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すうさい堂の頭脳偵察~ふざけてません。

すうさい堂は閉店しました。17年間ありがとうございました。

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やっぱりゾンビが好き



いや、いいですよね、ゾンビというものは。はい。それにしても私家版ゾンビ映画を作った際に、本家ロメロ師匠の『ゾンビ』を観ていない者が多すぎるというのはどういうことだ。グロが苦手でも我慢して観るべき名作なのに。
いや、自分も初見は映画としての出来が良すぎるので「グロシーンを入れすぎだからゲテモノ扱いされている。もったいない」と思っていたのだがそれはもちろん大間違い。あれぐらい過剰にやらないと、終末観が表現できないというのは当然のことである。

あんまり終末観とは関係ないポップな『ロンドンゾンビ紀行』(2013)。これはライトなのでおすすめです。人気作なのでなかなかレンタルできなかった。
取り壊される寸前の老人ホーム。そこに住む退役軍人のじいさんの孫兄弟が悪友を募り、ホームを救うために銀行強盗をやらかす。同時期に街にゾンビが現われ人を襲う。
強盗を成功させ、ご都合主義的に大量の銃火器を手に入れた孫チームが老人たちを救いにホームへ向かう。彼らにもマシンガンを渡せば、元軍人のじいさんやアイドル的なばあさん(この人は元ボンドガールとのこと)がバリバリバリバリとゾンビを皆殺し!ゾンビとマシンガンと老人。今までなかった組み合わせ。
他にも「フーリガン同士がゾンビになってもケンカしてる」とか、ギャグ満載である。
ロンドンの下町っぽさがのぞけるからまいっか、でこの邦題になったと思うのだけど、原題は「COCKNEYS VS ZOMBIES」という粋なタイトル。
地元愛に溢れるOiパンク精神を感じる良作。特に軍人のジジイがカッコいい。



『スーパー!』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の監督、ジェームズ・ガンのデビュー作が『スリザー』(2006)。
赤いスピードなめくじのような寄生虫に街が襲われるSFホラー。
主人公の人妻の旦那が宿主になり、モンスターに変貌。登場人物から「イカ呼ばわり」されているので、こいつを仮に「イカ太郎」とする。
寄生虫に襲われた人々はゾンビになってしまうのだが、全員が宿主のイカ太郎と同じ思考をするので「お前を愛してんだよ~」みたいなノリで襲ってくるのが面白い。というか、吹替えで鑑賞したらば、ほとんどギャグしか言ってなかった。これはSFゴアゴア・コメディである。
イカ太郎が脚の一太刀で人間を真っ二つにするシーンがある。これは永井豪の『デビルマン』に一瞬だけ登場したイカ仕様のデーモンも同じように人を殺しているので、イカをなめたらいけないのです。イカはおそろしい。



『デッドガール』(2013)はやや困った映画。
普通と不良の高校生二人が授業をサボって廃病院に行くと、その地下には全裸の女子が。
まあこの女子がゾンビだったわけだけれど、よく見たらイケてるしスタイルもいい。というわけで不良君がコトに及ぶ。女であればゾンビでもいい。青春の性欲は捌け口が必要というわけで。
不良君はゾンビ女子を拘束して、さらに悪友を呼んでまぐわう日々。普通君は行為に及ぶことができずにゾンビを逃がそうとしたりしていろいろある、というお話。女性団体に知れたら怒られそうなギリギリの内容が個人的には面白かったのだが。言い訳としては「いや、これ、ゾンビっすから!」とか言うのだろうか。
しかしゾンビ女子は役名も与えられずセリフもなく、ずっと全裸。メインキャストなのにこの扱われ方は『スペースバンパイア』のマチルダ・メイ以来ではないか(いやちょっと違うか)。
「十代男子の性欲vsゾンビ」という珍品。見様によっては笑えます。

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「ソドムの市」はなぜこれほど不快なのか?



