシュでゴージャスで、なんともカテゴライズできないナンバー。
サビの「We’re gonna have some fun tonight」は彼らの精神性を表していると思う。
ファン・パンクはあまり好きじゃないのだけど、ダムドにはモンティ・パイソンに通じるような「シニカルなバカ騒ぎ」を感じる。
ファーストと『マシンガン・エチケット』ばかりじゃなくてポップスやプログレ風も取り込んだ『ザ・ブラック・アルバム』もちゃんと聴くべし。「こういうのもロックンロールだ」と、発見があるはず。
ヴァニアンが舵を取ったゴシック/ビジュアル時代にも好きな曲がある。
セカンドはもーちょっと、気が利いたジャケットであれば、もーちょっと評価されるのではないかと思う。
今の気分でベスト・オブ・ダムドはストロベリーズに収録の『ライフ・ゴーズ・オン』。
どうやらまだ人生は続くようなので、地獄はもう少し先の話。

監督は『極悪レミー』を撮ったウェス・オーショスキー。レミー・キルミスター氏は死んじゃったが、こっちも最高。この作品を観てレミーを好きにならない奴は信用できない。






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秋のバーホーベンまつり



今年は妙に蒸し暑かったり雨が続いたりであまり秋っぽくないまま10月になりましたが、ようやく涼しくなった。
とはいえ現実逃避の映画鑑賞しかしていないので、別に天気なんかどうでもいいのだが。
ああ現実が辛いつらい。
ポール・バーホーベンにはまった。まとめて作品を観たら全部面白かった。「バ」で始まり「ン」で終わるキャラは「バカボン」「バットマン」「バラゴン(地底怪獣)」など、カッコいいものが多い。
そこに力入れますか?といった作風。『ロボコップ』は特に顕著で、ヒーローものだと思って借りるとあまりの残酷さにびっくりする。カクカクした「ロボコップものまね」が一人歩きしている気がしなくもないが、とんでもない映画なんだぞ。
『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)も然り。「アクションSF」で間違いじゃないんだけど、蓋を開けてみれば全編血まみれ。
市民権欲しさに志願兵となった若者たちが巨大ムシ軍団(バグ)と戦争している未来社会。このバグたちが大変気色悪く、さすがにこれはちょっと、怖気立ちながら観てました。カマドウマ大嫌い。
若い兵隊たちがバグに虐殺されていく。SFの枠としてはそこまでやんなくてもというくらいのゴア描写。
実はかなり悪趣味な映画だが、面白いのである。たいへん面白い。ただし「戦争は嫌だなあ」と強く思う。しかも、わけのわからん虫なんかにぶち殺されるのは絶対嫌だ!
好戦ファシズム国家を皮肉ったラストも強烈な一撃。極端な形の反戦映画だったりして。



大ヒット『氷の微笑』(これだけ有名なのにノーパン足組みシーンしか知らない)の次に監督した作品が『ショーガール』(95)。
大コケ、評価はボロクソ、その年の最低映画賞(ラジー賞)まで受賞。という情報しか知らなかったのだが、面白いじゃないですか。一体どこがダメなんだろう?
ストリッパーど根性物語INラスベガス。おっぱい出しすぎ?せっかく付いてるんだから出せばいいじゃんか。ストリップが舞台なのにビーチクは隠せってか?
ストリッパーたちのダンスがカッコいい。これも込みでダメな作品というのならば、じゃあ一体何だったらいいの?という話ですよ。
基本的に少女漫画の世界。というより愛憎が交錯するのでレディコミか。
難解なだけでしょうもない作品も数多いのに、すがすがしいまでのベタさ。そして頻繁におっぱいが登場するので、段々何とも思わなくなってきます。
女を売っているはずのストリッパー(主人公)が根性者で、くだらん野郎どもをぶっとばして終わるのだから、フェミニズムに満ちた作品とも言えるのだが。
バーホーベン先生はラジー賞のステージに上がって、直々にトロフィーを受け取っている。
洒落者である。



さらに大コケ、低評価という『インビジブル』(2000)。なんでかなあ。面白いのになあ。
生物を透明にする研究をしているチーム。リーダーの科学者であるケヴィン・ベーコンは天才肌だが、傲慢ないけ好かないやつ。彼が自ら人体実験のモデルになる。
透明化していく過程が、皮膚が無くなり筋肉になり内蔵や血管が見えて徐々に消えてゆくというエグいもので、世界にどれくらい「透明人間映画」があるのか知らないけれど、本来地味なテーマをここまで悪趣味な見せ場を作り盛り上げたのは、やっぱり偉い。
そして透明になった者はエロいことをする、というのは古今東西の定石。さらにベーコンは性格までも加速度的に凶悪化する。
どうせ「モンスターの悲しみが描かれていない」とか何とか叩かれたのだろうが、そんなもんどうだっていいよ。
半分くらいは透明人間なので、天晴れなくらいケヴィン・ベーコンの無駄遣い。

