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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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安倍総理より平手総統



2018年ももうすぐ終わりだがやはりいちばんは欅だった。ライブDVD『欅共和国2017』は今年のみならず、今までに観た音楽映像作品の中でも第一位。ちなみに今までのベストワンはザ・スターリンのヒストリーを30分にまとめた『YOUR ORDER!』だったのだけれど、ぶっちゃけ超えてしまいました。
オープニングの軍隊風パフォーマンスがすっげえカッコいい。軍服モチーフ(ビミョーにナチスっぽい)の衣装もカッコいい。
特に平手友梨奈はやはりヤバい(本日は「平手友梨奈」「平手」で統一したい。なんとなく格調高くなるような気がするから)。思わず「ハイル・ヒラテ!」と右腕を掲げたくなるカリスマ性がある(おい)。
一曲目『サイマジョ』から巨大な水柱が上がり、メンバーも客もびしょ濡れ。二曲目『セカアイ』でホース(放水車についているガチなやつ)で大量の水を客席にぶっかける。三曲目『二人セゾン』で私は感動のあまり泣いている、といった按配。いきなり怒涛のクライマックス。
今年の欅共和国でも放水パフォーマンスを取り入れ、平手発案により「関係者席も濡らす」という裏テーマがあったらしい。腕組みして見ているあの人たちをどうにかしたい、と。
結果、関係者の皆さんもびしゃびしゃになったようで、秋元康なんかは喜んで濡れていたらしい。
この放水パフォーマンスは安心した客席を『僕たちの戦争』でもう一度直撃し、あと、なにやらカラーボールらしきものを投げてるメンバーがいるんだけど。
ハーレーの後部座席に立ち乗りで登場する平手ソロ『パルコ』は個人的な白眉で、えげつないくらい真っ赤なスーツを着こなしている。そして後姿がカッコいい。なんなんだ背中で語るアイドルって。
花道を颯爽と歩く姿も決まっている。この子、普段は猫背なんだけどなあ。なんなんだろうなあ。
ここは生歌でしたが、甘さ控えめのいい声です。

そして欅坂46はやはりアイドルなのである。客席ファンの「ちょーぜつかわいい、ゆりなー!」とか、転調で始まる「ウーッ、ハイ!ウーッ、ハイ!」の応援コール、そしてメンバーたちの「みなさぁ~ん!」というさすがにちょっと気恥ずかしいMCは「はっ、私はアイドルをみているのだ!」と確認させられた。そこのところは「意外なくらい」アイドルだった。
ひらがなけやきもかわいい。が、ここは別グループと考えるべきでしょう。個人的に長濱ねるもちょっと苦手なのだが(先日卒業した志田愛住がここでは元気なのは個人的に感慨深い)。
やはり圧巻は『不協和音』で、全員が何かに憑依されたかのようなパフォーマンスだけど、それでも眼光と「狂気の微笑」一発で全部持っていってしまう平手はやはり凄い。ちなみに去年の紅白でのトラブル以来、平手バージョンは封印されている。
後に続く夏の全国ツアーがかなりボロボロだったとを思えば、この日で欅坂(特に平手)は「やり切ってしまった」感が強い。それゆえにこの記録映像がソフト化されたのは、まことにありがたいことである。
『オトシン』(カッコいい)『カタミラ』(カッコいい)のダーク路線や、見逃されがちな名曲『制服と太陽』が収録されているのはよいなあ。
で、よくアイドルは「あのころのほうがよかった」と言われ勝ちなのだけど、欅に関してはすごいスピードで変化しているグループなので、最新版が一番カッコいいが正解。最新PVのひとつは明らかに『時計じかけのオレンジ』であった。本人たちは誰ひとり知らないと思うが、そんなことはどうでもいい。