鑑賞するためにはかなり重い腰を上げる必要がある一本、ピエル・パオロ・パゾリーニの『ソドムの市』(75)。
数年ぶりに観ましたが相変わらず不快です。「エロもグロも大好きだがスカトロはちょっといただけない」というのが前提であるとしても、やはりそれだけではない。
「このシーンは何とかのメタファーで」とかの解説は頭がいい人がやってくれるので任せるとして、感覚的に何が一番嫌なのかというと、あの「上から目線」にあると思う。本当に最悪なことしか描かれていないのに「これはアートである」といったような。
ナチス政権下のもと、「俺らの時代キターッ」と大統領・大司教・最高判事・公爵の四人のファシストが、厳選された美男美女で奴隷の集団を作り、ひたすらアホなことを繰り広げるというくだらん話である。
ポップコーンのようにポンポコ人が死ぬ映画は祭典よろしく大変結構だが、「ソドム」の奴隷たちは生かさず殺さず、日々バカファシストにつきあう形で悲惨な目に合う。
ファシストの中でも特に強烈な印象を残すのが「大統領」で、ぶっちゃけ内田裕也にそっくりであり、声も似ている。
この人の酷薄そうなニヤケ面は本当に嫌ったらしい。ちなみに彼は役者ではなく、ラテン語教師だそうだ(せ、せんせい!)。

「語り部女」なるものも登場。彼女たちは一同を集め、そこで自分が体験したエロ話を語り、場を盛り上げる役目のおばさんたち。興奮したカップル(男女とは限らない)は別室行きである。
このエロババアを演じる女優さんたちも芸達者で、長いセリフを滑らかに喋り、ベテランの風格を見せる。
しかし、なんでこんな作品に出演しているのだろう?と思わずにはいられない。奴隷たちも本当に美男美女ぞろいで、こんなしょうもない表現に参加することがプラスなのか?と。
「パゾリーニの頭の中にある狂った世界」を、全員が大真面目にサポートして作り上げた絢爛豪華な作品であり、それがもうこの上もなく不快な原因なのだと思う。
エンニオ・モリコーネのサントラも美しく、さらに映画は悪臭を放つ。
ここにユーモアはない。すぐに文学的な語彙でコーティングしてくるから、「うぜえ」のだ。
権力者たちが「大人の経験値」で、小学校の弱いものいじめみたいなことを延々と続けているから、不愉快さもマックスである。
大皿いっぱいの排泄物を全員で食べるシーン。「現代の飽食に対する風刺が込められているのだ~」とか思う以前に「お前らはアホですか」である。
おかげさまで「マンジャ」というイタリア語を聞くとソレしか思い浮かばなくなってしまった。イタメシを食べる習慣がなくて本当によかったです。

この作品よりも残酷さを売りにした映画は山のようにある。ただ『ソドムの市』が特殊なのは、インテリっぽさに色づけされた極悪非道な演出であり、それはラストに色濃く浮き出ている。
奴隷たちが醜い目にあっている。舌切り、眼球えぐり、焼きゴテ、頭皮剥ぎなど。
これが通常のホラーならばカメラも寄って「ぎゃー」なんつって、みる側も「わー」なんて盛り上がれるところだが、パゾリーニはとことん意地が悪いので、このシーンに「ファシストたちが望遠鏡で覗いている」という演出を施した。
もちろん声は聞こえない。望遠レンズ越しなので、ものすごく嫌な場面に遭遇してしまったような感覚を、観ている者すべてに与える。ファシストたちはそれを愉快そうに眺めている。果てしなく最悪だ。
四人のファシストは罰せられることなく映画は終わる。彼らは「楽しいこと」しかしていないばかりか、まだまだお楽しみは続きそうな按配。これに比べたら公には封印状態にあるジャンル・「ナチス残酷映画」の方が、ちゃんとナチ側がリベンジされるのではるかに良心的である。
パゾリーニ本人が「正視できる限界のものを作りたかった」と言っているので、以上のような感想は正しいのだと思う。
『ソドムの市』を完成させた直後、パーさんはボロ切れのように惨殺されてしまいまいしたとさ。