次々に作品が大コケするので「ハリウッドなんかもういいよ」と、オランダに戻って撮った『ブラックブック』(2006)。
ナチス時代の話が大好物なんですが、これ最高です。サスペンス仕立てなのでネタバレしないように書くと、家族を殺された復讐のためにナチ将校・ムンツェのスパイとして潜り込んだユダヤ人女性・ラヘルの物語。
このムンツェが「とてもいい奴」で、彼に近づくためにラヘルが用意したのが切手
ムンツェは切手マニアなので「えっこんなの貰っていいの?」と喜ぶ。このさまは男ならわかっちゃうんだよなあ、という感じ。
彼の描き方がとにかく斬新であり、「ナチスと言えど集団なんだから、いい奴だっているに違いない」という発想。対照的に「いかにも悪いナチ」という風情の将校も登場するが、この人がピアノも歌も達者ってのが笑う。後半、ラヘルにはとんでもなく悪趣味な制裁が待っている。
もちろん上から目線はなく、さくさくとストーリーは進み、主演女優はちゃんと脱いでいる。

どうせおっさんとおばさんが揉める話だろうと思ってスルーしていたが、『氷の微笑』も観なければいけないなあ。

火星ディスコスターマン



やはり理系が一番強いと、映画『オデッセイ』(2015)を観て思った@池袋文芸座。
監督は『エイリアン』『ブレードランナー』『ブラックレイン』『ハンニバル』などで知られるリドリー・スコット。
多作な人なので全部は追いかけられないが、この四作はどれも最高ですねえ。
事故で火星に一人だけ取り残されてしまった植物学者・ワトニー(マット・デイモン)が、科学の知識と能力で生き抜いてゆく。
これが自分みたいなゴミクズダメ文系人間だったら知識も計算力も(さんすうできない)行動力もないので、「ああもうダメだ死ぬ死ぬ死ぬ」とか散々愚図ったあげくボロボロで死ぬのである。
どうでもいいのだが、うちは本来理系の血筋のはずなのになんでオレはこうなのか?というのは常々疑問に思っているところ。ああもう死ぬ死ぬ死ぬ。

舞台は火星だが宇宙人もモンスター出てこなければ惑星戦争もない。それでは主人公は何をしているかというと、次の地球からの有人機が来るまで(四年後)生き延びるため、ジャガイモの栽培を始めるっていう。
万が一の場合にそなえ、彼はビデオレターを残すのだけど、それがあまり深刻にならずにどこかおちゃらけている。要するに火星が舞台のノリツッコミ。
細かいギャグは忘れてしまったが「ここではなにをやっても僕が一番乗り!」とか。
聴ける音楽は女性船長が残したディスコヒットのみ。というわけで水も食料も自分の命もヤバいという深刻な事態なのに、ずっとディスコが鳴り響いているというお笑い状況。
個人的に「現実と仮想現実の中でオレは一体誰なんだ?と悩む系SF」は頭がついていかないので(「トータルリコール」も「イグジステンズ」もダメでした!バカだ!)、この日常ベースのもっさり感はいい感じ。
そのうちNASAがワトニーを発見。地球の科学者との連係プレーによって彼は果たして帰還できるのか?という物語。
科学用語が多様されていてそこは難解だが、結局絵として見せてくれるので全然オッケー。全員がひとつのミッションに向けてがんばる。随所にギャグを散りばめてある。ホームドラマは省略。悪人は登場しないなど、『シン・ゴジラ』との共通点多数。
前半のワトニー火星日記が(あえて)ふざけ感満載なので、後半のマジミッションが生きる。これを観てると、ギャグを生むのは「冷静さ」だなあとつくづく思う。劇中、デビッド・ボウイの大名曲『スターマン』がかかるシーンがあるのですが、これはちょっと、というかかなりグッと来ます。
ラストに流れるのはディスコソングの大ヒット『恋のサバイバル』。火星の話で最後これかっ、ていう。
なはははの泣き笑い。
火星関連の映画としては、地球に飛来した火星人がなんの意味もなく人類を虐殺するコメディ『マーズ・アタック!』(ティム・バートンの最高傑作)と並ぶ名作。
ちなみにこの日は『デッドプール』と二本立てだったのだけれど、一回観たしあのオッペケペー映画によって余韻が台無しになる恐れがあると思い、ケチな自分には珍しく一本だけ鑑賞して帰宅したのだった。