平手主演映画『響ーHIBIKI』も観たのだけれど、文学賞を女子高生ふたりが奪い合うというふわっとした展開が、ああコミック原作のアイドル映画だなあと思ってしまったのであった。
響がカッコいい!と評判ではあったのだが、結局一番カッコいいのはステージの平手友梨奈なので、やはりうーん、であった。ちなみに響が殴る蹴る指を折るなどの暴力シーンの数々はよかった。
どうせならファンもドン引きするようなサイコパス女子の役とかやらないかなあ、などとも思いました。
で、この年末、まさかの平手友梨奈休業宣言。もう「やったあ」という感じである。センターなのにいるかどうかすらわからない。予断を許さない。そこがいいんじゃない。
紅白は鈴本美愉がセンターをつとめるとのことだが、この子も平手に負けず劣らずカッコいいので安心あんしん。
最新版が一番などと書いてしまったが、うーん二期生入ってくるかあ、ということに関しては今のところ結構複雑な感情がある。選抜になっちゃうのかなあ、、、いるかあ?二期生。
継続より解散のほうがカッコいい場合もある。ヘイヘイ・マイマイ。
とはいえ、いずれソフト化されるであろう幕張メッセの千秋楽での平手演歌『自分の棺』、血まみれ灰まみれの『不協和音』を確認しないことには死ぬにも死ねない。あっ『欅共和国2018』も出るに違いない。全部買うから。生きててよかったなあ。


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極悪イルザ・フォーエバー



もともと残酷な女殺し屋とか残酷な女マフィアとか残酷な女カラテ使いとかが大好物なので(ルーツをたどればキューティーハニーの敵役「パンサークロー」あたりに行き着くと思う)、ダイアン・ソーン主演によるイルザ・シリーズはアリであります。
これは三部作であり、一作目が『ナチ女収容所 悪魔の生体実験』(74)で、ナチス強制収容所の女所長。二作目が『アラブ女収容所 悪魔のハーレム』(76)で、アラブ・ハーレムの護衛隊長。三作目『シベリア女収容所 悪魔のリンチ集団』(77)で、スターリン体制下の収容所のボス。
何をされているかというと、捕虜への拷問およびその御褒美としてのセックス。
特に一作目のダイアン様はナチの制服の着こなしが見事であり、ジャケットにもなっている両手に腰を当てての「イルザ立ち」がキメキメである。ああ姿勢がいい。
これは内容の悪趣味さと、バスト1m超えと言われるダイアン・ソーンのおっぱいぷるんぷるんファックシーンのからめ手で大ヒットしてしまったので、ジャンル映画大国のイタリアで「ナチス・プロイテーション」と呼ばれる史上最悪のジャンルが続々と制作された。平たく言えば「エログロナチ映画」。
自分はこのジャンルが大好きで、中古DVDが安価で売られているとつい買ってしまうのだが(『美女集団監禁/ゲシュタポSM収容所』とか『獣人地獄!ナチ女収容所』とか)、なぜ好きかというと、こいつらは言い訳がきかないくらい最悪な内容だから。
レンタルではほぼ壊滅状態だし、再上映してくれる劇場などあるわけがない。
とはいえどんな犯罪者にも弁護士はつくわけで、そこは弁護してあげたいと思うのが人情(人情?)。
つまり、グラムロックや初期パンクのような徒花の魅力。一瞬で駆け抜けて消えてしまったものに対するロマンである。前にも書いたが、お花畑だけがロマンではないのだ。
本当にしょうもない。収容所の捕虜の女性たちはみんな若く、肌もきめこまかく、おっぱいもおしりもむちむちぷりん(わざとひらがなで書いてみた)。めっちゃ栄養が行き届いてる。
セクシー美人の捕虜たちをブロンド巨乳のイルザが拷問したり人体実験に使う。
その残虐なイルザも本来お慰み用であった男にマジ惚れしてしまい(だって女の子だもん!)、最後は身を滅ぼされるというのが全シリーズを通してのパターン。
当時ダイアン・ソーン、42才。超熟!
アホである。そして致命的なのが「ナチスのくせにみんなイタリア語か英語で喋っている」という点で、つまり悪趣味な大人の絵本、早すぎたコスプレというわけで、ある意味で無邪気。
ガチのネオナチが観たら本気で怒るかもしれない。しかし結果的には「ナチスを冒涜している」ということであり、それはいくらやってもいいことであると思う。
もちろん「ユダヤ人の身にもなれ」と言われたらぐうの音も出ないのだけれど、これらの作品群はそのような「政治的正しさ」が流布する以前に作られた問題児たちなのである。