半身不随のポルノ親分



かの「巻き髪おじさん」が大統領に当選して以来、KKKが祝賀パレードを行ったり、反トランプのデモ隊が銃撃されたり、ゲイの人が襲撃されたりで、最悪なスパイラルが始まっている。
しかしあの「盛り髪(セットが大変だろうなあ)」は西原理恵子のマンガキャラみたい。
彼氏の高須先生はトランプ派なので(嫌がらせも含め)、最強の風刺漫画家でおられるサイバラさんにメタクソに描いて頂きたいものである。

風刺といえば、それを使って全力で国と戦ったラリー・フリントという人物がいる。
職業はエロ雑誌出版社の代表。彼の人生を追った伝記映画が『ラリー・フリント』(96)。
監督は『カッコーの巣の上で』『アマデウス』が有名なミロス・フォアマン。
ラリー(ウディ・ハレルソン)はもともとストリップ劇場を経営していたが、店のPR誌を作ろうと「プレイボーイ」をめくっているうちに、ソフトフォーカスのグラビアやエロと関係のない記事の羅列に腹が立ってくる。
「読者をなめんな!こんなもんで抜けるか!」と、大股開きがお満載の「ハスラー」を立ち上げ、これを大ヒットさせる。
当然社会からの風当たりも強く(特にキリスト教)、逮捕もされてしまうのだが、ラリーはめげないのであった。

この映画を観た人が必ず絶賛する名場面。
ラリーは釈放パーティーの壇上で、スライドを大写しにする。
まずヌード写真を見せ「これは、猥褻かもしれない」。次に戦争や強制収容所の写真を見せ「じゃあこれはどうだ?」
「神は男女を造り、おっぱいやヴァギナを造った。それを写真に撮ったり、戦争の写真を掲載したら犯罪だ。でも人々を戦地に送って殺している戦争はどうなんだ?どっちが忌まわしい?」
いろいろ中間もあるんじゃないの?という意見は言いっこなし。彼はきっと省略美学の人なのだ。

ある日、ラリーは銃撃されて下半身不随になってしまう。
彼にはストリップ時代に見初めた妻・アルシアがいた。演じるはコートニー・ラブ(カート・コバーンの素敵な奥さんとして有名)。この人は元ストリッパーでリアル・ジャンキーなので、演技経験はゼロなのに生々しくカッコいいのだった。
ラリーは負傷した痛みを和らげるために薬物依存になってしまい、アルシアも旦那につきあう形でヤク中一直線。やがて彼は手術を受け薬を抜くことが出来た(が、アルシアはそのまんま)。
そしてラリーは覚醒する。他人にまかせきりだった会社へ車椅子で赴き、受付嬢に向かって「変態が来たと伝えろ」。
ヘロヘロのアルシアも同行させ、「お前ら、女房とちゃんと、握手しろ」。

どこまでが映画的な演出かわからないけれど、半身不随になってからのラリーのメチャクチャなアグレッシブさには惚れ惚れする。
法廷にヘルメット着用で出向き(当たり前だが「それ取んなさい」と怒られる)、下半身はオムツ姿。しかも、そのオムツは星条旗。
「プラダを着た悪魔」というのがあったが、こっちは「オムツをつけた悪魔」である。
罰金を払えと言われれば、ゴミ袋を持ったバカっぽいねーちゃんを呼び寄せ、その中に詰まっている膨大な紙幣をまるでゴミのように法廷に撒き散らす。
金持ちの最高にカッコいい金の使いかたを見た気がする。

やがてラリーとハスラーは、最大の敵対者であるキリスト教福音派の大物・ファルエルを攻撃する(裁判所でラリーはファルエルを「ファックエル!」と呼んで強制退出)。
ファルエルが「私は母親とセックスしました」と告白するパロディ広告を誌面に掲載したのである。
もちろん告訴。両者の対決は「聖なる伝道師vs下劣なポルノ商人」といった様相を帯びてくる。
ラリー側には顧問弁護士(エドワード・ノートン)がいたが、ラリーの無軌道ぶりに呆れ果て、一度は袂を分かつ。が、説得されて現われた彼は、この裁判で最高のスピーチをする。
裁判官が「人格者であるファルエル氏を貶めバカにすることが何か公共の利益になるのですか?」と質問。弁護士はちょっと躊躇しながらも答える。「そうです」。
ここからが名場面。書いてしまうのは無粋というもの。DVDでご覧下さい。

この作品を観ても何も感じないケツ穴野郎は、母ちゃんとやったあと、ガラスの破片入りピザを食ってくたばれ。ファックオフ!
フリントとトランプ、忌まわしいのはどっちだ?