あっ。終わってしまった。やはりいい話とか感動した話とかはくどくど書いてもしょうがないというか、ちょっと臭くなってしまう前に切るのがよいのであった。






コメディ映画総ざらい



すうさい堂スクワッド大ヒット!すうさい堂店舗はちょうヒマ!店主寝すぎ!また悪夢見た。
ますます本を読まなくなっていく傾向の自分ですが、映画はものすごく観ている。で、それを書くことが一体何の役に立っているのかわかんなくなってきましたが、とりあえず本日も頭の中のどぶさらいをする。
最近、コメディに注目しているのですね。もちろん「ハートフル・コメディ」とかいう意味わかんないやつではなく、ブラックなやつ。とびきりブラックなコメディがみたい。『スーパー!』も『ホラー・シネマ・パラダイス』も、コメディの棚から発見した。本来はギャグについてあれこれ言うのも無粋であり、みた人が笑えればそれでいいのだ。サクサクいきましょう。

『ホット・ファズ~俺たちゃスーパーポリスメン』(2007)と『ワールズ・エンド~酔っぱらいが世界を救う!』(2013)は、ゾンビパロディの大傑作『ショーン・オブ・ザ・デッド』のエドガー・ライト監督。
「ショーン~」は大好きすぎるので別枠で書きたい気もするし、ひとこと「観ればいいじゃん」とだけ言っておきたい気もする。「ギャグってのはここまできれいに決まるもんなのか」と感心するくらいのキレキレ演出であり、グロさもまあまあ押さえ気味の、史上最もいい塩梅のゾンビ映画。
あ、ラストに流れるバズコックスがものすごく腑に落ちる!!
低予算だから、ゾンビメイクも全員がカラコンつけてるだけってのもいいですね。
この作品で「バカ二人」を演じたサイモン・ペッグ&ニック・フロストのコンビがそのまま上の二作にスライド。
サイモンは前作と違いロンドンの優秀な警察官。が、優秀すぎてやっかまれド田舎に転勤。まさにそこは平和な町で、何もなさ過ぎのため署内もダラダラムードで、誰もまともに仕事に取り組まない。
だが、あきらかにおかしな死亡事故が続き、捜査するサイモンが事実を掴んでいく。サスペンス仕立てでもあり、バイオレンス描写もあり、ちょいオカルトも入っていて、それを途切れないギャグで糊付けして進んでいくという大変素晴らしい作品。
ニックが前作から引き継ぐ形のアホアホ警官ぶり。足りない系を演じさせるとこの人は最高。あと白鳥シーンには悶絶。白鳥最高!
『ワールズ・エンド』でサイモンはアル中のダメ人間。高校時代の仲間を呼び出し、かつて挫折したビールの梯子(パブクロール)を無理矢理実行。ニックは一応カタギの役で登場。
なんだかんだパブを回っているとサイモンはトイレで若者と一悶着。実はそいつは身体を乗っ取られたロボットでした、というところでいきなり侵略SFな展開に。
かなり極端でストーリーで、前二作と比べたらちょっと硬くなっちゃったかな?という感じ。
しかし侵略者に対して放つ「地球をスタバ化すんじゃねえ!」というセリフは最高。すげえカッコいいメッセージだ。
そして、同級生のおっさんたちがずらりと並んでパブ通りを歩くシーンに流れるドアーズの「アラバマ・ソング」。もはや主題歌ですね。「次の酒場が見つからなけりゃ/俺たちは死ぬんだ」。
しかし「俺たちゃ~」「酔っぱらいが~」といったおちゃらけサブタイトルはいかがなものかと。
あのカッコいいストレイ・キャッツも「ごーいんDOWN TOWN」とかのセンスない邦題のおかげで長らく聞かず嫌いであった。

『バッド・マイロ』(2014)。尻の穴より生まれ、尻の穴に帰るモンスター、バッド・マイロ!
気弱な会社員の主人公は元々お腹が弱いのだが、リストラ係に転勤させられらおかげでストレスも最高潮に。そのストレスから生まれたのがマイロと名付けられた「動く腫瘍」であり、ストレスの原因となった者たちを次々とぶっ殺していく。
もう完成した時点で残念賞は確実というしょうがない作品だが、ちゃんと作ってるから偉いと思う。
黒目勝ちなマイロがかわいい。怒ってるときもいいが、宿主になついて「くーん」となってるところがかわいい。
だが主演俳優!こんなお下劣な作品に出ているのに尻のひとつも見せないとはどういうことか。
ズボン履きっぱなしじゃマイロ君が帰って来られないだろう!という一点は気になったのだった。