DVDにはコメンタリーが収録されていて、監督やダイアン・ソーンが楽しげに語っている。
特にダイアン様は朗らかなおばちゃんっぷりで、彼女はもともとコメディエンヌだったという。
今は結婚式の司会業なんかもやっており、リクエストがあればナチの制服を着てくれるとのこと。いい人である。
「私にはちゃんと食事が出るのにエキストラには出なかった。なのでみんなに食事を出さなければ私も食べない、と言ったら、翌日から本当に私の食事も出てこなかった」と笑いながら語っていて、本当にいい人だ。彼女のもとにはいまだに世界中からファンレターが届くという。やっぱりね、カッコよさという点では抜きん出ているからだろう。
監督ドン・エドマンズも「これだけの低予算でこれだけのものを作れるものなら作ってみろ」と言っており、世間的には最低最悪でも、制作チームは自分たちの作品に誇りを持っている。
ハーシェル・ゴードン・ルイスも残酷表現ということにおいては、一歩だけ駒を進めた。そこを後輩たちが面白く肉付けしていく。タランティーノやロブ・ゾンビなどの本当に面白くてクレイジーな映画作家も実はこの(手の)映画のファンなので、ナチプロとはいえ半歩くらいは駒を進めていたのかもしれない。やはり暗黒史は面白い。
ちなみに劇中で悪と色欲の限りを尽くすナチ将校たちも、ラストには必ず制裁されます。

二作目『アラブ女収容所』は拷問拷問また拷問で(冒険冒険また冒険っぽく書いてみました)、ナチスというロケーションには及ばないもののなかなか面白い。「駝鳥の目玉だと思って無理矢理食ったら実は人の目玉だった」というひどいギャグもあります。
三作目『シベリア女収容所』は捕虜が全員男なので、すでに看板に偽りあり。
しかもシベリア・パートが途中で終わってモントリオールに飛んでしまうというグダグダぶりで、監督も違う。
『ILSA THE LEGEND』は中古DVDをポチって所有しているのですが、ボックスの良さは「三作目は駄作だけどシリーズものだからまあいいか」と、やさしい気持ちになれるところ。
ちなみに帯がふるっているので記しておく。

地獄の女拷問人イルザ、ここに降臨!
「今度は全部ブチまけるわよ!」




見つかったのは『悪魔のハーレム』。
実はいろいろ趣向を凝らした、なかなかのエログロ・エンターテイメントなのであります。

ディフェンスは正しい!



アナログな考えというのは重々承知だけれど、やはり作品というものはパッケージ化されてなんぼだと思う。ダウンロードでは体の隅々にまでその「怨念」が行き渡らない。ちなみにアーティストに対し「ファンです。いつもユーチューブで見てます!」っていうのはそれ全っ然ファンじゃないですから!
たとえば昔の角川文庫版・夢野久作や春陽堂文庫版・江戸川乱歩なんかはそのカバーを見ただけで「全部欲しい!」と思ったものだよ。ものすごく禍々しいフェロモンを放っていたのだ。
個人的に同じにおいを感じるのは平山夢明大先生の著作で、怪談じゃなくて小説のほう。「彼岸系」というか、どれもこれもヤバい装丁ですよね。あとはやはり楳図かずお大先生で、オリジナル版はもちろんだが祖父江慎大先生がデザインした一連の単行本(小学館)が超超超カッコいい。