ひどい話コレクション



わ。トランプ当選。それまでトンチキな不動産屋みたいなイメージだったのですが、一夜明ければ米大統領。
優勢はマジだったんか、とちょっと驚く。なんでもレッドネックとかの最貧層からの支持をかき集めたらしい。
「はぁオラたちの王様だぁ~」ということらしい(らしい、らしいってすいません。実はあまり知らない)。
すでに「お前が大統領じゃヤだ」と、デモも起こっているという。まあ日本でもおんなじよーなのがいるからなあ。アベちゃんも少々やりにくかろうと思うとそこだけは面白い。
写真から「品格」とか「人格」がまったく見えてこないってのがすごい。柄にもなく「ゴッド・ブレス・アメリカ」とか思ってしまったわけだが、そういえばそんなタイトルの映画みたなー、よく考えたらひどい内容のばっかりみてるなー、とは思うものの、そこに何か教訓めいたものはあるはずなんである。ひどい話コレクション、いってみよーという備忘録。

『ゴッド・ブレス・アメリカ』(2012)。何から何まで類型的なのだが、狂っていて好き。
セクハラ容疑で会社をクビになり、脳にも腫瘍が見つかったおっさん。家族との復縁もままならない(ママにはイケメン彼氏が出来て娘は超ワガママに育ちました)。
絶望して自殺しようとするがテレビをつけると低俗なバカばっかり。ん?自分が死ぬよりこいつらぶっ殺したほうがよくね?と、まずタレント気取りのセレブ一家を皆殺し。
それを見ていた「世の中ムカつく!あたしも人を殺したい!」と思っている女子高生(アリス・クーパーのファン)に懐かれ、二人の殺人行脚が始まるという、ほぼファンタジーのようなお話。
テレビでバカにされている知的障害者を笑う奴らに天誅を下そうと、銃を持ってスタジオに乱入するが、その障害者もスターのつもりになっているのを見て悲しくなり、彼も込み込みで殺戮を開始。
おっさんは加勢に来た女子高生もろとも射殺されてしまうが、最後に来て「人生やり切った」感じで終わるのが大変よい。ネタバレもしてしまったことだし、不謹慎ながらも書いてしまうと「終わりよければすべて良し」である。



『ファーゴ』(96)。コーエン兄弟の作品。妻を人質に狂言誘拐を企んだ男が、あまりにも仕事が雑なチンピラたちと組んだため、話がどんどんヒドい方向に転がっていく。チンケな悪党をやらせるとスティーブ・ブシェミはその風貌が生きて光り輝く。素敵ブシェミ。ミステリ仕立てなので詳細はカット。
教訓としては「仕事する相手は選んだほうがいい」ということ。



『ネスト』(2014)。フランス・スペイン合作。姉と妹が二人で暮らしている。妹はごく普通に明るく育ち彼氏もいるが、姉はドアの外に出ると嘔吐してしまうくらいの引きこもり。
ある日、上に住むイケメンの住人が階段から転倒して怪我を負い、たまたま居合わせた姉に救援を頼む。
引きこもりだったおねーさん、「この人は天からの授かりものだわ!」と、イケメンを部屋で介護し、そのまま監禁することに決定。
その後、妹、イケメン、イケメンの婚約者などすべてに最悪なことが起こる。特に妹に降りかかる最悪っぷりはヒドすぎるので笑うしかないのだった。
この作品は現在引きこもりの人がショック療法として鑑賞すると良いかも知れない。
「それやってても、いいことはひとつもないよ」ということ。