『ネイバーズ』(2014)。マイホームを手に入れ子供も生まれたばかりの夫婦の真横に、学生のパーティーサークルが引っ越してくる。最初はマリファナなんかを振舞ってうまくやっていこうとするが、連日のどんちゃん騒ぎであっという間に両者の仲は険悪になり、夫婦は「大人の悪知恵」で学生サークルをぶっ潰そうとするドタバタコメディ。
R18指定なので、どんな過激な内容かと思ったら、「下ネタが多すぎてお子様にはみせられない」ということでした。はっはっはっ。
人も死なないしハッピーエンドなので、割りと普通におすすめです。

『ゾンビ処刑人』(2009)。まだあるよゾンビもの。これは隠れた名作。一押し。
軍人のバートはイラクで殉死。故郷に埋葬されるが、なぜか蘇って(説明なし)墓から抜け出し、親友のジョーイのもとを尋ねる。
で、「なんでお前生きてんの?」「俺もわかんねーよ!」といったやりとりがあり、バートは血を飲まないと死んでしまう(死んでしまう?)ことが判明。
最初はホームレスの血を吸おうとするのだが案外彼らもかたくなであり、そのうち強盗に遭遇。この強盗をゾンビパワーで撃退し血を吸ったら、身体にも生気がみなぎり、いい感じ。
じゃあ悪い奴らをぶっ殺して血を吸えばいいんじゃね?ということで、二人の自警団活動が始まる。
自警団とはいいつつも、相手から銃や現金やヤクをくすねたりしているので、ジャスティス感はゼロ。
そしてジョーイが撃たれて死んでしまうが、バートが彼の血を吸ってゾンビとして蘇生。ゾンビ・バディの誕生。
後半、話は悲劇的な方向に向かう。ここから先はネタバレ承知で書いてしまいます。
首だけになったジョーイがバートと喋ろうとするが、声が出ない(なんか理にかなってる!)。
するとバートは引き出しからバイブ(大人のおもちゃ)を出し、それをジョーイの首に当てて拡声器として使い、最後のコミュニケーションをする。
あっ。これは究極の悲喜劇ではないか。バカバカしいにも程があるが、悲しみはすげえ伝わる名シーンなのだ。
ゾンビといえど「血を吸う」のみなのでそれほどエグい描写はない。原題は「The Revenant」。
同じタイトルでもうちょっとまともな映画があった気がします。

うーむ、やっぱり無粋でした。




ショウ・マスト・ゴー・オン



『ニュー・シネマ・パラダイス』という映画があって、かなり昔に観たはずなのだが、まったく何にも覚えてない。まあ、観た人は端から泣き崩れていくという伝説の恐ろしい作品であるようだ。
そもそも「泣ける映画」って何なのでしょう。泣けるという評判を聞きベタな展開にスイッチを押されてみんなで泣き「アー泣いた泣いたよかったあー」と劇場を出る。?????
不意打ちを食らって涙が出るのは理解できるのだけど、「さあ泣かせろさあ泣くぞ俺様は泣きに来たのだからもし泣けなかったら金かえせ」という意気込みで鑑賞するのであれば、もう一生映画なんか観なくていいよと言いたい。
だいたい人が泣きスタンダード映画(泣きスタ)を指し、「あれは泣けるよーっ」と発言するときの「自分は真人間だよーっ」と言いたげな空気、
「自分は本当にいいものを知っていてすごいでしょう?」と言いたげな高飛車な匂いは何なのあれ?
共通認識を強引に迫ってくる感じが最悪。
よって「全米が泣いた」とか(え?全米?)「感動の実話ヒューマン・ドラマ」等の謳い文句を付けられたものはすべてスルーさせて頂く方向である。観客がピーピー泣いているのをCMに使うような志が低い作品も然り。
そういえばツタヤの「親子で感動」コーナーに『スタンド・バイ・ミー』が置いてあって驚いたのだが、「あれを親子で観るってのもちょっといいかもね」と思い直した。
ちなみにスティーブン・キングの原作タイトルは「THE BODY」(死体)であり、タイトルをベン・E・キングのヒット曲と同じに変更し、それを最後に使うというのは映画制作陣のセンスによるものだ。
ラストに流れるのがロバート・ジョンソンとかのドロドロのブルースだったりしたら(むしろそっちのほうが内容に合ってる気もするが)、かなり映画の印象も違っていたはず。
原作にはゲロもヒルも出てきて「そこをちゃんと映像化した」という点が一番信用できる。自分にとっては『ブルー・ベルベット』に近い作品。