CDやDVDのパッケージも同じこと。紙一枚というなかれ。そこが「命懸け」であれば買ってしまうのが人情というものだ。
『フォーリング・ダウン』(93)のアートワークをご覧になって頂きたい。白シャツの会社員姿のマイケル・ダグラスが両手にそれぞれスーツケースとマシンガンを持っている。
「これはどういう映画なんですか?」と聞かれたら、「こういう映画です」と即効で返せる素晴らしいデザインである。
真夏。離婚した妻が引き取ったわが娘の誕生日。一刻も早く会いたいが、渋滞。そこで男(マイケル・ダグラス。後半でコードネーム「ディフェンス」と呼ばれる)は早速ブチ切れ、車を乗り捨てる。
公衆電話で電話をかけたいのでコンビニでコーラを買い、細かい釣銭をもらおうとするが、韓国人店主の言い値で買ってしまうと電話がかけられない。どうにかしてくれと頼む彼に店主は応じてくれない。
そこでディフェンスはブチ切れ、手元にあったバットで店内を滅茶苦茶に破壊する。
店を出たらカツアゲ目的のチンピラを返り討ちでボコボコにし、彼らのマシンガンを手に入れる。
お次はハンバーガーショップへ。朝食メニューを頼むが時間帯を数分過ぎているため「お出しできません」と断られ、ついマシンガンのトリガーを引いてしまう。
恐怖で固まる客たちの前で改めてメニューをオーダーすると、出てきたものが写真とまったく違うぺちゃんこなハンバーガーで、それに一言、「おかしかないか?」。
そしてハンバーガーショップを出た後、今度はミリタリーショップに入り、ネオナチでレイシストの店主とすったもんだのあげくバズーカ砲を手に入れ・・・という話。
荒唐無稽ではあるんだけど、彼を追う「その日が退職予定だった刑事」の好感度もあり、実に楽しく観られる。あまり評価されてはいないようだが、サスペンスというよりはブラックコメディの大傑作である。
しかもディフェンスはお店にはちゃんとお金を払っているので「そういう意味で事件性は無い」ってのが笑える。

ディフェンスの怒りは我々庶民が日常感じる不満なのだ。ちょっとしたものが高い、メニューの見本と出てきたものが全然違う、横柄な店主は最悪だ、etc。
さらに彼は予算消化のための無意味な工事現場を豪快にぶっ壊し、自分たちが楽しむだけのために広大な土地と緑を独占しているゴルフ会員のジジイたちに制裁を下す。これはもう「世直しヒーロー映画」である。
ラストは刑事との一騎打ちになるのだが、ここがものすごくいいんだな。名場面なので書きませんが。
「溜飲を下げる」というのは大事で、表現に触れてそれができるのならばベストなのだ。
それは人それぞれで、自分はこのような作品に触れるのが楽しいし、『男はつらいよ』全作がバイブルという人もいるだろう(たまにはそういう手合いも観てみればいいのにと言われそうだが、「下町に住む人に悪人はいない」みたいな性善説を延々押し付けられたら発狂しそうになるのであり、渥美清という人を特に嫌いになりたくもないので、スルーさせて頂く)。
もしもこの世に、恋愛小説と、友情マンガと、「魂が震える渾身の大作」映画と、「いつでもあなたを応援しているよ」系の歌しかなかったら、生きている心地がしない。むしろ死んだほうがいい。




淀川先生の名解説があったので貼っておきます。

小粋な悲喜劇



『ブルース・ブラザース』(80)はいまだに世界中で人気だが、『狼男アメリカン』(81)はホラーファンには人気でも、一般的にはだいぶ忘れられた存在になっている。どちらもジョン・ランディス監督作品。
『狼男アメリカン』は変身シーンが有名だし今観てもすごい。なのでそこばかり語られがちなのだけれども、実は小粋なブラックコメディなんである。
サントラも、のんびりしたカントリーが多く使用されている。
イギリスを旅していたバックパッカーのアメリカ人二人が狼に襲われる。一人は病院に運ばれなんとか生き延びるが、もう一人は死んでしまう。が、彼は亡霊となって現れ「お前は狼に変身して、ぜってー人を襲うから、その前に自殺しろ」と忠告する。とはいえ担当ナースと恋愛関係になり、結構なリア充である主人公が死ねるわけがないので、忠告どおり狼になって殺人を犯してしまう。
そして亡霊は「だから言ったじゃんか」と姿を現すのだが、亡霊のくせに出てくるたび体が腐っていく。最後は原型をとどめておらず、つまり、ふざけているのである。
一番ふざけているのはポルノ映画館で自分が殺害してしまった人々とご対面する場面で、「ごめんなさい・・・」とシュンとするシーンには爆笑。っと、コメディなので細かいネタバレは厳禁。
「狼に変身してしまう男の悲喜劇」といった体で、あまり類を見ないタイプの作品。『ハウリング』はツタヤレンタルで復刻したのに『アメリカン』が手付かずになっているのはとても残念。こっちのほうが面白いのに。