『エスター』(2009)。子供を流産させてしまった夫婦が、代わりにとロシアで育った9才の少女・エスターを養子にするが、その子はトンデモマジキチだった!
レンタルでDVDを手に取っていたら横のカップルが「エスターって(ネタバレ)なんだよねー」とくっちゃべっておられ、自分はマンガのようにズッ!となってしまったんだが、なるべくミステリ棚で会話する際には気を使って頂きたい。
しかしこの作品、アウトラインが楳図かずおの『洗礼』にそっくり。母親や兄妹(妹は聾唖)は「あの子はおかしい」と早々に気付くが、父親だけは「そんなことない!エスターはいい子だ!」と、のんきな父さんなので、物語りはどんどん悲惨な方向へ。後半、父親に対して色じかけで迫るエスター。こんなシーンも『洗礼』にありました。
そもそも「流産したから代わりの子がほしい」という考えが実は鬼畜なのだ。チャージじゃないっつーの。
結果、「鬼が来た」というわけ。エスター役の女子が壮絶で、最もゾクリとした一本。



『アフター・ショック』(2012)。イーライ・ロスの制作・脚本・主演作。
彼の作品はホステル・シリーズなどもそうだが、「絵葉書映画」の側面もある。前半ははしゃぐ旅行者たちと共に、その土地の風景を実に美しく見せる。
登場人物はやや羽目を外しているが基本的にいい奴ばかり。だが、一転して後半、彼らは一人残らずヒドい目に合うのである。
この作品でいえばチリの大震災及び、ドサクサで「刑務所から凶悪犯罪者たちが脱走する」という二次災害。
普通の奴、いい奴、美人やイケメンも同じように、残酷な運命が待っている。「どんな人でも平等に恐ろしいことは起こる、かも知れないよ」というのがロスが作る恐怖の基本。
デビュー作『キャビン・フィーバー』(2002)も、山小屋キャンプを楽しもうとした若者たちの行く先が伝染病に侵された町であった!と。
伝染病というと、感染者は凶暴になって人を襲ったりするのかなと思うが、この作品では感染すると体がどんどん腐敗するのみなので、彼らは友達や恋人を見切って「えんがちょきった」する話でした。



『ハードキャンディ』(2006)。『スーパー!』の狂ったヒロイン・ボルティを演じたエレン・ペイジが主演ということで、鑑賞したわけです。出会い系サイトで繋がったカメラマンのジェフ(パトリック・ウィルソン)と「14才のヘイリー」(エレン・ペイジ)。
最初はダンディだったジェフが、部屋に招き入れた途端に豹変していくヘイリーに詰問されて、本性が暴かれていく。どうやら彼はロリコンらしい。
ジェフはヘイリーの友達に、なにかとんでもないことをしていた(らしい)。この辺、作中ではハッキリと描かれないのだが、ヘイリーはその敵討ちをするため、出会い系で彼を「ひっかけた」。
ジェフを拘束したヘイリーは、見よう見まね聞きかじりでタマを抜く「去勢手術」を施行してしまうのである。
この辺になるとカッコいいおじ様だったジェフが泣き叫んで懇願し、普通の情けない親父と化す。
非常に面白い。ってあれ、また女の子の味方してるな。
ヘイリーがジェフを追い詰める会話で「私がマイナーなバンドの話をすると、あなたは必ずチャットの間が空く。その返事はアマゾン・ドットコムのコメントと同じだった」というのがある。
痛快だが、ネットやウィキペディアなどに頼り勝ちだと、ついやってしまいそうなリアル感。
「自分の頭で考える」というのは大事だ。そうじゃないと、陰でものすごくバカにされてるのかもしれないよ。



ということで結局、こうした作品の楽しみ方は「対岸の火事って面白いじゃん」ってことになってしまうのだが。
「あんた、暗くてグロくて後味悪くてくっだらない映画より、アイドルやかわい子ちゃんを見てるほうがよっぽど楽しいと思わないか?」とか言われそうだが、割りと自分はえーっと、暗くてグロくて後味悪くてくっだらない映画を見てるほうが楽しいです。
アイドルやかわい子ちゃんは「対岸の火事ですらない」からです。

そんな身体でバイク乗れんのかよ?