『ホラー・シネマ・パラダイス』(2010)という作品があり、これは「ニュー・シネマ~」とリンクさせた邦題なのだが、原題は「ALL ABOUT EVIL(邪悪のすべて)」であり、当然こちらのほうがカッコいい。
オープニングで次々に映し出されるレトロなホラーやSF映画のポスター。問答無用にカッコいい。
主人公のデボラ・デニスは昼間は図書館で働きながら、父親が残したホラー映画専門館を経営している。夕方までは図書館員で、そのあとに支配人としてレイトショーを上映するというスタイルのようだ。
同僚のおばさんからは「ホラー専門の深夜映画館なんてまともじゃない。気持ちはわかるけどあそこに未来はない」と言われる。が、デボラは「父は劇場にすべての情熱を注ぎ込んだ。父は映画と劇場を愛していた。ショーは終わらない!」と、半ベソでおばさんに宣言。
正直に書くと、この冒頭シーンで不意打ちを食らってボロ泣きしました。
今夜の上映は『血の祝祭日』。くっ。スプラッタ映画の第一号であり、邦画における『男はつらいよ』の一作目と同じようなポジション、と書けばその重要性が伝わりますでしょうか?
足しげく劇場に通うホラーマニアのイケメン高校生・スティーブンとデボラは懇意だ。
上映直前、デボラは映画なんかにひとつも愛情を持っていない母親と「映画館を売れ」「絶対に売らない」と口論になり、衝動的に彼女を殺してしまう。
そして映画が始まらないので観客が騒ぎ出し、ずっと劇場に仕えている映写技師もたまたま留守でしたので、素人であるデボラは機材をガチャガチャいじりまわしていたら、先ほどの殺人シーンの録画が劇場に大写しとなり、それを観たスティーブンをはじめとする客たちが「すげえ!」と大興奮。
かくしてデボラは映写技師(どうやら潜在的なサイコじじい)や、街でスカウトしたサイコ兄ちゃん(矯正リングがクール)、精神病院を出たばかりの双子の殺人鬼姉妹(カッコかわいい)をスカウトして彼らをクルーに従え、次々と実際に殺人を犯しては撮影し、それを短編映画として上映すると続々ファンが劇場に詰めかけ、デボラはカルト映画監督として一躍、時の人となったのであった。

ええと、冒頭が素晴らしかったのであれなのだが、どうにも乗り切らない話であった。
そもそも目の肥えたホラーファンがパチモンのスナッフ・フィルムみたいなものに熱狂するってのが腑に落ちない。これは声を大にして言いたいのだが、ホラー・ムービーのファンはスナッフ・フィルムのマニアとイコールではないんだよ!
意外と思われるかも知れないが我々はちゃんとストーリーを追っており、そこでフックとして使われるショック描写に笑ったりゾッとしたりしている。
本当に残虐な場面が好きなら、ネットで首切り動画でも見ていればよろしい。
どうもいろいろ混同されると困っちゃうのだが、「ホラー映画の存在すら許せない」という人は(実際、80年代イギリスではビデオ・ナスティというバカ検閲機関のおかげで、店頭からホラーが姿を消した事がある)一度、劇場に足を運んでみればよい。
上映後、友達同士もカップルもみんなニコニコしながら出てくるから。ピース。

と、マイナス査定の作品なのだが、デボラの犯罪を知ったスティーブンが「お父さんはホラー映画を愛していた。それなのに君はなんだ。(自分はさんざん楽しんでたくせに)君に才能なんかない!」とキレるシーンがあるのでまあいいや。まあ許す!
そしてホラー好きというだけでスティーブンをテロリスト呼ばわりし、一連の事件を「犯人はあの生徒です!」と勝手に騒ぐ担任の女教師を一番バカっぽく描いていることには好感度大。バーカ!
コスプレ映画としてもイケてるし(特に双子姉妹がオシャレ)、かのジョン・ウォーターズ御大も絶賛とのこと。あと、スティーブンの友人であるヒロイン(恋人ではない)が、本当にかわいくない!なぜかというと嶋田久作にそっくりだから!
エンドロールにもこれまたカッコいいポスターが次々に現われては消えるのだけれど、よく見ると「フィルム・バイ・デボラ・デニス」とクレジットされていて、どうやらデボラが制作したという設定の「架空の映画ポスター」のようだ。
マニアックである。そして劇中に登場するディヴァインみたいなドラァグ・クーン、実はこの人が監督さん。
ショーは終わらないを地で行く人のようだ。うーむしょうがない。許す!


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