少し前に『ブルース・ブラザース』を始めてまともに鑑賞した。
ダン・エイクロイドとジョン・ベルーシのコンビは歌もダンスも達者だし、登場する黒人ミュージシャンも超豪華。総額どれくらいのギャラを払ったのだろうか。
カークラッシュあり、ギャグあり、良質の音楽ありで非の打ち所がない。
ところがですねえ、自分的には全然、乗れなかった。
世界中から愛され続けている映画だし、ひねくれ者がちょっとくらい横槍を入れてもよろしかろうってことで真面目に書きますが、なんだろうな、「記号が回ってるとしか思えなかった」のである。
『狼男アメリカン』はジャンルこそホラーだが(グロテスクな変身シーンなんか絶対見られない、という方々もいらっしゃるだろう)おかしくも物悲しい、つまり有機的ということだ。
狼わんこ(実際のところそんな感じのデザイン)がロンドンの街なかで乱暴狼藉をおこしたのち狙撃され、死ぬときは人間に戻って全裸で横たわっているシーンには、哀愁があった。

ブラザースの二人はハット+黒スーツ+サングラスであえて記号化されており、アイコンとしては非常にわかりやすい。
そんな彼らがまきおこすてんやわんやの大騒ぎ(笑い)。その騒ぎの原因として「つぶされそうな自分たちを育ててくれた孤児院を救うため」という立派な理由がある。
というわけで「バカ映画査定としてはすでにマイナス」なのである。バカは過激に無意味にバカでなくてはならない!(というか、別にバカ映画じゃないのかな?)
ブラザースの命を狙って奔走するのがネオナチとカントリー・バンド。
「黒人音楽を愛する人間を白人至上主義の人間が狙う」という構図は皮肉が効いていていいのだけど、ネオナチの「自分たちの演説をコケにされたから」はまだわかるが、カントリーバンドは「自分たちがライブハウスに到着する時間を大幅に遅刻して、ブラザースにステージを取られてしまったから」という理由で、命のやりとりをするにはなんだかなあ、の甘あまさ。
しかも彼らをさほど「ワル」として描いていないから、記号が記号を追いかけているようにしか見えない。
ほどよく毒抜きした、職人的な百点満点の作品。つまりそれが苦手なのだなあ。嫌い、というより、苦手なんである。
続々登場するビッグ・ネームたちの演奏シーンは素晴らしいし、そもそもソウル・ミュージックにケチをつけるバカはいない。が、ソウルを至上のものとし、他ジャンルをバカにする手合いがたまにいるがそいつはいかがなものか?と思うけれども、それは自分が低位置にいるものに強い偏愛を抱いているからなのでしょうかね。


遺作がいちばんバカだった



人間には左脳と右脳の他に「ボンクラ脳」というものがある。これは無い人には無いのだけれど、左脳はほとんどないがボンクラ脳が異常に発達している自分のような者もいる。
映画のことばかり書いていますが、それは手にしたときに「これは・・・・ろくでもないぞ・・・」と思わせてくれるパッケージ・ソフトがCDや書籍より映画DVDが一番多いということであり、つまり脊髄反応であり、脊髄の中にも「ボンクラ液」が大量に分泌しているということです。
世界中で「やっちゃいかんと言われてることをやる」ことにシノギを削っているのがボンクラムービーなので、だから面白い。
実際に人が死ぬのはいろいろ大変だが、劇中で人が死ぬのは後腐れがなくてポップだ。無責任だからいいのである。映画が責任を持つべきは、死んでくれた俳優に対するギャランティである。