祝・『狂い咲きサンダーロード』プレミアム上映。もう来週だからチケットもないだろうし混雑するだろうし永野とかのどうでもいい人も出るのでスルーなのだが、通常上映になったら絶対に行く。
単館とはいえシネマートって結構でかいのだ。過去のバウスシアター爆音上映が鳥肌もんだった。あの素晴らしいビリビリをもう一度。
この作品は「パンク・ムービー」と称される。でも出てくるのは暴走族(と、スーパー右翼)だし、音楽は泉谷しげるとPANTA&HAL。
そう呼ばれる由来は抑制が効かない、あるいは解放されまくっている「仁さん」(山田辰夫)のキャラにあるのだろう。
オンとオフしかスイッチがないし(微調整の機能なし)、右翼の訓練なんてかったるくてやってられないから、捨て台詞は「長らくお世話になりましたーっと」。最後の「-っと」が大事だ。
後先考えず敵の中へバットのみで突っ込んでいく姿はもう、カッコいいのかどうかすらわからん。
ただもう、すごい。「すごいものがうつってるからすごい」という、映画を観る原始的な快感。当たり前でもある。なんで時間を割いて「市井の人の日常」なんかを有難がらなければいけないのか?
生身の人間なのに、究極の破壊紳。ターミーネーターもランボーもお呼びじゃない。いや、彼らには腕力や武力で負けるかも知れないけど、気合と殺気で勝つ!!
理詰めの人には「なんでこうなっちゃうの?」と、まったく理解できないと思う。
はねっかえりの族のひとりが言うことをきかなくて困るので、スーパー右翼(スーパーって付くのが、だっさくていい)に片手片足を切断されてしまい、殺人マシーンにカスタマイズした主人公が右翼と族上がりの警官たちに復讐するというシンプル極まりないストーリー。
大雑把過ぎる筋に対して、実は映画的な完成度(満足度)がメチャクチャ高いのだ。
それはもう「かったるいことは一切やんねーから!」と決めたかのようなカメラワークがそうだし、モッズが作ったというサントラを全部捨てて、泉谷とパンタの曲をぶっこんだ石井聰互監督の神がかり的な英断にもある。
イッちゃった目つきで仁さんがつぶやく「街中の奴らみんな、ぶっ殺してやる」。
これ以上カッコいい映画のセリフを他に知らない。
そして、見事に何ひとつ希望ってやつが描かれないのに、こんなにポジティブな気持ちにさせてくれる映画もない。
普通の言葉を使えば「奇跡の感動作」。全オレ(みたいな奴ら)が泣いた!

自分が世界一愛している映画である。
ちなみに世界一面白い映画がジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』で、世界一カッコいい映画が『女囚さそり/けもの部屋』で、世界一のコメディ映画が『悪魔のいけにえ』で、世界一のガーリー映画が『デス・プルーフ』で、世界一のアイドル映画が『太陽を盗んだ男』で、世界一のミュージカル映画が『爆裂都市』。
お粗末様でした。
というわけで時期も重なり、以前からやってみたかった『爆裂都市』と『狂い咲きサンダーロード』で使用された楽曲のみを回すDJというのをやるのであります。「狂い咲き~」オンリーだと、パンタと泉谷だけになっちゃいますので。「サ」のつくバンドのレアナンバーや、劇中歌の元ネタとかも回ります。
11月2日高円寺フォース・祝日前の水曜。詳細はこちら。
http://fourthfloor.sub.jp/
イベントタイトル『そんな身体でバイク乗れんのかよ?』は、闇ブローカーでシャブ中の小学生「ツッパリの小太郎さん(この役を子供にやらせたってのがすごい)」が映画のラストに放つセリフ。フリークの方は当然ご存知でしょうが。
自分の出番は21時半くらいでしょうか。どうだろう諸君!若い命を我々に預けてみないか!?(スーパー右翼・小林稔侍で)

あと、こちらのサイトにヂル会長が大フューチャーされています。
http://www.enjoytokyo.jp/solo/master/tatsujin12/640/
かわいーとかだけじゃなく、黒猫の持つ魔性の部分にも言及されております。とにかく、ヂルの表情が多彩。「ヂルは触って初めて良さがわかる」とは我ながら名言。




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性別:
男性
職業:
古本すうさい堂
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