というわけで最底辺と言われているジャンル映画が「スラッシャー・ムービー」。
「スローモーションを多用した銃撃戦による残酷美学」などといった立派なものではなく、「大事なのは断面図です」というろくでもない作品群。「切株派」とも呼ばれています。
この辺を追求するときりがないので上澄みしか知らないのだが、一番好きなのは元祖であり「血糊のゴッドファーザー」、ハーシェル・ゴードン・ルイス。
殺人や怪物がどんどんリアルに派手になっていく時代に観た第一作『血の祝祭日』はストーリーもだるだるだし、ゴアシーンも「これが見たいんでしょ?あらよっと」と臓物をぶちまけてみせるだけという超・雑さ。(しかしこれは1963年の作品であり、ビートルズがまだ『プリーズ・プリーズ・ミー』だったわけで、まさに鬼っ子だ)
けれどもその「純粋な残酷さ」はまた違ったショックで、花形スターのジェイソンよりこちらのほうが好きだった。
後々彼も映画作りが上達して(とはいえレベルは低い)エンタメ度が増していくので、繰り返しになるが「純粋な残酷さ」では一番だと思う。
で、これに続編があります。ハーシェル・ゴードン・ルイス30年ぶりの復帰作『ブラッド・フィースト 血の祝祭日2』(2002)である。
いや、これはヤバい。普通に見ればクズ中のクズだけど、セルフパロディとして考えれば素晴らしいのではないか。
一作目に登場した、インディーズな邪教にはまって内臓お持ち帰りを繰り返した殺人鬼の孫がレストランを開店するのだが、やっぱり同じ邪教にはまってゴアゴアな惨劇を繰り返すというもの。
残酷シーンは人間ミンチやら顔面皮剥ぎやら頭蓋骨ギコギコやら肝臓つかみ取りやらで、さすがに60年代のホルモン屋状態よりは上達しており、「わしゃずっとこれがやりたかったんじゃー、ひゃっはー!」という楽しげな監督の顔が浮かぶ。ちなみに撮影している時点で75歳だったらしい。
そして本作は完全なコメディなのだが、ブラックコメディという高尚な言い回しをするより、「内臓コント」と言ったほうが的確か。
登場人物がみんなおかしい。キレキレっぽい刑事は死体を見るたびに吐いてるし、逆に相棒のデブ刑事はどんなグロい死体の前でもなにかしらモノを食っている(常におなかをへらしています)。
キレキレ刑事の婚約者のママは超・ざーますババアだし、主人公の殺人鬼は手袋の代わりに鍋つかみをはめて犯行を行う。鍋つかみハンドの手を窓に挟まれて落下し、泣きながら撤退していくシーンで爆笑。
殺される女子はみんな美人でみんな脱ぐ。あ、神父役でジョン・ウォーターズもちょっと出演。彼はルイス映画の大ファンなので、うれしかっただろうなあ。
というわけで観た事もないのに恐縮だが、『ツイン・ピークス』の世界に近いような気がする(翁がそれを意識していたかどうかはわからないけど)。サントラも怪しげなネオ・ロカビリーがどかどか使用されており、実にいかがわしくてカッコよい。
そして本作は是非、吹き替え版で鑑賞して頂きたい!日本の製作側も明らかにコメディとしてとらえているのでやりたい放題。
特にキレキレ刑事は全編、関西弁なんである。「わしがこの事件、解決したるさかい!」みたいな感じであり、凄惨な死体を前にすると「ムチャクチャやないかオエーッ!!」とゲロを吐く。ちょっと勇気を出して書くと、吹き替え映画としては最高傑作!
60~70年代の彼の作品を並べて一席理屈をぶてばそれなりに格好もつくのだが、これに関しては絶対無理なので「わっひゃー!」と楽しんで頂きたい。ラストは吉本新喜劇も裸足で逃げ出すくらいのグッダグダ加減です。
御大は2016年に亡くなったがきっと地獄に落ちて、いやいや、へんてこ映画監督やへんてこ映画ファンからの草の根的なリスペクトを受けているのだからきっと天国か。
だってハーシェルでゴードンでルイスなのだから。カッコいい名前だ。


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